ビショク戦役後
◆ UE45274年以降の展開:
《跳躍艦隊の滅びと、歩む者たちの銀河統治へ》
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【I. ビショク戦役終結:跳躍艦隊の消滅(UE45274年)】
• カリギュラ宙域にてビショク最後の指揮系統が破壊され、戦術AI複合
体が焼却。
• 以後の跳躍艦は自爆、または無人艦として機能停止。司令官不在のま
ま統合も降伏も不可能となる。
• 大銀河連邦はこの戦いを「記録なき敵の最期」と定義し、戦争史上初
の“完全殲滅戦”として記録。
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【II. レオ総督府の拡大と宙域安定化(UE45274〜45350年)】
● 宙域統治の拡大
• 連邦軍務局および記録庁は、ビショク艦隊の残骸処理と宙域衛星網の
修復を開始。
• 跳躍拠点跡地を転用し、**「定着型植民都市」および「衛星式制宙基
地」**を建設。
• 結果、レオ総督府の実効支配圏はしし座I銀河群の93%に拡大。
● 民間開拓と文化融合
• 主体はケンゴ系混血民、連邦市民、レンズマン候補生らによる新開拓
隊。
• 遺棄艦を再利用した住居・行政拠点の形成が進み、跳躍技術に依存し
ない新都市文明が定着。
• 「歩む者たちの銀河」という標語が広まり、反跳躍文化が一定の精神
的支柱となる。
● 統治構造の高度化
• 首都ガノナンを中心とする行政網が全宙域に波及。新設12星系にレオ
直轄統治局(RGO)が整備。
• 跳躍教育は技術継承に限定され、文化的な“跳躍崇拝”は封じられる。
• 記録庁は「レオ銀河連邦昇格に向けた監査開始(UE45500年目処)」
を通達。
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【III. ギソウ宙域への接触開始(UE45275年〜)】
● 接触の端緒:灰色艦の跳躍パターンを検出
• レオ宇宙偵察局が、宙域西縁「サ=カル宙帯」にて定時跳躍航路を維
持する灰色艦影を複数観測。
• 跳躍残留パターンおよび航法軌道から、ギソウ基幹艦隊の活動圏が
リュオ=アスト連星域に集中していると確定。
● 連邦による外交判断
機関 判断
記録庁 ギソウ艦は“記録行動”の兆候を示しており、情報収集・保存系統
に近い文化構造の可能性
軍務局 跳躍規律が高度かつ長期不干渉を保っていることから、「敵性」
でなく「警戒対象」と位置付ける
総務院 ケンゴに類する“交渉可能なゼントラン文化圏”であるとの見立て
で、和平努力を優先
→ 方針:武力示威を伴わぬ接触試行を段階的に実施
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【IV. 準備行動:探査・交信試行(UE45276〜)】
• レオ総督府配下の通信跳躍特使艦隊がリュオ=アスト宙域境界に到
達。
• 灰色艦に向けて、連邦標準通信パターン・名乗り・旗章を順次発信。
• 初期段階では応答なし。ただし、敵性行動(攻撃・逃走・妨害)も一
切なし。
• ギソウ艦は、接触艦隊を回避しつつ緩やかに軌道変更→定点停止とい
う“行動的返礼”を行う。
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【V. 文化的・軍事的反応】
● レオ宙域市民社会
• ビショク戦役を乗り越えた反戦気運が強く、ギソウとの和平的接触を
歓迎する声が多い。
• 開拓民の間では「ビショクのような跳躍の狂気ではないのなら、接触
してもよい」という認識。
● 軍・レンズマン層
• サムライ系士官や跳躍軍将校は、ビショクとの違いに注目しつつも、
冷静な監視を継続。
• 一部では「ギソウは記録そのものを守っている種族であり、記録庁と
最も相性が良いのでは」との意見も台頭。
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総括(UE45274〜45300年の意味)
● ビショクの滅亡により、「降伏なき敵」という新しい戦争の終わりを
経験した大銀河連邦は、
“敵の構造と対話可能性を見極める”という新たな外交・軍事哲学へ移行
した。
● その中でレオ宙域は「平定された銀河文化のモデル地域」となりつつ
ある。
● 一方、ギソウ基幹艦隊との接触は、**“ゼントランにおける第三の道”
**を探る第一歩となる。