クレタ島奪還作戦
## **クレタ島奪還作戦「虎号作戦」**
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### **1. 背景**
#### **(1) 戦略的意義**
- 地中海東部を制圧するための要衝であるクレタ島を奪還し、エーゲ海
全域の制海権を確保。これにより、日英連合軍はイタリア上陸作戦の後
方支援拠点を確立し、将来的な欧州本土上陸作戦の準備を進める。
- クレタ島は1941年のドイツ侵攻以降、ドイツ軍の南部戦線で重要な航
空・補給拠点として機能しており、奪還することでドイツのエーゲ海防
衛網を崩壊させることが可能。
#### **(2) 現地の状況**
- **ドイツ軍**
クレタ島にはドイツ軍守備隊約15,000名が駐屯。島内の3つの主要飛行
場(ハニア、マレメ、
ヘラクリオン)を中心に防衛網を構築している。
- 補給状況は悪化しており、食料や弾薬が不足している。
- **ギリシャ・パルチザン**
地元のパルチザン勢力が山岳地帯でゲリラ戦を展開。日英軍の到来を
待ちながら、敵の補給線を絶つ活動を続けている。
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### **2. 作戦計画**
#### **(1) 指揮系統と部隊構成**
- **日本陸軍:第32軍(牛島満中将指揮)**
- 第24師団、第28師団、第62師団:島内の主要都市と飛行場の制圧を
担当。
- 挺身第1連隊(空挺部隊):南部山岳地帯の拠点制圧と補給線遮断を
担当。
- **日本海軍:第二艦隊**
- 翔鶴型空母2隻、高千穂型巡洋戦艦4隻を中心に、艦砲射撃、航空支
援、揚陸作戦の支援を担当。
- **英国軍**
- 地中海艦隊(戦艦1隻、巡洋艦2隻、駆逐艦多数):日本海軍と連携
し、艦砲射撃および上陸支援。
- SAS(特殊空挺部隊):パルチザンと協力し、敵司令部や通信施設を
攻撃。
- 英国空軍:スピットファイアやモスキートを投入し、制空権を確保。
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#### **(2) 作戦段階**
1. **事前準備(1943年4月下旬~5月上旬)**
- **日英艦隊による海上封鎖**:ドイツ軍の補給路を断ち、孤立化を進
める。
- **航空作戦**:日本軍艦載機と英国空軍が協力し、飛行場と防衛拠点
を空爆。
- **パルチザンの支援**:ギリシャ・パルチザンが地元情報を提供し、
道路や補給線を妨害。
2. **上陸作戦(1943年5月中旬)**
- **北部港湾の制圧**:第25・28師団がハニア港に上陸し、海岸の防衛
線を突破。
- **飛行場の確保**:第62師団がマレメとヘラクリオンの飛行場を奪
取。
- **南部山岳地帯の奇襲**:挺身第1連隊が空挺降下し、敵の補給拠点
を破壊。
3. **掃討作戦(1943年5月下旬~6月初旬)**
- **パルチザンとの共同作戦**:山岳地帯に潜伏する残存ドイツ軍を掃
討。
- **司令部の壊滅**:SASとパルチザンがドイツ軍司令部を襲撃。
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### **3. 作戦の展開**
#### **(1) 上陸作戦の開始**
- **日本陸軍第25・28師団の活躍**
ハニア港への上陸時、艦砲射撃の支援を受けつつ、大発動機艇で迅速
に展開。敵の沿岸砲台を制圧し、港を確保。
- **英国軍の連携支援**
地中海艦隊がヘラクリオン周辺を砲撃し、第62師団の上陸を支援。戦
闘中、英国空軍が上空を警戒し、敵航空機の出撃を阻止。
#### **(2) 空挺作戦の展開**
- **挺身第1連隊の降下**
日本軍空挺部隊が夜間、南部山岳地帯に降下。敵の補給線を奇襲し、
弾薬庫や通信施設を破壊。これにより、ドイツ軍の増援が大幅に遅延。
#### **(3) パルチザンの支援活動**
- パルチザンが道路を封鎖し、ドイツ軍守備隊の移動を妨害。
- 英国SASとともにドイツ軍司令部を襲撃し、指揮系統を混乱させる。
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### **4. 作戦の結果**
#### **(1) 戦術的成功**
- クレタ島全域の制圧に成功し、エーゲ海全域の制海権を確保。
- 上陸作戦や空挺降下の有効性を実証し、将来の大規模作戦に活用可能
なデータを獲得。
#### **(2) 戦略的影響**
- ドイツ軍が南部戦線で大きな打撃を受け、バルカン半島の防衛体制が
強化される。
- ギリシャ・パルチザンが勢力を拡大し、東欧諸国での反独運動が活発
化。
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