①計画
### **①計画(マルイチ計画)**
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#### **1. 計画の概要**
①計画(マルイチ計画)は、昭和6年度(1931年)から昭和11年度
(1936年)にかけて、日本海軍が補助艦艇や航空戦力を整備するために
策定した計画です。本計画では、軽巡洋艦 **雄物型** をはじめ、駆逐
艦、潜水艦、補助艦艇の整備が実施され、加えて、航空戦力の拡充や **
大神海軍工廠の整備計画** も盛り込まれました。
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#### **2. 計画艦艇の構成**
##### **軽巡洋艦**
- **雄物型軽巡洋艦(4隻):雄物、米代、渡良瀬、吉野**※1
- **主砲**: 三連装15.5cm砲×5基(計15門)
- 射程・命中精度に優れた火砲。後に利根型にも採用される。
- **速力**: 約35ノット
- 艦隊追随能力に優れ、偵察や直衛任務に適合。
- **航空設備**: 偵察用水上機3機を搭載可能。
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##### **駆逐艦**
- **初春型駆逐艦(6隻)**
- 条約型駆逐艦として建造。魚雷兵装を強化し、夜間戦闘に特化。
- **白露型駆逐艦(4隻)【追加計画】**
- 初春型の設計を改良し、安定性と航続距離を向上。1935年の追加計
画で建造。
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##### **潜水艦**
- **呂33型潜水艦(4隻)**
- 中型潜水艦として設計され、通商破壊や敵艦隊への奇襲を想定。
- **呂35型潜水艦(4隻)【追加計画】**
- **特徴**:
- 呂33型を基に航続距離や静粛性を強化した改良型。
- 長距離作戦能力を持ち、太平洋での作戦行動に対応可能。
- **意義**:
- 日本海軍の潜水艦戦術を支える重要な艦級であり、日米戦争でも運
用。
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##### **補助艦艇**
①計画では補助艦艇の整備も重視され、以下が建造されました:
- **敷設艇(3隻)**
- 主に防衛拠点の機雷敷設を担当。
- **掃海艇(6隻)**
- 敵機雷の除去を目的とし、艦隊行動の安全性を確保。
- **駆潜艇(4隻)**
- 潜水艦対策として建造され、沿岸防衛に貢献。
- **給油艦(2隻)**
- 艦隊の作戦行動を支える補給任務を担当。
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#### **3. 大神海軍工廠の整備計画** 仮称O廠。※2
- **目的**
- 将来の大型艦建造能力の確保を目的として、基幹施設として整備され
ました。
- **整備内容**
- **大型ドック**: 戦艦や空母の建造を想定した全長350m以上のドック
を建設。
- **修理施設**: 戦時における損傷艦の迅速な修理を可能にする設備を
整備。
- **製鋼設備**: 主力艦用の装甲材を自国生産するための高性能製鋼施
設を設置。
- **進捗**
- 1931年に着工し、1943年竣工予定。
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#### **4. 航空戦力整備計画**
①計画では、航空戦力の整備が重要な柱として位置付けられました。
- **陸上航空隊**
- 14隊を整備し、偵察・攻撃任務を担う。
- **艦載機部隊**
- 鳳翔型航空母艦を拠点とし、艦上戦闘機、爆撃機、偵察機の運用を開
始。
- **教育機関の拡充**
- パイロットや整備士の養成機関を新設し、航空戦力の人員基盤を確
立。
※1:史実の最上型
※2:史実では計画のみ