オミクロン・ヴァージナの昇格
UE50718年:オミクロン・ヴァージナ銀河群 銀河連邦昇
格審議
◆ 開催概要
会場:マクシフ・中央大銀河評議会審議ホール 第七階層(特別昇格審議
室)
議題:大銀河連邦制度評価庁および記録庁による報告を受けた、
オミクロン・ヴァージナ銀河群の銀河連邦正式昇格可否の審議および投
票
議席:常設銀河連邦11議席+制度関連4機関代表(計15票)
陪席:オミクロン・ヴァージナ総督府代表(投票権なし)、市民詩代
表、制度詩人連盟、倫理詩庁査閲官 ほか
審議の構成
第一部:制度評価報告(制度評価庁・記録庁)
制度成熟指標、人口安定性、行政整備、制度内倫理の整合性などにおい
て、
既存銀河連邦と同等以上の水準に達しているとの評価が提出される。
記録庁からは、未調査星域の存在を認めつつも、保護体制・調査倫理・
市民意識の成熟度により、
「制度侵害リスクは極めて低く、継続的な共存体制の維持が可能」とす
る判断が下される。
第二部:各陣営代表による意見陳述
◆ 昇格推進派代表(エルガファリス・マークシフ制宙代表):
「制度を強制せずに定着させたこの2000年は、大銀河連邦がようやく制
度を制御する文明になった証だ。
今こそ、制度と記録の共存モデルを正式に迎え入れるべきである。」
◆ 慎重派代表(エリダヌス・記録庁倫理局長):
「制度が一度でもその枠を越えれば、記録されなかった遺構の尊厳が侵
される恐れは残る。
昇格は、そのリスクを制度として“許す”決定となる。まだ早い。」
◆ 中央銀河連邦代表(調整派):
「既に制度は自らを制限する術を手に入れている。我々はそれを“文明”
と呼ぶのではなかったか?」
第三部:陪席発言 ― 総督府代表および市民詩代表
◆ 総督府代表:
「私たちは記録されることを望まなかった。だが記録から逃げるのでも
なく、
ただ静かに共にあろうとした。そのあり方が、制度の中に居場所を持て
るかどうかを問います。」
◆ 市民詩代表・少年詩人アメル=ユン(12歳):
「記録が全部じゃない。記録しないことを選んでも、
わたしたちは、ここに生きてる。これって、制度じゃないの?」
→ この発言は、審議記録内に**“記録詩としての倫理句”**として明記さ
れ、
後に昇格決定理由文書の冒頭にも引用される。
第四部:投票と最終決定
投票形式:匿名電子投票、15議席中11票以上で可決、12票以上で即時認
定
投票結果:
議席|投票内容
エルガファリス|賛成
中央銀河連邦|賛成
レオ|賛成
エリダヌス|反対
ほか8銀河連邦|賛成(うち2議席は条件付き承認)
評価庁代表|賛成
記録庁代表|反対
制度設計庁|賛成
文化倫理庁|賛成
最終票数:賛成 12、反対 3 → 条件付き即時昇格承認
決議文要旨(抜粋)
「本銀河群は、制度の力を行使せずして制度を定着させた。
記録と沈黙、制度と空白の共存を成し得たことをもって、銀河連邦にふ
さわしき成熟を認める。
よって、オミクロン・ヴァージナ銀河群を、
第12番目の銀河連邦としてここに認定する。」
※ ただし、以下の条件を付与する:
制度的影響力の銀河外拡張は100年ごとに再審査
遺構保護星域への制度導入は個別承認制を継続
その後:制度への反映と文化的波紋
昇格が決定された日、ダーイセンでは記録鐘(Silent Bell)が一度だけ
鳴らされた。
これは制度音ではなく、「記録しない決定を制度化したことを知らせ
る合図」とされた。
新たに発足した**オミクロン・ヴァージナ銀河連邦(OVGF)**は、制度
と倫理の緩やかな共同体として、
他の銀河連邦とは一線を画す存在となる。
昇格後も「空白星域」は保持され、**“制度で定義されない領域を持つ
唯一の連邦”**として、
制度記録史に刻まれることとなった。




