②計画
## **②計画の詳細**
### **1. 計画の背景**
#### **(1) ロンドン海軍軍縮条約への対応**
- 1930年のロンドン海軍軍縮条約に基づき、日本海軍の戦艦や航空母艦
の建造は制約を受けていました。これを踏まえ、条約制限内の戦力拡充
と条約制限外の補助艦艇の建造が②計画の主目的となりました。
#### **(2) 日米戦争の影響**
- **日米戦争(1935~1937年):**
- ②計画で建造中だった艦艇や航空戦力は、戦争中の主要な海戦には
間に合わず、戦後の活用を前提として進行しました。
- 日本海軍は戦争中に多くの艦艇と航空戦力を消耗し、その補填を目的
に計画が縮小されながら継続されました。
#### **(3) 計画の目的**
- **戦時:** 1934年から開始された計画の建造艦艇は、戦争には間に合わ
なかったものの、戦争中の損耗に対する補填と戦後の再建を視野に入れ
て整備されました。
- **戦後:** 戦力の再編を通じて、次世代海軍の基盤を形成する長期的な
計画として活用されました。
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### **2. 計画の内容**
#### **(1) 計画期間**
- **当初計画:** 昭和9年度(1934年)~昭和12年度(1937年)の4ヵ年計
画。
- **調整後:** 日米戦争の影響により一部艦艇の建造が中止される一方、
計画期間が1939年まで延長され、縮小継続。
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#### **(2) 艦艇建造計画**
##### **条約制限内艦艇**
1. **航空母艦(2隻)**
- **蒼龍、飛龍:** 中型空母。高速性能と航空機搭載数を重視。
- 竣工は1938年以降であり、戦後の海軍航空戦力の中核を担いまし
た。
2. **巡洋艦(4隻)** ※1
- **利根型巡洋艦:** 偵察能力と航空機運用を重視した最新型巡洋艦。
- 戦後に再建された艦隊で偵察・指揮任務を遂行。
3. **駆逐艦(16隻)** ※2
- **朝潮型駆逐艦:** 対空火力と航続性能を向上。戦後の艦隊護衛任務
で活躍。
4. **潜水艦(8隻)**
- **伊七型(巡潜3型):** 長距離航行可能な大型潜水艦。
- **伊一七四型(海大6型B):** 改良型中型潜水艦。
- **呂35型(中型):** 短期間で量産を目指した中型潜水艦。戦後の運
用が主体。
史実ではマル臨計画で建造
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##### **条約制限外艦艇**
1. **給油艦(4隻)** ※3
- **剣埼型:** 太平洋での艦隊行動を支える重要な補給艦。
2. **水上機母艦(3隻)**
- **千歳型:** 艦載水上機の運用と沿岸偵察を目的とした甲型(2隻)と
乙型(1隻)。
3. **水雷艇(16隻)**
- **鴻型:** 高速性を重視した沿岸作戦用小型艦。松型駆逐艦に建造が
移行され8隻の建造が中止。
4. **駆潜艇(4隻)**
- 潜水艦対策を目的とした沿岸防衛艦。
5. **工作艦(1隻)**
- 艦隊修理能力を向上させるため建造。
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#### **(3) 航空戦力**
- **当初計画:** ①計画で予定されていた14隊に加え、②計画分の8隊を
追加。計22隊を昭和11年度(1936年)までに整備。
- **配備:** 陸上航空隊を中心に南方戦線の防衛任務を担い、戦後の航空
戦力の基盤を形成。
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#### **(4) 1936年の追加計画**
- 日米戦争の推移を受けて次の艦艇が追加されました:
- **戦艦(4隻):** 次世代型戦艦として高千穂型が建造され、戦後の主
力艦隊を形成。 ※4
- **駆逐艦(16隻):** 松型駆逐艦を量産。
造
- **潜水艦(8隻):** 呂35型を中心に建造。
- **実際の建造:** 戦後の計画縮小により、戦艦4隻、駆逐艦8隻、潜水艦
4隻が完成。
急造駆逐艦。※5
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### **3. 計画の進行と成果**
#### **(1) 損耗補填**
- 日米戦争での損耗艦艇を補填するため、駆逐艦や潜水艦が優先的に建
造されました。特に、朝潮型駆逐艦や呂35型潜水艦は戦後の日本海軍で
中核的な役割を果たしました。
#### **(2) 航空戦力の強化**
- 竣工した蒼龍型空母や陸上航空隊が、戦後の防衛戦略を支える航空戦
力の中心となりました。
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### **4. 戦後の影響と意義**
#### **(1) 再建計画への貢献**
- 日米戦争での損耗補填と、次世代戦力の整備を目的とした②計画は、
日本海軍の再建に直接的な貢献を果たしました。
#### **(2) 技術の進化**
- 建造された艦艇や航空機は、戦後の技術革新に大きな影響を与え、日
本の造船能力や航空技術の向上に寄与しました。
#### **(3) 長期的意義**
- 戦争を経た艦艇建造の経験が、日本の商業造船や技術輸出にも波及
し、経済的な発展の基盤となりました。
※1:史実では2隻
※2:史実では10隻
※3:史実では2隻
※4:架空艦
※5:史実では1943年以降建造