ヒュドラ戦役終盤
◆ ヒュドラ戦役・終盤(UE37200〜37250)
「黒殻の星が裂ける時」――最後の銀河要塞と文明死守戦の記録
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【戦略転換と終戦の兆し】
• UE37200年、大銀河連邦は「ゼラ=コア星系」にスタクソン残存総力
が集結していることを確認。
• 同星系は10以上の衛星・宙域工廠・重力軌道砲台・軌道渦流を持ち、
「銀河最大最後の軍事拠点」と化していた。
• 銀河連邦軍は「これを制圧すれば、うみへび座戦域は終結し、銀河跳
躍路は完全に確保される」と判断。
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【作戦名】
• 〈終限突破作戦〉
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【ゼラ=コア星系の防衛構造】
• 中心惑星「ゼラ=コアI」は地核全域に防衛機構を内蔵した“生きた要
塞”
。
• 衛星群には自己進化型兵器群が常時配備。24時間ごとに編成を変化さ
せる“可変迎撃ドーム”
。
• 惑星地上の都市部は、もはや都市ではなく「戦闘生産集合体」と化し
ており、民間人と戦闘員の区別が崩壊。
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【戦闘経過】
◉ UE37200〜37220:前哨制宙戦
• 連邦軍は大型戦艦群を展開し、衛星12個を破壊。中性子駆動衛星「ヘ
レク-Σ」の撃墜に成功。
• 軌道砲撃→通信遮断→衛星包囲の三段階制宙作戦により、星系外縁部
を無力化。
• スタクソン側は宙域全域に“死の反射帯”を形成し、連邦側艦隊の突入
を阻止。
「あの星では、死が光速で循環している」
― 第3重宙戦群司令タリス=レム
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◉ UE37220〜37245:降下戦・地上戦
• 連邦軍は1000万人規模の降下部隊を5波に分けて投入。
• 地表は電子擬装により“動く地形”となっており、降下精度を狂わせ多
数が宙域で死亡。
• 生存降下兵の戦死率:約82%
• スタクソン側は戦闘母体に一般市民を融合させ、
事実上の人間兵器群を生産。
【ゼラ=コア市街制圧戦】
• 地上5層/地下15層の都市要塞。各層で約100年の備蓄と自動戦闘機構
を保持。
• 最終的に連邦軍は惑星南半球を“環状中性子掃討砲”で直接削り取り、
地下拠点を無力化。
• 生存率:約0.0002%(敵側)
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◉ UE37245〜37250:残党掃討・崩壊
• 地殻深層で“統合知性体”が暴走、惑星そのものが重力崩壊の兆し。
• 連邦軍は撤収を決定、記録官艦艇が全記録物の強制抽出を行い、星系
の物理的消滅前に脱出。
• UE37250、ゼラ=コア星系全域が事実上消滅。戦役終結宣言が発され
る。
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【人的・文明的損耗】
項目 スタクソン側 連邦側
推定死者数 約18京人 約4京人
陥落施設 要塞惑星1/衛星要塞12/戦闘工廠群27
捕虜/降伏 0人(完全玉砕) -
星系の物理崩壊 ゼラ=コア星系消滅(記録的損耗)
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【終戦後の評価】
• 軍事的には圧倒的勝利だが、精神的には“文明対文明の死闘”として刻
まれた。
• ゼラ=コア戦は「存在そのものを否定された敵との最終戦」として記
録され、**“血の終星(The Final Red Star)”**と呼ばれるようになる。
• 銀河連邦はついに「スタクソン本土への道を切り拓いた」が、その代
償は民意を絶句させるほどの流血と焦土だった。
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【終末詔と記録官の言葉】
「ここに、星々が沈黙することを以って、われらの征くべき道がまた一
歩延びたり」
― 統合艦隊終戦詔より(UE37250)
「記録されぬ星が一つ増えた。ただそれだけの事実が、すべてを語って
いる」
― 主記録官 レア=マサリア