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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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|馬の王《メアラス》と|金の鬣《グルファクシ》

 ゲイツ様が言った通り、次の日にロマノに戻る事になった。

 学生は、一週間で戻れるので、ほっとしている。

 特に、今年はワイバーンが飛来したからね。それに伴って魔物もかなり雪崩れ込んだ。

 錬金術クラブのメンバーや文官コースの学生達は「最後の狩をするぞ!」と頑張っている。

 ガブリエル第一騎士団長とリチャード王子が、学生のロマノへの帰還を告げたので、私もテントの中をメアリーに片付けて貰う。

 えっ、私? 私は天狼星(シリウス)の世話と金の鬣(グルファクシ)の世話だよ。


金の鬣(グルファクシ)は、パーシバルとロマノに帰るのよ」

「ブヒヒン!」『新参者!』と馬の王(メアラス)が偉そうな態度だ。

馬の王(メアラス)、駄目よ!」と諌めておくけど、私が金の鬣(グルファクシ)に乗れれば良いだけなんだけどさぁ。

 金の鬣(グルファクシ)は、野生のスレイプニルだから、人を乗せるのに慣れていない。

 さっきも、鞍を置くのに大暴れしたんだよね。何とか、私が言い聞かせて、パーシバルは鞍を装着したけどさ。

 パーシバルは、金の鬣(グルファクシ)に飛び乗って基地の周りを一周して来た。私には無理だよ!


「明日、金の鬣(グルファクシ)には、パーシー様に乗って貰うわ」

 ジロリとパーシバルを睨んで「ブフフン」『仕方ない』って態度だ。

 言い聞かせる横で、馬の王(メアラス)が『私がペイシェンスを乗せる』って顔で立っているから、ややこしい。

「ブヒヒヒヒヒン!」『生意気な若造!』

「ブヒヒヒヒヒン、ヒンヒン!」『年寄りの新参者!』

「やめなさい!」

 大声で二頭の間に入って喧嘩を止める。


「ペイシェンス、もっと馬の王(メアラス)金の鬣(グルファクシ)を制御しなくてはいけない」

 第一騎士団長って、本当の事を言うけど、リチャード王子やゲイツ様は私がどれほど乗馬が苦手か知っているから、苦言は避けている。

 第一騎士団長も私の乗馬が下手なのは知っているけど、あれでもかなり上達した状態だったんだよ。


 金の鬣(グルファクシ)の群れのスレイプニル達は、王都から来た騎士達や、討伐に参加している騎士達が連れてロマノに帰る。

 去年は、デーン王国の騎士達の手伝いが必要だったけど、今年は少ないし、スレイプニルに慣れてきているからね。


「ペイシェンス、ロマノに帰ってからだが、何頭かは譲って欲しい」

 リチャード王子に言われなくても、そうする予定だったよ。だって、皆が欲しがるスレイプニルを独占したら怖いもの。

「ええ、ですが金の鬣(グルファクシ)は譲れません」

 それは、皆が頷いて同意してくれた。約一名「乗馬が苦手なのに……」と呟いていたけど、聞かないよ。

「何頭か雌のスレイプニルは残しておいた方が良いでしょう。馬の王(メアラス)の群れと違う方が良いでしょうから」

 ゲイツ様が言い難い事を言ってくれた。それと、馬の王(メアラス)の群れの雌には、金の鬣(グルファクシ)を掛け合わせたいとか、ちょっと未婚の令嬢には相応しくない話がヒートアップ。


 スレイプニルの話題で飛び込んでくるのは、オーディン王子だ。

馬の王(メアラス)の相手は減らしたら駄目だ!」

 ギャンギャン横で煩いから、リチャード王子がキース王子に馬房から連れ出させた。


「ふうむ、確かに八本脚のスレイプニルも欲しいのは確かだが……」

 リチャード王子や第一騎士団長は、悩ましそうに唸る。

「それは、王都に戻ってから考えては如何ですか?」

 ゲイツ様は、そこまで八本脚のスレイプニルに興味はないみたい。


「そうだな」

 これで、スレイプニル関係は何とかなったんだけど、天狼星(シリウス)の問題が残っているんだよね。

「今夜は何処に寝させたら良いのかしら? 女子テントに入れたら、皆も落ち着いて眠れないわよね」

 大型犬ぐらいの大きさの天狼星(シリウス)だけど、元の大きさを知っているから怖いだろう。

天狼星(シリウス)は、外でも大丈夫?」

「ワン!」と頷くので、テントの外で寝てもらう事にしたけど、やはり他の人は遠巻きにしているんだよ。


天狼星(シリウス)は、ペイシェンス様の従魔です。危害を加える者には反撃しますし、私が許しません!」

 ゲイツ様の言葉に逆らう勇気がある者は討伐メンバーにはいない。だって、今年もダントツの一番だからね。


 私は……雪の寒さで休憩が多かったから、今年は五番。二番はサリンジャーさん、三番は第一騎士団長、四番はサリエス卿、そして六番はパーシバル! 

 因みに王立学園の学生で一番大きな魔物を討伐したのは、パーシバル。あっ、ワイバーンは別枠になったんだ。寄付するには高価すぎるからね。


 ワイバーン、三頭貰えたけど、革は弟達の防具にしたいと思っている。特にヘンリーの防具は、騎士になるから、予備用も置いておきたいんだ。

 肉は……親戚に配るよ。勿論、モラン伯爵家にも! それと、いつもお世話になっているバーンズ公爵家にも。ベネッセ侯爵家には、ゲイツ様が贈るみたい。

「美麗様にもお裾分けしたいわ」

 明明と仲良くしているし、エバも彼方の料理人と交流があるからね。


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― 新着の感想 ―
弟達の防具は素材が何でも関係なくない?やらかすし。 ゲイツ「ドラゴンの革が一番ですよ」
順位1~3位は公僕の戦力上位者トップ3だろうからいいが、以下がペイシェンス様と愉快な関係者って宰相が気絶している場合じゃないくらいにはマズい案件じゃないの
馬(スレイプニル)に載せるんなら『殻(から)』じゃなくて『鞍(くら)』の方が良いと思うんだけど、それともやっぱスレイプニルは馬とは違うということかな?
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