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自由圏の形成

■ 自由圏制度理論の形成と方針採用の過程

(UE52000年代〜UE53030年代)

---

【UE52000〜52150年代】

◆ アノレクト文明の発見と初期調査(オミクロン・ヴァージナ銀河群)

• ダーイセン建設の初期段階で、広範な古代遺跡が発見される。

• 「アノレクト文明」と仮称される古代銀河群文明の存在が確認され

る。

• 遺跡の分布・構造・記録装置解析により、かつてこの銀河群全体を統

治していた統一文明であったことが判明。

※この時点ではまだ「滅亡原因」は未確定であり、哲学的関心が高まる

に留まっていた。

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【UE52200〜52350年代】

◆ アノレクト文明崩壊の原因分析と文明的衝撃

• 長期にわたる記録解読と星系構造解析により、

• 明確な外的崩壊要因(戦争・災害)が確認されないこと、

• 制度の徹底化・官僚構造の無限拡張・倫理の形式主義化などが明らか

となる。

• 「アノレクト文明は制度が極限まで洗練され、遂にはそれ自体の目的

を失って文明を内側から崩壊させた」との評価が固まる。

• この文明的衝撃は、制度学派・倫理詩派を中心に制度そのものの在り

方への根源的再評価運動へと発展。

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【UE52400〜52500年代】

◆ 大銀河連邦内における“制度疲労”とアノレクト危機論の台頭

• 一部の銀河連邦(特に中央銀河群、エルガファリス)で、制度運用の

過度な形式化・審議の硬直化が社会的に問題視される。

• エリダヌス内戦から約600年が経過し、過去の放任開拓の失敗も再び議

論の的に。

• 議会倫理審議庁と文化記録庁において、

• 「制度の過剰も放任も、いずれ文明の破滅を招く」

• 「第三の制度空間=“自由圏”の必要性」

が理論的に提起され始める。

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【UE52620年】

◆ 「二重崩壊原理」と「自由圏理論」の草案成立(学術的段階)

• 制度進化理論学派により、「エリダヌス=アノレクト二重曲線モデ

ル」が発表される。

• 曲線上において:

• 左極=制度不在の崩壊エリダヌス

• 右極=制度過剰の崩壊アノレクト

• 中央帯=自由と制度の自律的選択(第三空間)

• この中間帯こそが**“自由圏”として構築されるべき新領域である**と理

論化され、記録庁・制度庁・探査庁へ提出される。

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【UE52800〜52980年代】

◆ 議会での審議と制度化の推進

• 大銀河連邦中央議会において、「自由圏の制度化」審議開始。

• 当初は「過去の失敗の再来を招く」として反対もあったが、

• レンズマン倫理機構の賛同

• サムライ調停庁の推薦

• 教育庁・探査庁・記録庁の全面支持

により次第に賛成派が増加。

この議論は約150年続いたが、その中で最も引用されたのは「アノレク

ト記録最終解読報告」と「エリダヌス再建白書」であった。

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【UE52980年】

◆ 自由圏制度、正式憲章化と布告

「銀河制度補則第17号:“制度外共栄宙域(通称:自由圏)”制定」

• 辺境銀河群において、総督府による最小限の制度設計と調停権を前提

とし、

• 開拓・統治・社会制度を個人・共同体・民間に委ねる開拓構造を公式

に承認。

• 同憲章には、アノレクト文明の記録の抜粋が「反復を禁ずる文明戒

律」として添えられた。

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【UE53010〜53030年】

◆ ガスカヌーン/トリアングル=メナー銀河群にて自由圏運用開始

• 自由圏憲章に基づく初の実施銀河群として両銀河群が選定され、開拓

が始まる。

• 「制度の手の届かない場所ではなく、制度が手を引いた場所」として

広く市民に知られ、

大銀河連邦の新たな“生き方の選択肢”として注目される。

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結語:

自由圏制度は、大銀河連邦が自らの過去の誤りと未来の不安に真摯に向

き合い、

制度の限界と倫理の本質に立脚して選び取った“文明の第三形態”であ

る。

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