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発展第2期

■ UE53530〜54030年:自由圏発展第2期 ― 自律的秩序と星間共栄の時

---

【UE53530〜53650年】

◆ 第二世代の定着と“統合なき共栄”の時代へ

• 初期移民の子・孫世代が主導権を持つようになり、都市共同体が次々

と**“生まれながらに自由圏”の世代**へと移行。

• 教育制度・市民意識・文化表現が、制度圏とは異なるリズムと倫理観

に基づいて自然に発展。

• 星間交易ルートは完全に定着し、貨幣・言語・暦法・市民証明の標準

化が“協定的に”成立。

• 軌道農業、恒星間データ連携、民間通信衛星網(“レイライン通信

帯”)など、制度の介在なしに運用される星間インフラが構築。

この頃、制度圏では「自由圏は統合されなくても秩序と共栄は可能であ

る」という考えが常識化し始める。

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【UE53670〜53800年】

◆ 新たな緊張:星系防衛を巡る調整危機と「ハイライズ条約」

• ガスカヌーン銀河群の複数都市国家が、辺境の小規模開拓地を巡って

武装化。

• 一部PMCが再編拡大し、「星間安全保障企業連合(ISPC)」として台

頭。

• 市民社会側からは「PMCの恒常駐留は自由圏倫理に反する」との批判

が高まる。

• 激論の末、「PMCは都市外に常設基地を持たないこと」「武力使用は

星間調停委員会の承認が必要」とするハイライズ条約が全体協議で可

決。

これは自由圏史上初の“武力抑制の倫理的合意文書”として高く評価さ

れ、制度圏の外交学においても研究対象となる。

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【UE53810〜53930年】

◆ “外からの目”の増加と制度圏との文化接触

• 自由圏の安定と多様性に着目し、制度圏から:

• 教育交流団

• 倫理哲学者

• 市民芸術派遣団

• 経済視察団

などが頻繁に訪れるようになる。

• トリアングル=メナーの「エン=サファール思想会議」は、制度圏最

大の大学連合と公開討論通信連携を実施。

• 一部都市では、制度圏市民の**“自由圏移住ブーム”**が起こる。これに

より「自由圏化した制度市民」たちが増え、新たな倫理的摩擦も生まれ

始める。

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【UE53950〜54030年】

◆ 自由圏のアイデンティティ再定義と「星間自由協約」

• 500年の自治的発展を経て、次第に自由圏内部でも**“自分たちは何な

のか”という問い直し**が生じ始める。

• 一部では「自由圏も制度化すべき」とする意見が出る一方、他方では

「自由圏は永遠に制度外であるべき」という強硬独立思想も台頭。

• トリアングル=メナーにて、各都市代表による「星間自由協約草案」

が起草される。

• 内容は制度ではなく**“倫理的誓約のネットワーク”**

• 主な柱:

1. 自由は他者の自由を破らない限りで最大限尊重される

2. 武力は自治共同体を超えて用いられてはならない

3. 相互の都市は基本的な教育・医療・移動の権利を保障する

• UE54030年、各銀河群の主要都市の代表がこの協約に署名。

→ 自由圏は初めて**“制度化せずに文明的枠組みを持った存在”**として

確立される。


社会構造と文化の変化(UE54030年時点)

項目 状態

都市数(両銀河群) 約2,500(恒星系レベルの自治憲章)

人口 推定8,000億人(非中央集中型、分散文明)

自由圏外からの移住者 約1,100億人(制度圏出身者)

合意文書 ハイライズ条約、星間自由協約、武力制限憲章、通貨相互協定

など多数

統治形態 合議制48%、倫理統治系22%、自治評議会型16%、混合14%

制度圏との関係 緩やかな文化・交易連携はあるが、統合志向はない

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文明史的評価

この500年で、自由圏は“制度に依存しない星間文明”の実在性を証明し

た。

抗争も思想対立も乗り越え、自ら選び、自ら制御する秩序を育んだ――

それは大銀河連邦という巨大制度に対する“鏡”であり、“予備未来”であ

る。”

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