パーシバルとヘンリーと一緒に
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コミカライズされました。一話は無料ですので、是非読んで下さい。
なんとか武具売場から離れて、H&G商会に向かう。
これが本来の目的だったんだよね。パーシバルは、少し反省中だけど、ヘンリーが楽しんだから良いんだよ。
「すみません! 熱くなりすぎました」
「そんなパーシー様も好きです!」
二人でいちゃいちゃしながら、H&G商会に向かう。
ヘンリーは、メアリーが手を引いて歩いているからパーシバルにエスコートして貰っているんだ。
「パーシー様は、下級官吏の試験を受けられたのですよね。難しかったですか?」
私は、結局受けなかったんだ。天狼星がいたのもあるけど、それは言い訳にすぎない。
だって、卒業試験は受けたんだもの。ゲイツ様が家に来ていたし、ヘンリーが天狼星と遊んでくれていたから、二時間ほど留守にしたんだよね。
下級官吏の試験も受けようと思えば受けれた。それは、パーシバルもわかっている。
「ペイシェンスは、領地経営に全力を尽くすのですね」
そうなんだよね。まだまだ豊かとは言えない領地を放置できないんだ。
「領地が落ち着いたら、パーシー様の赴任先について行きたいです!」
それがいつになるのかは分からないけど、目標にしたいな!
「ええ、いつか一緒に外国に行きましょう!」
二人で盛り上がっていたけど、メアリーが変な顔をしている。
「ソニア王国に行かれるのでは……」とボソッと呟いた。
「今回のは違うのよ! マーガレット王女の側仕えとして同行するだけなんですもの」
パーシバルも外務大臣の父親に命じられて、ソフィアの大使館の手伝いで同行するのだ。
それと、パリス王子とは寮で親しくなっているから、その連絡係だね。
H&G商会は、やはり混雑していた。
「これは、表から入らない方が良いですね」
パーシバルは、私が伯爵に陞爵したので、挨拶合戦になるのを避けようとして、裏口に回る。
「ペイシェンス様! こんな所から!」
メーガンに驚かれたけど、ホッともされたよ。
「このところ、ペイシェンス様と挨拶させて欲しいと言う方が多くて……」
パーシバルの言う通りにして良かった。メーガンの報告は、屋敷で受けているけど、やはり店の様子は実際に見てみないとね。
「領地に行ければ良いのですが……」
行こうと思えば行けるんだ。ただ、卒業まで寮に居たいと思っちゃうんだよね。
「領地は逃げませんよ。それに、中途半端な気持ちで行くより、卒業してから行った方が良いと思います」
パーシバルと卒業後に領地に行く計画を立てる。
卒業式後、退寮してから在校生が冬休みに入るまで、二週間あるもの。
「マーガレット王女は大丈夫かしら? ドレスは収穫祭に間に合うと良いのだけど……」
今年からは、助手がミシンで直線は縫ってくれるから、大丈夫だと信じよう。
「ペイシェンスは、本当にマーガレット王女の側仕えとして、良く仕えましたね」
「ええ、前は女官になるのが望みでしたから……結局、女官試験も受けなかったのですけどね。大学で薬草や薬学を学んだら、上級薬師の資格は取りたいと思っています」
パーシバルが笑いながら「錬金術師の資格は良いのですか?」と揶揄う。
「グース教授には近づきたくありませんもの!」
ヘンリーは、お店で色々な商品をメアリーと見ているので、二人であれこれ話し合う。
「パーティは欠席ばかりになってしまいましたわ」
「ははは、天狼星を知っている方は、理由も分かっておられますよ。ただ、うちのパーティは来て下さいね。どうやら、両親が婚約披露をした方が良いと言い出しているのです」
「えっ、来年だと思っていましたわ!」
パーシバルは十六歳なので、婚約してもおかしくないけど、私はまだ十三歳なのだ。貴族でも早い方なんだよね。
「ソニア王国に行くので、母が心配しているのですよ。あちらは恋愛が盛んですから」
「まぁ、私はパーシー様以外は、目に入りませんわ。パーシー様は遠くにおられてもすぐに気がつきますけど……」
二人で良いムードだけど、メアリーが察知して、ヘンリーと事務所に戻ってきた。
「お姉様、お腹が空きました!」
可愛い弟には負けちゃう!
「ええ、カルディナ街に食べに行きましょう! 新しい食材が買えるかもしれないわ」
「新しい生地も欲しいです!」
メアリーは、ソニア王国行きで張り切っている。婚約パーティになりそうだなんて言ったら、このまま屋敷に直帰だね!




