ハッピーエンド
遠藤家朗。家朗と書いて『いえろう』と読む。父が単純に黄色が好きである理由と、洒落っ気を出したかったのか英語の黄色を意味するイエローが語源だ。そこに『家』の字と『朗』の字をあてただけの名前。辛うじて『朗』の字は男を意味する『郎』ではなく、ほがらかで明るい子を意味する『朗』の字にしたとだけは聞いている。
名付け親である物静かな和菓子職人の父鍵郎。その父も、下町風情が残る商店街で毎年行われるお神輿を担ぐ時期には人が変わる。
お神輿を担ぐ時に着用する法被。誰が決めたのか、町内会毎にチームカラーのようなものは決まっている。白、赤、青、藍色、臙脂色など。これらの色を織り交ぜた配色でデザインして貰う。しかし、何故か我が町内会のチームカラーは黄色。神輿を担ぐ法被としては似つかわしくない黄色。何故?と疑問視する前に、我が町内会の住人なら即座に誰もが答えは出る。
普段、家では言葉数の少ない父だが、町内会の行事になると積極的になる。おそらく、それが普段の父なのかも知れない。以前、お店を贔屓にする駅前の不動産屋社長が和菓子を購入しに来店した際『また、飲みに誘うからな』との酒の席の誘い。最初は近場の居酒屋にでも飲みに行ったのかと思っていた。でも、様子が違うようだった。社長さんが父に対し『あんた、最初は堅っ苦しい人かと思っていたけど、冗舌で面白い。お店の子が、またあの人呼んで欲しいってさ』。すると、みるみる父の顔が赤らむ。察するに、各町内会長同士の集まりで駅前のキャバクラへ行っているようだった。
父の意外な一面を見てしまった。と言う思いよりも、黄色が好きでレモン風味の真っ黄色な和菓子を製作し、売り上げに関係なくお店の目立つ場所に置く所。お店の制服もさり気なくワンポイントで黄色いラインが入っている所。僕の名前を家朗にしてしまう所。その辺の迷いがなく徹底している所や、オンオフのオンの部分がはっきりしている所。今では納得に変わりつつある。
商店街に面した『遠藤和菓子店』。看板の文字は黒だが、そこを縁取るように黄色みがかった黄金色となっている。その向かいにあるのが呉服屋。その呉服屋の娘であるあおいは、保育園からの幼なじみ。高校からは別々となったが、変わらず家を行き来する仲だ。そのあおいが、最近になりキラキラと綺麗になり始めた。ショートカットだった髪も、高校に入ってから伸ばし始め背中まで伸びていた。スカートも短くなり、スラリと伸びた脚がより際立つ。色も白く、僕にはない大人びた雰囲気も漂うようになってきた。
『あおいっ』
家朗が名前を呼ぶ。振り返った瞬間にエフェクトがかかったかのような輝き。コンマ何秒で夜空を走り抜け、儚く消える流れ星。漫画でしか見ないその流れ星のような輝きが、あおいの周りに一瞬だけだが無数に放出される。
朝靄が漂う静かな湖面。突然、魚が激しく飛び跳ね、その後の波紋のように静かに家朗の鼓動が波打つ。
『なぁ、あおい。高校で彼氏出来た?』
唐突で脈略のない質問。自分の意思に反してはいたが考えるよりも先に言葉に出ていた。
『えっ?』
一瞬、戸惑った表情を見せたあおいだったが、直ぐに笑顔に戻った。
『出来る訳ないじゃん。逆に、家朗こそどうなの?』
何の気なしに質問したせいか、想定外のブーメランが弧を描くどころか角度がない跳ね返りで帰ってきた。思わず口に含んでいた烏龍茶を噴き出してしまった。
『もう、何やってんのよ』
家朗の家だが、手慣れた感じであおいは布巾を台所まで取りに行き、直ぐさま目線を合わせずに机と床を拭いた。
『で、どうなの。彼女出来たの?』
と聞き終わると、家朗に目線を合わせてきた。
『出来る訳ないじゃん。俺なんか』
家朗の応えを聞き、どこか茫洋とした表情を見せたが、帰る時には何時もの鷹揚としたあおいに戻っていた。
梅雨明け発表も間近だった。期末テストも終わり、夏休みも直ぐそこ。家朗は染物屋に頼んでいた品物を取りに行く事になっていた。呉服屋の娘であるあおいも、染物屋の主人と親同士の付き合いがあり付き添って貰うことになった。商店街を出て、駅まで連なる商店の並びに染物屋はあった。発注していた品物のことを告げると、店主は店の奥に戻り、品物を持ち家朗とあおいの前に再び戻ってきた。
『しかし、派手だねぇ。黄色の法被は』
確かに、店主が言うとおり目がチカチカとする程の鮮やかな黄色だ。もう少し、色合いを抑えた方が良かったのでは。この場に居る三人が三人とも、法被を見た途端に思っていたであろう事は容易に想像出来る。それと同時に、頑なな父を思い浮かべたら、三人ともに反論の余地がないことも納得せざるを得ない。
『着てみるかい』
三人の数秒の沈黙を破るように店主が促す。家朗は袖に腕を通して鏡の前に立つ。
『不思議だねぇ。親父さんもそうだが、袖を通すとその派手な黄色の違和感がなくなる』
店主が言うとおり、法被から発する麗々しさが抑えられ、しっくりと来る格好良さの方が上回る。
黄色い法被に袖を通すと、高校生となって神輿を担ぐことを許された家朗も漸く実感が湧いてきた。
染物屋を出ると家朗の名を呼ぶ聞き覚えのある声。振り返ると中学時代の同級生黒丸が狡猾な笑みを浮かべ立っていた。
『あれっ、あおいも一緒だったの。もしかして、お邪魔だったかな』
明らかにあおいが一緒にいる事を確認した上で話しかけてきたようだった。そして、動揺する家朗の表情を楽しむように更に口角が上がる。
『そっ、そんな事ないよ。あおいと法被を取りに行くのを付き合って貰っていただけだよ』
動揺する事でもない筈なのに。ややニキビ痕が残る家朗は、鏡があったら顔が食べ頃の苺のように真っ赤になっていであろう事は間違いない。自分でも顔が焼けるように暑かった。
『えっ、お前たち付き合ってたの』
その『付き合っている』ではないのに、更に動揺する家朗。
『あおいと僕が?ちっ違うよ』
その言葉を発したと同時にあおいの方を見ると、楚々としたあおいの表情が一瞬曇った。
あたふたとする家朗の表情を見て満足したのか、家朗の肩をポンと叩くと、『お幸せにっ』と言った雰囲気で狡猾な表情を家朗とあおいに向け黒丸は去っていった。
商店街に入ってからも終始俯き加減で無言のまま並んで歩く二人。家の前に着き、家朗が『じゃあね』。そう言うと、あおいは家朗の方を振り向きもせず『じゃあね』。そう言ってあおいはお店の中を通り抜け家の中へ。それを見届けてから家朗も、お店に居た父親に法被を見せると部屋に戻った。
大暑も過ぎ、蒸し暑かった梅雨の事を忘れさせるように真っ青な空に入道雲が湧き上がっていた。
7月の最終土曜日に花火大会。翌日の日曜日に神輿を競う祭りが行われる。家朗はあおいを花火大会に誘った。
毎年、白を基調に水色と青色を織り交ぜた花柄模様の浴衣だったあおい。今年は、藍色をメインにしたあおいの年齢にしては大人びた浴衣を着てきた。母親のお下がりらしい。
両サイドに屋台が連なる通り。いつもと変わらぬ楚々としたあおいと並び歩いていて家朗は思った。端から見れば僕とあおいは付き合っているように見えるのだろうか。花火大会の花火がよく観える土手まで着き、無言のままリンゴ飴を二人して齧りながら夜空を見上げる。
あおいとこうして会話をせず夜空を見上げるだけでも落ち着くし心地良い。でも、付き合っていたなら、こう言う時に彼氏彼女のどちらともなく他愛もない話しをしながら盛り上がるのではないか。
『どうした、家朗。つまらなそうな顔して』
そんな妄想に耽っていた事などあおいが知る由もなく。こんなに無言が続いていても、怒らない彼女なんているのだろうか。あおいが話しかけている事にも気づかず、更に妄想に耽っていた。
堪えかねたあおいが強く拳を握り、無視を決め込んでいる家朗の肩めがけて思い切り殴った。
『おいっ、家朗』
あおいの拳で漸く家朗も我に帰った様子だった。振り向くと、眉間に皺を寄せたあおいの顔があった。
『えっ、なに怒ってんの』
すると、あおいは呆れ顔。
『もう、帰ろ』
『えっ、まだ花火大会は終わってないよ』
『パンッ、パンッ』と、家朗は夜空に鳴り響く打ち上がった花火を見上げた。
『じゃあ、私は帰るからね』
あおいのその言葉にも名残惜しそうに夜空を見上げる家朗。再び強く握ったあおいの拳が肩にもう一発。そのまま無言で家路に着いた。
『おいっ』
神輿の準備を手伝っていると、後ろから聞き覚えのある声。家朗が振り向くと、こどもの日に近くの河原で大きく風に揺れる鯉のぼりの鱗みたいな柄。背中には龍が天へ舞う法被を着た黒丸だった。
『目がチカチカするその格好悪い法被って、お前の所の町内会だったのかよ』
この前、商店街で会った時もそうだった。中学時代からの口の悪さと厭味っぽさは変わらない。それだけを言うと、そのまま黒丸は仲間とともに去って行った。
中学時代。
『俺のチームのマーク』
そう言ってスプレーで学校の壁に円を描いた後、円の中に漢字の黒の字を少し崩して書いたと思われる字を書いていた。もし、黒丸の名前が中丸だったなら、円の中に中の字で中華料理屋みたいだったろうな。家朗は、そんな黒丸の中学時代を思い返していた。
『黒丸君、中学時代に1日だけドレッドヘアだった事あったでしょ』
一緒にいたあおいが徐に話し出した。あんな感じでも、ほぼ毎日学校には来ていた。でも、一度だけ学校を休んだ日があった。休んだ次の日、何の前触れもなく黒丸がドレッドヘアで学校にやって来た。
『あれ、何でだと思う』
単純に目立ちたいからだと思っていたが、クラスが一緒だったあおいが質問してくると言うことは、何か理由があってのあの髪型だったのか。
『バスケットの強い学校に進学した黒人のハーフだった子を覚えてる?』
家朗とあおいの学年は11クラスあったマンモス校。それでも覚えていた。二年生の時は大人しく、さほど目立つ雰囲気はなかった。けれど、三年生になって一気に20センチ以上身長が伸びて180センチ以上の身長になっていた。
『二年生の時はさほど背も高くなく口数も少ないし、黒人とのハーフで目立つから虐めに近い事をされていたのよ』
特に、チリチリとした髪の毛を必要以上に責めていた集団がいた。その光景を黙って黒丸が見ていたので、最初は虐める側に加わるのかと思っていた。でも、ジッと黒丸はその光景を見ているだけだった。
次の日、学校の壁にスプレーで文字を書いたり、トイレで煙草を吸ったり、先生には反抗的だし、学校に不満でもあるなら来なければ良いのに。そんな皆の思いに逆行して、学校には毎日登校していた黒丸が珍しく学校を休んだ。黒丸がドレッドヘアで登校してきたのは、その次の日だった。
例の如く黒人のハーフの子の髪質を小馬鹿にし始めた集団。すると、ゆっくりとその場に黒丸が近づいていった。
『俺も髪の毛チリチリなんだけど、変かな』
集団のリーダー格となる子。その子の額と額とがくっ付くくらいの距離まで黒丸は顔を近づけていた。
『さっきから俺に厭味言ってんの、お前』
当時、二年生だった黒丸だが、何故か三年生でも黒丸に逆らう者は学校に居なかった。当然、リーダー格の子や加勢していた子達は何も言えなくなって、黒人のハーフだった子への虐めはそれ以降なくなった。
『まさか、その為にドレッドヘアに?』
『分かんない、分かんないけど黒丸君て根は良い人なんじゃないの』
確かに、黒丸を恐れ黒丸に喧嘩を売る人間は学校には居なかった。それに、家朗自身も黒丸から乱暴な事をされた記憶もないし、されたと言う人間も知らない。
『そう言えば、皆に怖がられていたけど学校で喧嘩している所を一度も見たことはないよな』
乱暴な言葉を使ったり、鬼のような形相で先生に睨み返している時の黒丸は迫力があった。でも、背丈はなく、どちらかと言うと小柄な部類だった。
『実は、喧嘩が弱かったりして』
龍が舞う法被を着た小柄な黒丸の背中。去って行った黒丸の後ろ姿を見ながら、家朗は口を真一文字にして含み笑いがとまらなかった。それを見たあおいも、つられて笑いながらも家朗の肩を拳で軽く叩いた。
商店街を抜けた駅前の大通り。まるで金閣寺を小さくしたかのような黄金色の神輿。それを覆うように派手な黄色の法被を着た男達が大声で叫び鼓舞する声が響き渡っている。黄金色の神輿に黄色い法被。一際、周りの見物人の目をひく。
もう一方からは、黒を基調とした神輿。こどもの日に大きく風に揺れる鯉のぼり。その鯉のぼりの鱗模様に背中には龍が描かれた法被。毎年、ぶつかり合う為、大工である黒丸家が補修を行っており、神輿の細部まで凝っていた。
散々大声で叫び、神輿を上下に揺らしながら担いでいた大人達。神輿での競い合いも終了すると、家朗は担いでいた時の高揚感で感じていなかった肩の痛みを感じた。時間が経つごとに増す激痛で肩を見ると、担いでいた方の肩の皮が捲れ黄色い法被に血が滲んでいた。大人達はと言うと、皆に担ぎダコが出来ていてなんて事ない表情をしている。
気分が高揚し、騒がしいまま皆が公園に設置されたテーブルへ。収まることのない賑やかさのまま皆がテーブルを囲う。そして、テーブル中央に置かれていた一升瓶が町内会の皆に振る舞われる。
その間、未成年の家朗は、お酒が入り更に騒がしさに拍車がかかる大人達の勢いに気圧されながら、あおいが用意した消毒液とガーゼで治療を受けていた。
『いたたたた』
『我慢しなさいよ、男の子なんだから』
憧れの神輿。実際に担いでみて分かったが、見ているのと実際に担ぐのとでは雲泥の差だった。でも、楽しくて、気持ちが良くて、担いでいる間は肩の痛みを感じさせない喜びの方が強かった。
大人達は騒がしく高揚している。家朗はと言うと、厭なこと全てを忘れさせてくれる爽快感が痛みと混じりながらも身体を支配していた。
『なんだ情けないな、肩の皮が剥けたのか』
お酒の入った紙コップ片手に父鍵郎が声をかけてきた。日焼けとお酒の酔いが混ざって顔が真っ赤に染まっていた。
『ところで、あおいちゃんと何時から付き合ってるんだ。お前の部屋にあおいちゃんがよく来るけど、嫁入り前の子に変なことしてないだろうな』
酔っているとは言え、父親の言葉に家朗もあおいも一瞬見合った後、恥ずかしそうに下を向く。
『もしかして、まだ告白もしてないのか』
高揚感とお酒の力も手伝って、声を張って話す父鍵郎の声に反応して、テーブルを囲っていた大人達も集まり始めていた。
『神聖なるその黄色い法被は正装代わりだ。遠藤家の名に恥じぬよう、ここで告白しろ。それでハッピーエンドだ』
真っ赤な顔をした明らかに正常ではない大人達に囲まれ、再び肩の皮が捲れた痛みが消える。家朗もあおいも、唐突で予想もしていなかった境地に立たされ下を向いたまま。
『法被と遠藤だけに、ハッピーエンド?かぎろうさん、その駄洒落は面白くないな』
一人の大人の言葉で一瞬だけ場が和む。しかし、告白する以外、この場に集まる大人達の注目が一点に集まり過ぎていて逃れる手段が見つからない。それと、父親の叱咤する言葉で、あおいに対する霧がかかったようなモヤモヤ。薄々気づいてはいたが、それがあおいに対する恋心である事が確信に変わった瞬間だった。
『あおい、好きだ』
躊躇なく明快に告白の言葉を述べ、家朗はあおいに向け手を差し出した。大人達に囲まれている恥ずかしさもあり、終始目線を落として思い詰めた表情だったあおい。家朗が差し出してきた手に目線を上げ焦点を合わせると、あおいも手を差し出した。それを見た大人達は、一斉に歓喜の叫び。何が起きたのかと周りの人達の目線が一斉に黄色い法被の集団に集まる。神輿を担いでいる時とはまた違う、地響きのような大人達の歓喜の声が湧き上がった。
『萌黄、お菓子食べるか』
高校卒業後、父の後を継ぎ和菓子職人の道に入った家朗。あおいは大学へと進学した。
『さっき、かぎろうお爺ちゃんに貰ったからいらない』
大学卒業後に主婦となったあおい。呉服屋はいずれ継ぐつもりだが今は両親に任せている。萌黄が小学生となり日中は手がかからなくなった事で、実家と向かい合わせにある和菓子屋の接客を今は手伝っている。
『学校で虫歯があるって言われたから、萌黄にあまり甘いものを食べさせないでね。お爺ちゃんにも言ったのに』
主婦となり口煩くなったあおい。逆鱗に触れない程度に聞き流す事を家朗は覚えた。
『お爺ちゃんは「かぎろう」と書いて「けんろう」と読むんだ。ちゃんと、今度からけんろうお爺ちゃんて呼びなさい』
『だって、かぎろうお爺ちゃんて呼ぶと嬉しそうだよ』
表札の文字通り、町内会の皆が『かぎろうさん』と呼んでいて何故か本人も否定しない。
近所に住む父の同級生も、卒業式で担任の先生が『えんどうけんろう』とは呼ばず、『えんどうかぎろう』と呼んで卒業証書を渡していた事を今でも笑い話にしている。でも、その同級生も渾名の『かぎろう』のかぎを取って『かぎちゃん』と呼んでいる。
『萌黄の名前も読みづらいけどパパとママの名前を合わせてるんだぞ』
家朗の名前の由来である黄色、あおいのあおを青色。黄色と青色を混ぜ合わせて出来るのが緑色。萌黄の名前は萌黄色から来ていた。
同じもえぎ色でも、萌葱色だと深い緑色。でも、萌黄色は明るく黄緑色っぽい色を指す。パッと明るい子になって欲しくて名付けたが、家朗もまた、父同様に黄色みがかった色が年を重ね嗜好に合ってきた。
『パパもお爺ちゃんも名前を捩るのが好きだよね』
萌黄に言葉に言い返す言葉が見つからず下を向く家朗。口を真一文字にして笑いを堪えるあおいは、家朗の肩を軽く握った拳で叩いた。