物流革命
**日本のコンテナ輸送の発展史**
## **1. 背景:戦時輸送の逼迫とコンテナ輸送の発想**
第二次世界大戦中、日本は欧州方面の同盟国や占領地への軍需物資輸送
において深刻な課題に直面していた。従来の貨物輸送では、荷役に時間
がかかり、補給の遅延や混乱が頻発。特に日欧間の長距離輸送では、貨
物の積み替えにかかる時間や人員の負担が大きかった。こうした問題を
解決するため、**統一規格のコンテナを利用した新たな輸送方式**が日
本軍内で考案された。
## **2. 世界初のコンテナ船「箱根丸」**
### **(1) 改装の経緯と設計**
- **1949年**、戦時標準船の一隻である「箱根丸」が、コンテナ輸送専
用船として改装。
- **改装内容**:
- 甲板を強化し、コンテナ積載用のガイドレールを設置。
- クレーンによる迅速な積み降ろしを可能にするための装備追加。
- **搭載可能コンテナ数**:当時の規格で約100TEU相当。
- **目的**:
- 軍需物資や工業製品の効率的な輸送。
- 戦後の商業輸送への応用を視野に入れた試験運用。
### **(2) 初の実験輸送**
- **輸送ルート**:新潟港~ウラジオストク港。
- **輸送内容**:
- 日本製の機械部品、鉄鋼資材、軍需物資。
- 帰り便では、ロマノフ公国からの木材・鉱物資源を輸送。
- **実験結果**:
- 荷役時間が従来の半分以下に短縮。
- 人員負担が減少し、運用コストが低減。
- 荒天時の積み替え作業の安全性向上。
## **3. 鉄道・トラック輸送との連携実験**
### **(1) 鉄道輸送の試行とインフラ整備**
- **ルート**:
- **日本国内**:新潟~東京(国鉄による試験運行)
- **ロマノフ公国**:ウラジオストク~ハバロフスク(シベリア鉄道支
線)
- **目的**:港湾から都市部への迅速な輸送。
- **鉄道網の改良**:
- 新潟駅・ウラジオストク駅に専用クレーンや荷役機械を導入。
- コンテナ積載対応の鉄道貨車を開発・運用。
- **結果**:
- 鉄道輸送でもコンテナ積み替えの時間短縮を確認。
- 貨物の損傷が減少し、輸送品質が向上。
### **(2) トラック輸送の試行と拡大**
- **課題**:当時の道路インフラでは、大型コンテナ輸送に適したルート
が限られていた。
- **解決策**:
- コンテナ輸送対応のトレーラーを開発。
- 幹線道路の整備と併せて、トラック輸送の効率化を図る。
- **実験結果**:
- 鉄道輸送に比べ小回りが利くため、都市部や工場への輸送に適してい
ることが判明。
- 鉄道・船舶とのハイブリッド輸送の必要性が認識される。
- **船舶・鉄道による長距離輸送と車両による中近距離輸送を組み合わ
せた輸送体系が確立。
**
- 1960年代に入ると港湾~都市部間のトラック輸送が拡大し、最終配
送手段としての地位を確立。
## **4. コンテナ輸送の本格採用と国際規格化**
### **(1) 1960年代のESTO圏内採用と拡大**
- **日本・ロマノフ公国・英国を中心にコンテナ輸送が拡大。**
- **統一規格の策定が進み、ISOコンテナ規格が基本となる。**
- **ただし、日本国内ではJIS規格も並行して運用される。**
- **英国がロンドン港やリバプール港で同様の技術を導入し、欧州にも
拡大。**
### **(2) 港湾・鉄道・道路網の整備**
- **主要港湾(新潟、横浜、神戸、函館、博多など)にコンテナターミ
ナルを設置。
**
- **鉄道網のコンテナ対応改修を進め、積み替え作業を最小限に抑える
工夫がなされる。**
- **高速道路網の発展と共に、トラック輸送の役割が増大。**
- **ESTO加盟国でも港湾インフラ整備が進み、物流の効率化がさらに加
速。
**
## **5. まとめと今後の展望**
- 日本が主導したコンテナ輸送の発展は、ESTO圏内の貿易を活性化し、
物流の効率化をもたらした。
- **今後の課題**:
- ISO規格とJIS規格の統合・標準化。
- 高度自動化された港湾・倉庫システムの導入。
- 環境負荷低減を目的とした次世代輸送手段の開発。
このように、日本のコンテナ輸送は戦時の必要性から生まれ、実験を経
て、国際的な物流革命へとつながっていった。