表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

738/761

困ったなぁ!

 パーシバルが金の鬣のスレイプニルを馬房に連れて行ってから、こちらの天狼星(シリウス)騒動に駆けつけた。

 きっと、騎士達や学生達が『ペイシェンスが、フェンリルを連れてきた!』と騒いでいるのだろう。


「えええ、それが天狼星(シリウス)ですか?」

 小屋ぐらいの大きさだったのに、大型犬ぐらいに縮んじゃっているからね。

「ええ、屋敷に入らないと思ったら、小さくなってしまったのですが……飼って良いものなのでしょうか?」

 パーシバルは、笑いの発作を起こしそうになったみたいだけれど、リチャード王子とガブリエル騎士団長の前なので何とか頑張って押さえ込もうとしている。


「ペイシェンス! 少し目を離したら!」

 ぎゅっと抱きしめてくれたけど、フェンリルをお父様や弟達が気に入ってくれるのか少し不安。それに、魔物を王都で飼って良いのかもわからない。

 そんな風に思っているのは、基本的に犬が好きだからかも。いや、わかっているつもりだよ。

 犬と魔物のフェンリルは別物だって! でもさぁ、もふもふで可愛いんだもの。


天狼星(シリウス)、こちらが私の婚約者のパーシバルよ。ちゃんと覚えてね!」

 私の言う言葉がどのくらい理解できるのかは分からないけど、パーシバルに危害を加えたりしたら絶対に嫌だから、まずそこを押さえておく。

『番なのか?』

 きゃぁ! それはまだだよ!

「いずれは結婚するわ」

 天狼星(シリウス)は、まだ幼いみたいで首を傾げているけど、パーシバルに手を差し出させたらクンクン匂いを嗅いで覚えたと頷く。


「ペイシェンス様、私も紹介して欲しいです」

 ゲイツ様が横で騒いでいるけど、勝手に何か話していたじゃん? 

 でも、王宮魔法師が認めてくれたら、王都で天狼星(シリウス)を飼っても良いってことになるかもね。


天狼星(シリウス)、こちらがゲイツ様よ。すごい魔法使いなの」

 師匠とは認めたくないけど、魔法の腕は凄いからね。

 天狼星(シリウス)もゲイツ様からは、魔力を感じているみたいで、差し出された手をクンクン嗅いでいる。


『強くて美味しい魔物がいると言ったけど?』

 やはり、ゲイツ様ったら、天狼星(シリウス)を南の大陸に連れて行くつもりなのかしら? 危険な目には遭わせたくないよ。

「ペイシェンス様、南の大陸にはドラゴンがいっぱいいると伝えて下さい」

 ううん、それはあまり乗り気にならないな。


「ペイシェンス、先ずは、魔物で遊ばないように厳重に注意して欲しい!」

 後ろで聞いていたリチャード王子に注意されちゃった。

「先ほども言ったのですが、どの程度伝わっているかわかりません。ワイバーンもスレイプニルもプレゼントのつもりだったみたいです」

 ワイバーンのお肉、スレイプニルも確かに有難いけど、それに付属して魔物のプチスタンピートが起こるのは勘弁して欲しい。


天狼星(シリウス)、お願いだから魔物と遊ばないでね! こちらに魔物がいっぱい来ると困るから」

 もう一度、伝えたけど、理解してくれたかな? フェンリルにとって、魔物は美味しいご馳走みたいだから。


 リチャード王子とガブリエル騎士団長の注文には応えたけど、ゲイツ様の要望はスルーしたい。なのに、それを許してくれるゲイツ様じゃない。

 私が渋っているから、天狼星(シリウス)に直接話しかけているけど、あまり通じていないみたい。


『何を言っているのか?』

 天狼星(シリウス)の小首を傾げている姿はモフりたい気持ちにさせるけど、これでは南の大陸でも意思疎通ができないから無理じゃないの?


「ゲイツ様、天狼星(シリウス)と話せないなら南の大陸には連れて行けないと思いますよ」

 なのに私の言葉を聞いた天狼星(シリウス)は、ぴょんと飛び上がって喜んでいる。


『ああ、南の大陸にドラゴンがいると言っていたのか! 北の大地にはドラゴンがいないのだ! 北の海にはいるとお母さんが言っていたが、陸にはいないのだ。ドラゴンの肉は美味しいそうだ』

 ゲイツ様の言葉も少しは通じていたみたい。


「ペイシェンス様、どうやら天狼星(シリウス)は南の大陸のドラゴン狩りを喜んでいるようですね」

 えええっ、危険じゃない!


天狼星(シリウス)、ドラゴンなんて凶暴だから止めた方が良いわ。それに、私は南の大陸には行かないのよ」

 これ、大事だからちゃんと言っておく。ソニア王国にはマーガレット王女の側仕えとして同行するけど、ドラゴン狩りは御免だ。こっちに来たら仕方ないけどさぁ。


『あいつは行くのだろう! 一緒に行く!』

 話はあまり通じないみたいなのに大丈夫なのかな? この件は、アルーシュ王子が拒否してくれたら助かるな。だって、天狼星(シリウス)に何かあって、お母さんフェンリルが怒り狂ったら凄くヤバそうなんだもの。困ったなぁ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
……家のパパを馬鹿にするタイプのわんこになったりは……
更新ありがとうございます。 ゲイツ様あきらめの悪い・・・。天狼星も美味しいものに形無しですね。
ゲイツ、王命に反してペイシェンスをドラゴンの生息地に連れていくつもりなのか。 しかも、獣魔のシリウスを焚き付けたりして。 ゲイツは書類処理の刑(ペイシェンスの料理や菓子を10年間禁止)にしないといけま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ