高角砲小史
日本海軍の高角砲の進化と運用
1. 一〇年式12cm高角砲
概要
• 採用年: 1922年(大正11年)
• 特徴:
• 45口径設計で、射程と高射高度は平凡ながら、生産性と信頼性に優れ
た初期型高角砲。
• 大量生産が可能で、小型艦艇や陸上砲として戦争末期まで活用され
た。
開発背景
• 航空機の脅威の拡大:
航空機が戦場での重要性を増していた時期に、艦艇防空用の初期型高角
砲として設計された。
• 生産性重視の設計:
技術的には控えめだが、大量生産が可能で運用の信頼性が高かった。
実戦運用
• 艦艇:
• 海防艦や哨戒艇などの小型艦艇に搭載され、船団護衛任務で使用。
• 例: 海防艦「天草」が輸送船団を護衛し、敵航空機を撃退。
• 陸上砲:
• 沿岸砲台や都市防空用として、対空および対艦戦闘で活用。
2. 八九式12.7cm高角砲
概要
• 採用年: 1932年(昭和7年)
• 特徴:
• 40口径設計で、昭和初期の主力高角砲。
• 駆逐艦の主砲および巡洋艦・戦艦の副砲としても採用され、多用途性
を持つ。
• 陸軍でも一部仕様を変更して採用、各地で実戦参加。一部は対戦車戦
闘も行い、一撃で重戦車を破壊するなどの活躍を見せた。
開発背景
• 多用途設計:
高角砲としての防空能力を重視しつつ、駆逐艦主砲としての対艦戦闘能
力も併せ持つ設計が求められた。
• 初の標準型高角砲:
技術基盤を整備することで、量産と運用の効率化が図られた。
実戦運用
• 艦艇:
• 駆逐艦「朝潮型」「陽炎型」の標準主砲。
• 巡洋艦や戦艦の副砲としても採用され、大規模な艦隊戦でも重要な役
割を担った。
• 陸上砲:
• 港湾部や防空拠点で使用され、対空・対艦攻撃の両面で活躍。
他国との比較
劣る。
• 米国の5インチ砲(127mm)に性能が近いが、発射速度と射程でやや
• 英国のQF 4.7インチ砲(120mm)に近い性能を持つ。
3. 九八式10cm高角砲
概要
• 採用年: 1938年(昭和13年)
• 特徴:
• 65口径の長砲身設計で、射程・高射高度・発射速度が大幅に向上。
• 防空巡洋艦や秋月型駆逐艦に搭載され、艦隊防空の主力火器となる。
• 陸軍でも一部仕様を変更して採用、各地で実戦参加。第二次世界大戦
時には砲戦車への搭載も行われ、貴重な対戦車戦力としても活躍、七式
戦車の主砲にも採用された。
開発背景
• 航空機性能の向上への対応:
高高度を飛行する重爆撃機や、高速で接近する航空機に対応するために
開発。
• 技術的進化:
後座機構や発射速度を改良し、65口径の優れた射程を持つ。
実戦運用
• 艦艇:
• 陸上砲:
• 戦車砲:
撃破。
• 秋月型駆逐艦で初採用され、防空巡洋艦「大淀」では12基搭載。
• 防空砲台として使用され、特に都市部や港湾防衛に効果を発揮。
• 三式砲戦車・七式戦車の主砲に転用され、高い貫徹力で敵装甲車両を
4. 五式12.7cm高角砲
概要
• 採用年: 1945年(昭和20年)
• 特徴:
• 60口径設計で、射程・威力・発射速度がさらに向上。
• レーダー連動型射撃管制装置を標準搭載し、精密射撃が可能。
• 陸軍でも一部仕様を変更して採用、第二次日米戦争では各地で実戦参
加。特に千島攻防戦での一連の北海道空襲では主力高射砲として活躍。
七式砲戦車、六一式戦車の主砲としても採用された。
開発背景
• レーダー技術の進化:
最新の射撃管制システムと連動することで、夜間や悪天候時の防空能力
を大幅に強化。
実戦運用
• 艦艇:
• 陸上砲:
• 各地の防空拠点で活躍。
• 戦車砲:
• 揖斐型防空巡洋艦で初採用され、その後多くの艦艇に搭載。
• 七式砲戦車・六一式戦車の主砲に改造され、対戦車戦闘や支援砲撃で
多用途性を発揮。




