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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう
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収穫祭までに

 最後の寮生活、やはりリリーナはドレスを縫い上げていなかった。

 そして、家庭数学の家庭教師状態で終わりそう。


「ペイシェンス、貴女のドレスはもう出来上がっているのに?」

 裁縫のキャメロン先生に怪訝な顔をされたけど、強引に参加する。

「頭につける飾りを共布で作りたいのです」


 先生も私が髪飾りを作る為に授業に出たのではないのはわかっている。

「リュミエラ王女、アビゲイルは、ほぼ出来上がっているわ。マーガレット王女とエリザベスは、フリルの後始末が未だね。リリーナは……手伝ってあげなさい」


 綺麗なリリーナ、卒業したら二度と針を持つことはないんだろうね。


「ペイシェンス様……ありがとう……」

 半泣きのリリーナ、ドレスは……まぁ、直線は助手がミシンで縫っているから、形にはなっているよね?


「裏地を付けて、襟ぐり、裾の始末をすれば良いだけですよ」


 まるで知らない言葉を初めて聞いたって感じのリリーナ。

 キャメロン先生が何度も説明したと思うけど、興味が無いことって耳に入らないのかも。

 私も、愛しいヘンリーとパーシバルの武具についての話は、全く記憶できていないから、リリーナを責められないよ。


 裁縫の授業で、なんとかリリーナのドレスが出来そうな状態になった。


「後の裾始末は、この縫わないノリを付けて、アイロンを当てるのです」


 その前に、どうやってこんなにシワクチャになるのか不思議なドレスに「綺麗になれ!」と掛けておく。


「最後にアイロンを掛けるのも忘れないで下さいね!」


 まぁ、収穫祭のダンスパーティ前に、リリーナのドレスはチェックしなきゃいけないかもね。


「ペイシェンス様、ありがとうございます」


 うん、リリーナは、他の学友の悪口に頷いていたけど、本人が悪口を言った事はないから許したんだ。

 それに、ほっておけないんだよ! お姉ちゃん気質なのかな?


 世俗の事など、全く知らないリリーナ。その彼女の口から意外な言葉が!


「お父様が、一度ペイシェンス様と話したいとのことです。屋敷に来て頂けますか? 後ほど、手紙を屋敷に送ると言っていました」


 リリーナの父親って、クラリッジ伯爵だよね? ゲイツ様の評価は、あまり賢くないだったけど、リチャード王子は貴族主義者から引き離しにかかっていたような? 

『賢くないけど、ちゃんとした領地管理人に任せる賢さはある』

 つまり、自分の勝手に領地を管理しないで、ちゃんと納税し、その残りで生活し、贅沢三昧は控えている。まぁ、これが普通だと思うよ!


 一部の貴族主義者は、かなり無茶に領民からお金を搾り上げ、その上、脱税三昧だったみたい。納税も誤魔化していたようだしね。

 これを取り締まるのって、財務省だと思うけど、何故か魔法省のサリンジャーさんが協力して、バシバシ追徴課税しまくっている。


 ただ、ちゃんとしている貴族主義者も多いから、一概に駄目だとも言い難いみたい。


 パーシバルと要相談だ。私は、貴族の事情に詳しくないからね。


「リチャード王子なら、絶対に行け! って言うんだろうな……気乗りしないんだけど……」


 でも、今は残り僅かになった学園生活をエンジョイしたい。


 つまり、明明とカフェで話したり、パーシバルとサロンでお茶! 

 水曜は、最後の料理クラブでハンナと手を繋いで泣いちゃった。


 音楽クラブは近づかないようにしている。

 アルバートが卒業生なのに、しゃしゃり出て、現部長のマーガレット王女と一触即発状態だと、アンジェラがこそっと教えてくれたからね。


 錬金術師クラブで、より良いプレス機を作って、これでお終い!


「ペイシェンス、本当に卒業するんだなぁ」


 ベンジャミンにはお世話になったよ。錬金術クラブに入ったのも、強引に勧誘してくれたお陰だ。


「ええ、皆様、お世話になりました」


 クラリッサが半泣きになっているから、私も涙が出ちゃう。


「まぁ、ペイシェンスはこれからも錬金術を続けるのだろう」


 カエサルにも世話になったね! それなのに、バーンズ家のパーティは欠席しちゃった。

 謝ったら、微妙な顔をされた。


「まぁ、ペイシェンスは欠席で良かったのかもな。女の子は怖いから」


 アーサーが横で笑っている。


「未来の公爵夫人になりたいと願う令嬢の修羅場を見逃したな!」


「はぁぁ、八年しか大学に在学できない規則を何とかして欲しい!」


 ああ、これは本当に大変だったみたい。


 ゲイツ様は、うちに居続けた後、南の大陸に行っちゃった。つまり、実家のパーティも無視!

 私も、侯爵夫人に丁重にお断りの手紙を書いたんだ。


 ブロッサム公爵家とモラン伯爵家のパーティは、出席予定。


 ブロッサム公爵の方は、マーガレット王女に頼まれてたんだ。

 エリザベスとアビゲイルは、他のパーティに絶対に参加しないといけないみたい。

 ふふふ、二人が良い結婚相手を見つけるのをお祈りしておこう。


「ブロッサム公爵の舞踏会の方が上級貴族が多いと思うわ」


 マーガレット王女が首を傾げているけど、どうやらエリザベスとアビゲイルが狙っている方は、違うお食事会に出席なんだってさ。

 いつも思うけど、令嬢の情報収集能力の高さ、凄いよね。

 私も、この点は見習わなきゃ! パーシバルの妻として! きゃー!

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バーンズ商会でバイトしそうなクラリッサ
卒業ソング… 『蛍の光』『仰げば尊し』『今日の日はさようなら』『巣立ちの歌』『高校三年生』『美しい十代』『卒業写真(松任谷(荒井)由実)』とか色々(笑) 音楽クラブにはかなり楽曲提供したはずなのに、挨…
ペイシャンスが音楽クラブから一線ひくのはアルバートのせい・・・
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