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和平構築

■ UE53700〜53760年:

キッテナン=チャグマ和平構築と自治区域形成プロセス

― 大銀河連邦による「戦争なき統合」の実践

---

【前提状況(UE53700年時点)】

• 両文明は千年以上にわたり断続的な戦争状態にあり、

宇宙空間にまで拡張した戦闘は恒星系をまたぐ破壊をもたらしてい

た。

• 大銀河連邦の調査船団による誤認接触を契機に、**「第三勢力の存

在」**が両文明に明確化され、

ミメリアンの仲介により「外の世界との交渉」という新たな外交的枠

組みが生じる。

---

【UE53705年:和平提言と対話の誘導】

• 総督府外交局がミメリアンの模倣を通じて、両文明の文化的象徴行為

を相互提示。

(例:キッテナンの叙事詩の一節と、チャグマの視覚演算譜による歴

史観の照合)

• 両者は、**敵視しつつも“互いがあってこそ自文化が存在する”**という

構造に気づき始める。

---

【UE53710年:一時停戦と初期協議】

• 中立宙域「カオモリン第七共鳴帯」にて、非対面式対話協議が開始。

• 各文明の代表者は直接会わず、ミメリアンが**“同時模倣調停”**を通じ

て、意図と語彙を翻訳。

• 双方にとって、「和平」ではなく「対話の技術習得」が目的と認識さ

れ、協議が進行。

---

【UE53720年:非武装地帯と文化再接続の確立】

• 双方の主力戦線間に存在していた廃墟宙域が「記憶回廊」として指定

され、

旧戦場にミメリアンが演じる「記録劇場」を設置。

• 戦争の経緯・犠牲・誤解の蓄積が文化的記録物語として保存・公開さ

れることで、

両文明内部でも和平派が多数派へと転じていく。

---

【UE53735年:和平条約「二輪の調停」締結】

• 正式に停戦・武装解除合意が成立。

条約名は、かつて両文明で用いられた「対称的聖印の二輪紋章」に由

来。

• 条文では以下が定められる:

条項 内容

主権の尊重 キッテナン・チャグマ両文明は互いの存在を文化的に認証

し、干渉しない。

開発域分割 既存領域において、限定的な開拓権と自治権を各自保持。

共通法廷の設置 紛争時にはカオモリン内「多文明協調法廷」に訴訟・調

停を依頼。

ミメリアン権限 双方合意により、ミメリアンは「記憶の証言者」として

法的立会いが可能。

---

【UE53760年:自治区域の正式登録と制度統合】

• 両文明は連邦による準加盟文明として承認され、

「キッテナン自治文化圏」「チャグマ協和領域」として自治区域が正

式登記される。

• 自治区域の中核に、教育・研究・観測施設が建設され、

ミメリアン・レンズマン・文化官が交互に派遣される共同文化交流拠

点が開設。

• 武装勢力の一部は武器を返上し、**「空間再建旅団」**として宙域修復

事業に従事するようになる。

---

◉ 総括:

彼らは争った。だが、それは声の違いではなく、耳の向きの違いだっ

た。

いま、彼らは言葉を持たず、沈黙の中で対話する。

カオモリンは、かつての敵同士が共に沈黙を聴く場所となった。

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