■九■
冬は日が傾くのも早い。雪合戦が終わったあとは近くの食堂で鍋を食べて解散というのが毎年恒例の流れである。
邑夫が先に帰り、次に良二は中学生の彼女が、続いて湊、隆奈と月乃が一緒に帰宅していった。
「美原もヘタレねぇ」
柚梨は呆れたような、からかうような口調である。
「うるさいわよ」
そんなことは百も承知だと表情で訴える。
「やっぱり、今日のチーム配置は柚梨の差し金なのね」
「さあ、どうかしらね」
意地でもとぼけようとする姿に美原は思わずため息をつく。
「まあ、もういいけど」
「菖蒲さんに遠慮する必要はないと思うのよね。好き嫌いなんて自分の勝手じゃない」
「だって……」
「まあ、このまま告白しても自爆は目に見えてるしね。彼、菖蒲さんにぞっこんだし」
「知ってる」
改めてそう言われると萎れてしまう美原の姿が柚梨には愛おしく感じた。
「よし、これから二人で二次会しよう!」
柚梨は美原の手を強引に取って歩きだす。
「ちょ、ちょっと!」
青春はいつか終わる。
でも、いまは歩いていればいいのだと言い聞かせるように。
二人は手を繋いで進み出したのであった。
これにて終了です。
集団戦をテキストで書くことの厳しさを教わりました。
読了ありがとうございました。