マル急計画
## **マル急計画**
### **1. 計画の背景**
#### **(1) 戦局の変化と緊急対応**
- 1941年(昭和16年)、ヨーロッパにおけるドイツの急速な拡張と日英
同盟ブロックの対独戦線への関与が避けられない状況となりました。
- 海軍は戦時消耗の補充と通商路防衛を目的として、緊急軍備増強を求
められました。
#### **(2) 戦力整備の目標**
- 艦隊の防空能力、航空戦力、沿岸防衛力を強化し、戦時体制への迅速
な適応を図ることが計画の主眼とされました。
- また、補給能力や特務艦艇の整備を通じて持続的な作戦運用能力の向
上を目指しました。
#### **(3) 予算と資金調達**
- 本計画の予算は**臨時軍事費**により賄われました。
---
### **2. 計画の内容**
#### **(1) 艦艇建造**
**防空巡洋艦** 大淀型(4隻)
**航空母艦** 翠鳳型(2隻) 架空艦(改⼤鳳型)
**海防航空母艦** 室蘭型(4隻) 架空艦(護衛空⺟)
**海防艦(乙)** 御蔵型、日振型、鵜来型(計32隻)
**駆逐艦(乙)** 秋月型(26隻)
**駆逐艦(丁)** 松型(48隻)
**潜水艦(乙)** 伊40型(6隻)
**潜水艦(丙)** 伊16型(6隻)
**潜水艦(中)** 呂35型(12隻)
**潜水艦(小)** 呂100型(9隻)
**補給艦** 風早型(4隻)、洲埼型(6隻)
**特務艇** 駆潜特務艇(100隻)、掃海特務艇(16隻)
**魚雷艇** 甲型(18隻)
---
#### **(2) 航空戦力の繰上整備**
- ④計画で予定されていた航空戦力整備を1年繰り上げ、昭和17年度
(1942年)末までに完了させる計画としました。
- **航空母艦:** 翠鳳型と室蘭型を中心に艦載機の配備を強化。
- **陸上航空隊:** 対潜哨戒機や防空戦力の増強を進め、沿岸防衛に寄与
しました。
---
### **3. 計画の進行と成果**
#### **(1) 艦艇建造の進捗**
- **主力艦:**
- 防空巡洋艦(大淀型4隻)と航空母艦(翠鳳型2隻、室蘭型4隻)が建
造され、艦隊の防空能力と航空戦力が強化されました。
- **護衛艦艇:**
- 秋月型駆逐艦26隻、松型駆逐艦48隻が完成し、護衛任務や防空作戦
に投入されました。
- **小型艦艇:**
- 駆潜艇や特務艇などの小型艦艇が大量に整備され、通商路防衛や沿岸
作戦に大きく貢献しました。
#### **(2) 航空戦力の充実**
- 繰り上げ整備により、航空母艦に配備された艦載機が戦局で重要な役
割を果たしました。
- 対潜哨戒機や陸上航空隊の増強が、通商路の安全確保に寄与しまし
た。
#### **(3) 戦略的成果**
- 通商路防衛、沿岸防衛、補給能力の強化により、戦時体制への迅速な
対応が可能となりました。
- 小型艦艇や補給艦艇の大量建造により、持続的な作戦運用能力が向上
しました。
---
### **4. 戦略的意義**
#### **(1) 防空能力の強化**
- 大淀型防空巡洋艦と秋月型駆逐艦により、艦隊防空能力が飛躍的に向
上しました。
#### **(2) 補給体制の充実**
- 風早型、洲埼型の補給艦が艦隊の持久力を支え、戦術の柔軟性が向上
しました。
#### **(3) 小型艦艇の充実**
- 駆潜特務艇、掃海特務艇、魚雷艇などが通商路防衛や沿岸作戦で重要
な役割を果たしました。