キッテナン種族とチャグマ種族
■ キッテナン種族(ユリアンA)
―「共鳴する知性」:分散と共存の軌道文明体
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◎ 生物的特徴:
• 祖先種「ナエリス=プロト」からの進化系。低重力・高電磁宙域に適
応。
• 全身を覆う滑らかで半透過性の皮膚(光吸収色:深青〜銀蒼)。柔軟
で感圧性に優れる。
• **頭部中央に“共鳴孔”**を持ち、音・電磁波・粒子振動を知覚・交信に
用いる。
• 四肢は三対:上肢(精密操作)、中肢(機動支援)、下肢(姿勢安
定)に分化。
• 視覚よりも空間共鳴と電磁感覚を主とする。
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◎ 呼吸・代謝:
• 酸素吸収型の**体表呼吸器官(全身濾過膜)**を持つ。
• エネルギー代謝は半光合成型・微粒子吸収型で、光と微細物質から栄
養を抽出。
• 摂食行為は稀で、主に儀礼的・感覚的な役割。
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◎ 知性・社会構造:
• 高度な分散ネットワーク型社会:各個体は自治性を持ちつつ、共鳴通
信による連携を重視。
• 政治体制は流動型評議会制。政策判断は多層的共鳴投票により決定さ
れる。
• 記憶の一部は音・共鳴・光波として共有され、文化記憶として世代を
超えて蓄積される。
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◎ 死生観:
• 死は「接続の終了」として認識。個体の終わりではなく、記憶のネッ
トへの還元とされる。
• 遺体は音と光に変換され、観測儀式として「沈む歌」が演奏される。
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◎ 文明の気質:
• 科学と美学が融合した文化傾向。技術は“静かな調和”を基盤とし、効
率よりも共振性を重視。
• 言語は音楽的で、文法に“周波数の波形構造”がある。
• 宗教的傾向は薄いが、「宇宙との共鳴」を哲学的探求対象とする。
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■ チャグマ種族(ユリアンB)
―「意志を刻む者」:地表支配の帝国文化種
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◎ 生物的特徴:
• 共通祖「ナエリス=プロト」の高重力環境適応系統。
• 身長約2.5〜3m、骨格・筋肉が極めて発達した重層型生物。
• 外皮は硬化性角質に覆われ、戦闘・儀礼・感情表現の場で部分発光
(「光嚢」)。
• 顔部は骨質マスク様構造で覆われ、表情よりも「骨の模様」が感情と
階級を示す。
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◎ 呼吸・代謝:
• 高濃度酸素環境を好むが、**熱換気嚢(サーマル肺)**により短時間の
極限環境でも生存可能。
• 高代謝・高温燃焼型:食事によるエネルギー補給が不可欠。食事は“聖
なる再燃儀式”
。
• 重元素も摂取可能な二重消化機構を持つ(特に貴金属を儀礼摂取する
文化あり)。
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◎ 知性・社会構造:
• 階級制と神権的象徴主義による帝国型中央制国家を構成。
• 皇帝は“燃ゆる意志の具現者”とされ、絶対的象徴的存在。
• 政策決定は信仰・伝統・血統によって構成される評議機関により管理
される。
• 伝承は**骨彫術**として、実際に骨に刻まれ物理
的に継承される。
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◎ 死生観:
仰。
れる。
• 死は「灯が消える」とされ、骨と魂が“祖霊の山”に帰還するという信
• 火葬は神聖であり、「焔の記憶」と呼ばれる儀式で炎と共に名が詠ま
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◎ 文明の気質:
• 神話・詩・彫像といった象徴を中心に据えた文化。
法も“語り”によって伝承される。
• 戦争・儀式・政治・教育は“劇”と“神話”で包まれ、意味と形象が不可
分。
• 宗教観は非常に強く、「世界とは神の灯が試される場」という信仰が
文明の基盤。
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■ 両者の共通点と分岐点(ナエリス=プロト種からの系譜)
項目 共通点 分岐点
生物基礎 外部感覚強調型・情報適応性 キッテナンは共鳴進化/チャグ
マは構造強化
知性の型 記録文化を持つ/象徴思考あり 記憶媒体:音と光 vs 骨と火
環境 適応力に富む キッテナン:軌道環境、チャグマ:地表高圧高熱
死生観 死後も記録と共に存在 「再接続」 vs 「終焉と昇華」
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■ 総括
キッテナンとチャグマは、「自分たちとは違う未来を選んだ自己」だっ
た。
彼らの対立は、進化の分岐点で生じた文明的・存在的選択への“答え合
わせ”であり、
それを終わらせることとは、自らの過去と未来を同時に受け入れること
に他ならなかった。




