日本戦車開発史
### ⽇本の戦⾞開発史:黎明期
#### **第⼀次世界⼤戦中の経験と戦⾞開発の発端**
1. **戦⾞との初遭遇**
⽇本軍は1916年、ソンムの戦いにおいて初めて英国のマークⅠ戦⾞を⽬
撃。この新兵器の戦場での効果に驚嘆し、そのポテンシャルを認識した。
2. **英国との交渉と購⼊**
英国との協⼒関係を背景に、1917年にマークⅠ戦⾞1両とマークⅡ戦⾞2両
を購⼊。英国本⼟での訓練に⽇本陸軍⼠官と⼯兵を派遣し、戦⾞運⽤の基礎を
学んだ。
3. **戦後の帰国と技術移転**
第⼀次世界⼤戦終結後、購⼊した戦⾞を⽇本本⼟に持ち帰る。この戦⾞は⽇
本国内で「試作装甲⾞甲型」として登録され、研究の基盤となった。
#### **ソンムの戦いと⽇本軍の参戦背景**
1. **⽇英同盟による派遣**
1915年、英国の要請を受け、⽇本は陸軍の1個師団を基幹とした約40,000⼈
の部隊を欧州戦線に派遣。公式には「訓練⽀援」として派遣されたが、実際に
は塹壕戦の経験を積むことを⽬的としていた。
2. **⽇本軍の役割**
- ⼯兵部隊を中⼼とし、塹壕建設や補給路整備を担当。
- 歩兵部隊はフランス軍の⼀部として戦闘に参加し、主に局地的な攻勢や防
御戦を担う。
3. **戦⾞との遭遇**
1916年9⽉、⽇本軍が担当していた区域で、英国軍がマークⅠ戦⾞を初めて
投⼊。⽇本兵はこの新兵器に驚きつつも、その効果を⽬の当たりにし、戦⾞の
潜在能⼒に強い関⼼を持った。
4. **局地戦での貢献**
- ⼯兵部隊が英国軍と連携し、戦⾞の運⽤⽀援(橋梁建設や陣地強化)を担
当。
に成功。
- ⽇本の歩兵部隊は、英国戦⾞と連携した攻撃で重要な塹壕を奪取すること
5. **教訓と戦術改⾰**
塹壕戦や⽕⼒集中の重要性、戦⾞と歩兵の連携戦術の有⽤性を学ぶ。また、
⼤規模な砲撃や毒ガス攻撃への耐性を⾼める必要性を痛感。
#### **戦後の技術研究と試作⾞の開発**
1. **研究組織の設⽴**
1919年、陸軍技術本部内に戦⾞研究部⾨を設置。英国の技術資料と帰国し
た⼠官らの経験を基に、戦⾞の国産化を⽬指す。
2. **初の試作⾞**
1922年、「甲型⼀号⾞(仮称)」が完成。これはマークⅠの設計を踏襲し
つつ、⽇本の地形と輸送インフラに適応するため、⼩型軽量化が図られた。
3. **運⽤実験**
富⼠演習場での試験運⽤を実施。⽇本の湿潤な環境での⾛⾏性能や、⼭岳地
帯での機動⼒に課題が浮上するが、戦⾞の有⽤性に関する意⾒は⼀致。
#### **課題と改良の⽅向性**
1. **輸送と燃料**
⽇本の狭い道路網や橋梁の強度がマークⅠ系の⼤型戦⾞に対応できなかった
ため、軽量戦⾞の必要性が強調される。また、燃料供給網の整備も課題となっ
た。
2. **⽕⼒と防御**
試作⾞の装甲は重機関銃程度の防御に留まり、敵⽕砲への耐久性が不⾜して
いた。このため、装甲材質の改良と中⼝径砲の搭載が検討される。
3. **⼯業基盤の限界**
⽇本の⼯業⽔準では、戦⾞のエンジンやトランスミッションの開発が難航。
これに対処するため、海外からの技術導⼊とライセンス⽣産が計画される。
#### **国産戦⾞の黎明期**
1. **軽戦⾞「⼄型⼀号」の開発**
1927年、⽇本初の軽戦⾞「⼄型⼀号」が完成。これには国内製の⼩型エン
ジンと、輸⼊した英国製のサスペンションが採⽤された。
2. **国内外での評価**
陸軍演習や、満州事変での限定的実戦投⼊により、⼄型⼀号の性能が評価さ
れる。⼀⽅、実戦経験を基にさらなる改良が提案される。
#### **中戦⾞「⼋九式中戦⾞」の登場**
1. **開発の背景**
軽戦⾞「⼄型⼀号」の実戦経験を踏まえ、陸軍はより⾼い⽕⼒と装甲を備え
た中戦⾞の必要性を認識。1928年、戦⾞の専⾨研究をさらに進めるため、新
たな計画が開始された。
2. **設計と特徴**
- ⽕⼒: 主砲には37mm戦⾞砲を採⽤し、歩兵⽀援と対軽装甲⾞両戦闘を想
定。
- 防御: 最⼤装甲厚は17mmで、従来の軽戦⾞より防御性能が向上。
- 機動⼒: 空冷ディーゼルエンジンを搭載し、最⾼速度は25km/hに達した。
3. **配備と評価**
1931年に⼋九式中戦⾞が正式採⽤され、満州事変で初めて実戦投⼊され
た。満州事変では、英国軍が主導する作戦の⽀援役として⽇本軍が⼋九式中戦
⾞を提供。戦⾞部隊の歩兵⽀援や陣地攻撃の役割を担い、その機動性と⽕⼒が
⼀定の評価を得た。
#### **クリスティー戦⾞と95式軽戦⾞の試作**
1. **英国との共同輸⼊**
1932年、⽇本は英国と共同で⽶国製クリスティー戦⾞を輸⼊。⾼い速度と
優れたサスペンション技術に注⽬し、これを基にした研究を進めた。
2. **95式軽戦⾞との⽐較**
国内で開発中の95式軽戦⾞の試作⾞とクリスティー戦⾞を⽐較試験。クリス
ティー戦⾞の⾼い機動⼒と⾼速⾛⾏性能は⽇本の技術者に強い印象を与えた
が、⽇本の狭い道路網やインフラを考慮し、よりコンパクトで運⽤しやすい設
計が採⽤されることになった。
3. **影響と改良**
クリスティー戦⾞の技術は、⽇本の戦⾞設計に多⼤な影響を与えた。特にサ
スペンション技術は後の戦⾞開発において重要な役割を果たし、95式軽戦⾞
は改良を経て⽇本軍の主⼒軽戦⾞として完成した。
#### **97式中戦⾞の開発と改良**
1. **開発の背景**
⼋九式中戦⾞の成功を受けて、より⾼い⽕⼒と装甲を備えた中戦⾞の開発が
求められた。さらに、ロマノフ公国など友好国への輸出も考慮され、⼤型設計
の「チハ⾞」が採⽤された。
2. **初期型の特徴**
- 主砲: 初期型には57mm砲を搭載。これは歩兵⽀援を主⽬的とし、対戦⾞戦
闘は想定されていなかった。
- 防御: 最⼤装甲厚25mmで、当時の軽装甲⾞両や⼩⽕器に対して⼗分な防御
⼒を持っていた。
3. **改良型の登場**
1939年、第⼆次欧州⼤戦の勃発に伴い、戦⾞の対戦⾞戦闘能⼒の重要性が
増した。このため、47mm砲を搭載した改良型「97式中戦⾞改」が開発され
た。⽕⼒が⼤幅に向上し、装甲も強化された。
4. **アフリカ戦線での活躍**
改良型97式中戦⾞は第⼆次欧州⼤戦初期にアフリカ戦線に投⼊され、ロマノ
フ公国軍や英国軍と連携して作戦に参加。砂漠地帯での運⽤が試され、その機
動⼒と信頼性が⾼く評価された。
#### **1式中戦⾞と2式重戦⾞の開発と投⼊**
1. **1式中戦⾞の開発***1
97式中戦⾞の⾞体を基に、90式野砲を改良した主砲を搭載可能とする設計
が⾏われた。これにより⽕⼒と対要塞戦闘能⼒が向上した。
2. **2式重戦⾞の設計***2
ボフォース社製の75mm砲を元にした⾼初速対戦⾞砲を搭載し、新たに設計
された2式重戦⾞は、厚い装甲と強⼒な⽕⼒を持つ重戦⾞として登場。
3. **実戦投⼊**
1式中戦⾞と2式重戦⾞はイタリアおよびバルカン半島戦線に投⼊され、対戦
⾞戦闘や防御陣地攻略において重要な役割を果たした。これらの⾞両は、友好
国との軍事協⼒をさらに強化し、連合国側の戦⼒に⼤きく寄与した。
#### **2式重戦⾞改とオランダ上陸作戦**
1. **改良型の開発**
1944年、2式重戦⾞は76.2mm砲を搭載可能な仕様に改良され、さらなる⽕
⼒と防御性能を追求した「2式重戦⾞改」が完成した。 佐藤⼤輔のオマージュ
2. **オランダ上陸作戦への投⼊**
同年、⽇本軍は連合国軍の⼀員としてオランダ上陸作戦に参加。2式重戦⾞
改と1式中戦⾞は、ドイツ戦⾞部隊との激闘に投⼊され、特に市街戦や防御線
突破においてその性能を発揮した。
3. **戦果と評価**
2式重戦⾞改の強⼒な⽕⼒と耐久⼒は、ドイツ軍のティーガー戦⾞やパン
ター戦⾞に対抗する上で有効とされ、1式中戦⾞との連携により戦術的な柔軟
性も発揮された。
#### **4式中戦⾞の開発と投⼊***3
1. **開発の背景**
1945年、ドイツ軍戦⾞の強⼒化に対抗するため、海軍の試製九⼋式8cm⾼⾓
砲を元にした対戦⾞砲を搭載可能な4式中戦⾞が開発された。⾼い貫徹⼒と精
度を持つ新型砲は、連合軍戦⾞の中核的存在として期待された。
2. **特徴と性能**
- 主砲: 試製九⼋式8cm⾼⾓砲を改良した対戦⾞砲を採⽤し、厚い装甲を持つ
敵戦⾞への対抗が可能に。
- 防御: 装甲厚をさらに増強し、ドイツ軍の重戦⾞にも耐えうる設計となっ
た。
- 機動⼒: 改良型ディーゼルエンジンを搭載し、⾼い機動性を維持。
3. **実戦投⼊**
4式中戦⾞は1945年の後半、欧州戦線の複数の戦場に投⼊され、特に連合軍
による反攻作戦で重要な役割を果たした。ドイツ軍のティーガーⅡ戦⾞やエレ
ファント駆逐戦⾞との戦闘では、4式中戦⾞の⽕⼒と装甲が⼤きな効果を発揮
した。
#### **7式中戦⾞の開発と採⽤***4
1. **戦後の検討会議**
欧州⼤戦終結後、⽇本軍は次期主⼒戦⾞の検討会議を開催。戦訓をもとにさ
らなる⽕⼒と防御⼒を備えた戦⾞の開発が求められた。
2. **試製7式中戦⾞の開発**
海軍の九⼋式10cm⾼⾓砲を元にした戦⾞砲を搭載可能な設計が採⽤され、
試製7式中戦⾞が完成。これにより、⾼い対戦⾞戦闘能⼒と多⽤途性が実現さ
れた。
3. **7式戦⾞の正式採⽤**
試製7式中戦⾞は性能評価の結果、正式に7式中戦⾞として採⽤され、⽇本軍
の新たな主⼒戦⾞として位置づけられた。
4. **第⼆次⽇⽶戦争での活躍**
7式中戦⾞およびその改良型は、第⼆次⽇⽶戦争において活躍。⾼い⽕⼒と
防御⼒を発揮し、各所での戦闘で重要な役割を果たした。特に、⽶軍の新型戦
⾞に対抗する上で7式中戦⾞の性能が評価され、戦果が多数報告された。
*1:史実の3式中戦⾞
*2:佐藤⼤輔のオマージュ
*3:史実の4式中戦⾞の拡⼤型
*4:佐藤⼤輔「RSBC」登場兵器のオマージュ