新作チョコのあれこれ
「明日は、午前中はリリアナ伯母様と買い物! お昼の用意をして貰おう!」
スケジュール帳を見ながら、家政婦のミッチャム夫人に渡すメモを書いていく。
「午後は、王妃様に呼ばれているのよね。きっと、ソニア王国行きへの諸注意だと思う。馬車の用意と新作のチョコレートを用意して貰わなきゃ」
今回の新作のチョコレートの目玉は、マーガレット王女のソニア王国への宣伝だから、ホワイトチョコで真ん中は柚子味の黄色の花形。
マーガレットの花のチョコレート、可愛いし、美味しいけど、王女様の花をチョコにして良いのか、王妃様にお伺いを立ててから、ソニア王国への手土産にする予定。
全部をホワイトチョコにすると甘すぎるので、下半分は普通のダークチョコにしているんだ。
後は、彼方での婚約披露パーティー用に赤とピンクのハート形のチョコ。
王家の家紋入りのブランデーボンボンも良いかどうか、お伺いを立ててから作る。
マーガレット王女のお印の方が良いと言われるかもしれないな。だから、持っていくのは見本!
「紋章入りのは、コインチョコの方がわかりやすいかも?」とエバが気を利かせて、そちらも作ってくれている。
「ブランデーボンボンは、葡萄の刻印の方が良いかもね?」
それと、見た目は茶色のまん丸で可愛くはないけど、中に生クリームを混ぜたトリュフチョコを包んだの。
半生だから、これは行く直前に作って冷蔵庫で輸送しなきゃいけないんだ。
これは、却下されるかもね? 味は抜群に美味しいけど、半生は国内だけの方が良いかも。
でも、ソフィアは恋と美食の都だそうだから、王妃様は美味しい料理やデザートを学ばそうと、エバに王宮料理人を二人派遣して学ばせるぐらい気合いが入っているのよね。
エバは、料理人の教育を引き受ける代わりに、王妃様から年金が支給される事になり、老後も安心だと喜んでいたけど、結婚とか考えていないのかな? 三十歳ぐらいだから、まだ結婚してもおかしくないと思うんだけど。
「あっ、もしかしたら、トリュフチョコを大量に作らなきゃいけないかも?」
これ、手間がかかるんだよね。ブランデーボンボンも手間がかかるけど、半生の柔らかいチョコを普通のチョコで、何回もコーティングしなきゃいけないんだよ。
まぁ、今は台所にはいっぱい人手があるから、エバの指示で作ってくれるでしょう。
「明後日の土曜日は、午前中から勉強会! ランチは、女の子向きにして貰わなきゃ! 勉強会は、お茶でお終い」
お腹がいっぱいになったら、勉強に集中できないから、ヌーベルキュイジーヌ風にして欲しいとメモに書く。
お付きの侍女にも食事を出すけど、マーガレット王女とリュミエラ王女の付き添いは女官かもしれない。その時は、普段の使用人用の食堂ではなく、メーガンや騎士達が食事をする上級食堂で提供する。
これは、メモに書かなくても、ミッチャム夫人が心得ていると思う。
そう、我が家にも使用人の食堂が二つできたんだ。
領地から騎士が常に一人は常駐するからね。私の個人護衛のベリンダやメーガンもそちらで食べている。
家政婦のミッチャム夫人や執事のワイヤットも本来なら、上級食堂で食べたら良いのに、スイーツの争奪戦に加わりたいみたい。
お茶のお菓子は、簡単で良い。だって、皆は夜のパーティーに向けてお洒落しなきゃいけないから、すぐに帰ると思うんだ。
ただ、エバはマーガレット王女とリュミエラ王女に簡単なスイーツで済ませないとは思うけどね。
長く話す場合に良いアフタヌーンティーセットは駄目とメモに書いておこう。
「私は、マーガレット王女と一緒にブロッサム公爵家のパーティー。あっ、リリアナ伯母様に付き添いを頼まなきゃいけないわ。こちらには、リチャード王子とリュミエラ王女も出席されると思うわ」
ただ、この日は、モラン大学の卒業式。マーガレット王女の学友のエリザベスとアビゲイルは、若い大学生達の卒業パーティにお呼ばれだそうだ。目当ての方がいるとか!
勉強会のお土産は、チョコレートとリップクリーム。
こうして書いておけば、ミッチャム夫人が綺麗に包装しておいてくれる。
「ふふふ……日曜は、婚約披露パーティー!」
お土産のチョコレートを事前に運んで貰っておく事! 重要なので、二重丸をつけておく。
婚約披露パーティーだから、ピンクのハート形のチョコをパーティでも出す予定。
これは、少し甘いから、紳士の為にブランデーボンボンも出すよ!
それと、モラン伯爵家の家紋と私の家紋のコインチョコも!
その次の日は、休養日に当てる。ペイシェンスは体力ないから、領地に行く前に休まなきゃ。
それに、いつもパーティーは早目に帰るけど、自分が主役の婚約披露パーティーでは途中で抜けることは無理だからね。
呼吸法で魔素を取り込んでも、私は人並みの令嬢並の体力しかない。いや、マーガレット王女やエリザベスやアビゲイル、夜中ダンスしまくっても平気そう!
「火曜は、教授会なのね!」
ランチのメニューは、ハンナとミッチャム夫人に決めて貰う。私は、チェックするだけだから楽になったね。
今回は、騎士戦略科の教授。メニューは肉、多めの方が良いのかな? お土産は、チョコレートと焼肉ソース? それともチョコレートバー?
今回は、武門の家のノースコート伯爵とリリアナ伯母様が出席して下さる。お父様と私は、あまり騎士関係とは縁が無いからね。
「次の水曜日は、午後からお父様とパーシバルとクラリッジ伯爵家に訪問」
ランチは、パーシバルも一緒の予定! これ、何の用事なのか不安だから、事前に話し合っておく。
多分、王家に納入したラグーン地方についてだろうけど、態々、クラリッジ伯爵が言わなきゃいけない事があるのかな?
元は、貴族主義者のウッドストック侯爵と仲が良かった?(親が子どもの態度と同じなら、小馬鹿にされつつも仲間として一緒に行動していた感じなのかも?)今は、リチャード王子の思惑通り、袂を分かったみたいだけど。
だから、手紙で会いたいと伝えてきたのは、何か言っておかなきゃいけない! とクラリッジ伯爵なりに思う事があるのだろう。
それか、しっかりしていると評判の領地管理人から、忠告しておくべきだと進言されたのか?
「まぁ、会ってみたら分かる事だよね」
手土産に、温室のバラとチョコレート?あっ、チョコレートは、前にリリーナにもあげているから、チョコケーキの方が良いかも?
その事をメモに書いておけば、後はお任せしても大丈夫。
「領地にも早く行きたいけど……あれこれ、しなくてはいけない事が多いわ。でも、ミッチャム夫人がいるから、前よりは凄く楽!」
兎に角、寝て体力を回復させよう! 明日は、リリアナ伯母様と宝石店、そして午後からは王妃様との面会! 寝不足で行くのは論外だ。




