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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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雑用が山のように押しかける

 天狼星(シリウス)金の鬣(グルファクシ)が慣れるようにと屋敷にいるから、暇そうだと思う人もいるのかも?


 特に、暇そうに天狼星(シリウス)と遊んでいるゲイツ様。

 自分が仕事をサボっているから、私も暇だと勘違いしているんじゃない?


「近頃、チョコレートを受け取っていません」

 私が冬の魔物討伐に参加していたのを忘れている。それに、チョコレートバーや焼き菓子を差し入れしたのも忘れたな!


「ゲイツ様、物忘れが激しいようですわね。暗記術の復習をされては如何ですか?」

 精一杯の嫌味もカエルの面にションベンだ。あら、嫌だ! ついつい地が出ちゃった。


 ペイシェンスが去ってから、令嬢の仮面が外れちゃう時が多くなった。パーシバルに嫌われないようにしないと!


「暗記術は極めています。最後にチョコレートを頂いたのは、三週間前ですよ。週に一回は頂いていたのに……」


 そんな事を言いながら、屋敷に居着いているし、朝昼晩だけではなくお茶も思いっきり楽しんでいる。


「冬の魔物討伐の慰労会、どうされるのですか? 大人組と学生組にわかれるのでしょうか? 私は、どちらにも招待して頂きたいです」


 そう、その件もあったんだ。領地に行きたいのに!


「ゲイツ様とサリンジャー様とラドリー様は、十分に大人だと思いますわ」

 そちらに第一騎士団長、王子達を纏めて招待するつもりだ。


 学生組は、王子以外の学生の参加者! 女子テントで一緒だったユージーヌ卿は、こちらでも良いけど、サリエス卿と共に大人組。

 だって、そちらは男性ばかりになっちゃいそうなんだもの。


 アイーシャ王女やハンナをこっちにしても良いけど、やはり女子テント組は一緒が良いよね。


 席順なども家政婦のミッチャム夫人と考えなきゃいけないし、食事も二パターン考える。


 学生組は、メインは勿論、ワイバーンだけど、しゃぶしゃぶにする予定。


 大人組もメインはワイバーン。でも、王子達がいるので、少し上品にしたいな。つまり、鍋物じゃないメインにするってこと。


 学生組は、去年も慰労会に招待して、しゃぶしゃぶやすき焼きを食べているから、自分で何とかできそう。


 王子達に給仕できる従僕がまだ育っていないんだよ。それも何人も必要になるからね。


「キース王子とオーディン王子も学生組ですか?」

 

 年齢的に、学生組も考えたけど、そうなると人数的に大人組になる。それに、キース王子の学友まで招待しなくても良いんじゃないかな?


 学生で招待するのは、錬金術クラブのメンバーと文官コースで仲の良いフィリップスとラッセル。それと、女子テントのメンバー。

 アンドリューをどうするか? 悩み中! 面倒くさい性格ではあるけど、悪い奴では無さそうなんだよね。


 魔法クラブのアイラ達を招待しているのに、一人だけ呼ばないのも……それに、同じクラスの魔法使いコースで一人だけ呼ばないって、駄目な気もする。


「いや、やはりやめておこう! そんな事を考えていたら、人数が増えるばかりだもの!」


 キース王子の学友、ラルフとヒューゴも呼ばないと決めたんだもの! 同じクラスに居たのは、ほんの少しの間だし、パーシバルと婚約した時、微妙な雰囲気になったんだよね。


 キース王子は、カレン王女との縁談が進んでいるし、もう吹っ切れているんじゃないかな? ただ、距離を置きたい気がする。

 今回の慰労会、何故か王子達も招待する流れになったから仕方ないけどね。


「今日のお茶の時間にラドリーを呼ぼうとおもっているのです。馬車に暖房をつけなくてはいけませんからね」

 

 ああ、それもあったね! メアリーは、ソニア王国行きのドレスに熱中しているけど、冬の馬車の旅に耐えられるか自信ないんだ。


 ソニア王国より領地に行きたい! マーガレット王女の側仕えとしての最後のお仕事だから、行くけど……本音は、パスしたい。


 普通にソニア王国に行くのも冬なので辛いのに、ローレンス王国内は、東部貴族との交流会。そして、ソニア王国に入ってからは、パリス王子とマーガレット王女の顔見せ興行っぽくなりそう。


 つまり、さくさく旅をしないってこと。昼食会、晩餐会をしながら、優雅に進むと言えば聞こえは良いけど、ソフィアに着くまで何日掛かるか……まだ外務省とソニア王国との協議中なんだもの。


 私は、寒さに弱い。その上、気を使う貴族との社交。

 マーガレット王女との友情と外務省に勤めるパーシバルの役に立ちたいって気持ちが無ければ、王妃様からの頼みだって断りたいレベル。


「それと、これにサリンジャーがサインして欲しいと言っていましたよ」


 出された書類、溜息が出そう。


「暖房は分かりますが、これは特産品店の物ですよね? なぜ、サリンジャー様が?」


 馬車の暖房は、ローレンス王国の人の中では珍しく寒さに弱いゲイツ様が至急に! と騒いだからだろうけど、他のは冬の魔物討伐に皆に配ったお菓子だよね?


「ペイシェンス様は相変わらず呑気ですね。あれは、とても優れたレーションです。早く特許を取れと陛下からも命じられています」


 ううう、レーション! 軍食になるんだ。


「チョコレートバーはレーションには豪華すぎますが、チーズバーやクッキーバーなどは、騎士団に常備しても良いと思いますよ」


 真空パックの特許かぁ。


「でも、あれはH&Gの為に作った物なのです。騎士団が購入して下さるのはありがたいですが……他の人にも買っていただきたいのです」


 商人の人だって必要だよね? 


「それは、特許を取ってから考えては如何ですか?」


 ゲイツ様って他人事だね。なんて、考えているうちにラドリー様が来られた。


「急遽、馬房を建てて頂き、ありがとうございます」

 

 ゲイツ様には出したくなかったけど、馬房や馬車の改造のお礼の気持ちを込めて、アフタヌーンティーセットを用意させた。


「ペイシェンス様は、陞爵されたと聞きました。おめでとうございます。今度の領地のお屋敷の改造も引き受けさせて頂きます」


 ラドリー様って、凄く優秀な王宮建築士で、センスも良いんだけど、グルメなんだよね。


 ゲイツ様は、一気にアフタヌーンティーのミニサンドイッチ、キッシュ、スコーン、ケーキ、チョコレートなどを食べ尽くしたけど、一つずつ味を楽しんでいる。


「その件は、大学に入学してから考えたいと思っています。領地の開発も半ばなので……」


 ラドリー様は、チョコを口に入れて唸りながらも、頷いてくれた。


「そうですなぁ……ただ、ペイシェンス様は農作物にも興味があるみたいですので、領地が増えるのは良いと思いますよ。空き地が北部しか残っていなくても、ペイシェンス様ならそこで特産品も作れるのでは?」


 あっ、目から鱗だ! 南部の方ばかり考えていた。


「そうですわね! 砂糖が取れる甜菜は、北部でも作れるかもしれません。やはり、ロマノ大学で色々と学ばなくては!」


「ペイシェンス様は、自分で自分を忙しくしていますね。まぁ、ローレンス王国にとって優れた領主は有難い存在です。それと、さっさと特許を取って、量産して下さい。竜の討伐にも持って行きたいですからね」


 何だか、その日は雑用が波のように押し寄せた。


 


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― 新着の感想 ―
 忙しくさせてるのはゲイツや国王もだよォッ!?
オリジナルのペイシェンスが成仏したから仕方ないとしても、正式な貴族の礼儀作法を学んでいないから被った猫が落ちかけているんですね(笑) もう少し、異世界の常識を学んでおくべきでしたね。 ゲイツの助言は…
地球と類似した環境かわからないけど、雪だるまを作って雪合戦…いや…新たな魔法の予感
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