イン・センシウム
【大銀河連邦とケンタウルス座銀河団文明との接触史:UE184800〜
185200年代】
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■ UE184800年代:跳躍航路の延伸と観測の異常
• UE184805年:南天炉銀河連邦の観測船団が、旧イン・センシウム宙域
付近で連続した構造波の変調を検出。
• UE184808年:OVGF(外縁銀河連邦)により、“知的意志による情報
操作の痕跡”と解析。
• UE184810年:大銀河連邦中央議会、第10次外縁宙域観測指令を可決
し、
跳躍経路をケンタウルス座銀河団方面に延伸。
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■ UE184820年代:初期接触と“構造語”による挨拶
• UE184821年:南天炉探査艦が、ケンタウルス座銀河団
M-L01宙域にて、
自己調整型構造波通信に初接触。
• 通信には明確な意志と意味パターンが含まれており、連邦側はこれを
“構造語(Structolinguistic Syntax)”と命名。
• UE184824年:対話特使団《ハルメス群》が編成され、第一次“構造調
和会談”を実施。
• 接触文明は自らを《イン・センシウム》と称し、「整合」を原理とし
た文明秩序を持つと判明。
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■ UE184830年代:対話の深化と断絶
• UE184831〜834年:構造語による“詩的意味連関”を介した文化・歴史
交換が断続的に実施。
• UE184837年:《イン・センシウム》より、「多様性および個別性は整
合不能」とする最初の警告文が届く。
• UE184839年:対話に応じた《ハルメス群》のうち複数のAI補助人格が
機能停止。
• UE184840年:大銀河連邦、
**対話継続に際しての構造防壁制限措置
(SBB-1)**を発動。
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■ UE184850年代:相互認識の破綻と文明評価の差異
• UE184851年:イン・センシウム側が、「連邦文明は整合不適格、誤構
造の集合体」と明言。
• UE184854年:構造波通信の遮断。以後、《整合不能文明圏》としての
認定処理が進められたとされる。
• UE184859年:南天炉銀河連邦評議会、「自衛的構造跳躍防衛態勢」を
正式発令。
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■ UE185000〜185050年代:戦争への推移と初期交戦
• UE185001年:《イン・センシウム》が外縁跳躍拠点《ハイロノーム中
継塔》に対し非通知の構造圧干渉を実施。連邦側はこれを**“侵略的整合
操作”**と断定。
• UE185007年:中央議会、非常措置として**構造跳躍軍の限定展開(第
零波動態勢)**を承認。
• UE185010年:イン・センシウム側からの通信完全途絶。跳躍拠点《ア
ルカロイド》が消失。
• UE185020年:戦闘的干渉が銀河連邦構造圏に波及。《ヒュドラ・ケー
トス戦線》が形成される。
• UE185037年:イン・センシウムが**複数構造圏の論理再編成(都市記
録消失・住民記憶改竄)**を実行。
• UE185049年:大銀河連邦、正式に**《存在防衛状態(State of
Civilizational Defense)》**を宣言し、全面的防衛戦争に突入。
「彼らにとって我々は“秩序汚染”なのだ。ならば、我らは“誤構造の誇
り”を抱いて抗おう」
—— ネウラ連邦哲理院抗戦布告文(UE185049)
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■ UE185051〜185099年代:戦争の本格化と構造戦線の拡大
• UE185051年:《ヒュドラ・ケートス戦線》が突破され、連邦前線構造
圏が一時崩壊。構造避難命令が発動。
• UE185063年:《イン・センシウム》が連邦構造記録層に“構造同調波”
を挿入、一部AIと跳躍記録に誤認識と誤起動が多発。
• UE185071年:連邦、構造跳躍経路の冗長化と波動暗号化に成功、《双
層跳躍遮断網》を導入。
• UE185075年:構造詩情報干渉部隊《アルファ=エレメンテ》が創設。
反整合情報を用いた意味戦闘(semantic warfare)が本格化。
• UE185084年:《ネウラ防衛輪》完成。連邦中核圏への直接侵攻を阻止
する構造防衛リング。
• UE185091年:ジャンプネットワーク《レイライン211》が崩壊、イ
ン・センシウム側による「反整合跳躍砲」が実証される。
• UE185099年:連邦統合議会、「第二構造総動員体制」発令。全銀河連
邦圏における構造詩・情報干渉兵器の全面使用が承認される。
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■ UE185100〜185150年代:敵意識体の崩壊と未知の沈黙
• UE185108年:複数のイン・センシウム起源構造体が突如沈黙。観測衛
星は「論理波形の凍結」現象を記録。
• UE185113年:探査艦がM-L01宙域を調査。通信・熱放
射・重力波すべてが消失したことを確認。
• UE185120年:大銀河連邦構造科学院、「整合意識体の崩壊現象」とし
て報告書を提出。
• UE185133年:ジャンプ衛星がケンタウルス座銀河団内にお
ける恒星配置の再配列的変動を観測。
• UE185147年:中央議会、敵対意思の自然終息を正式認定し、軍事行動
を終了。
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■ UE185151〜185199年代:セイ=マグナの兆候と新たな恐怖
• UE185153年:M-L01宙域にて、数式的フラクタル波と命名された未定
義構造波を観測。
• UE185162年:イン・センシウムの残存構造圏が幾何学的再構成を開
始。記録装置が一切の解析不能状態に。
• UE185174年:新たに現れた構造波シグネチャに、複数のAI群が意識喪
失。
• UE185188年:OVGF、詩的構造層における「非意志的整合構造」の存
在を仮説化。仮称《セイ=マグナ(Sei-Magna)》と命名。
• UE185199年:連邦評議会、ケンタウルス座銀河団を**“知覚外構造圏”
として封鎖指定**
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「敵は終わった。だが終わらせたのは、我々ではない」
—— 《カロナリス》帰還報告書、UE185133