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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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ワイバーン戦の後

 朝一番のワイバーン戦が終わり、私達は基地キャンプに戻った。

 まぁ、ゲイツ様が一番傷が多いワイバーンを凧のように後ろに掲げていたから、勝利したのは明らかだったけどね。


「わぁ! ワイバーンだ!」

 飛行隊に未参加の王宮魔法使い達は、ビッグバードの討伐からまだ帰っていなかったが、朝一の討伐を終えた騎士達や、これから討伐に向かう学生達から歓声が上がった。


「今夜は、ワイバーンステーキです! 後、ワイバーンの回収をお願いします」

 ワイバーンを積み上げた場所をサリンジャーさんが回収部隊に告げているけど、他の人達はゲイツ様が言ったワイバーンステーキに心が飛んでいる。


「ワイバーンの肉って美味しいのかな?」

「食べた事ないからわからないよ!」

 そんな学生達の単純な喜びのコメントとは、少し違うのが騎士達だ。

 勿論、ワイバーンの肉など食べたことがないので、喜んではいるのだけど、飛行隊のメンバーに選ばれなかった悔しさが前面に出ている。


「飛べるようにはなったのだが、まだ攻撃まではできないのだ! 来年までには精進して、飛行隊に選ばれるようになりたい!」

 それは、リチャード王子も同じみたい。


「ワイバーン討伐、ご苦労であった!」と労いの言葉を掛けているけど、目がギラギラと燃えている。

「ああ、でもワイバーンの後は銀ちゃんがこちらに移動していますから、気を抜かないで下さい。今日の午後から、魔物の群れが到着しそうです」

 ゲイツ様の報告を受けて、お偉い様のテントで作戦会議になるみたい。

 

 えっ、私はトイレに急がなきゃ! それと、神経が過敏になっている馬の王(メアラス)の世話もしないとね。

 でも、その前にお茶を飲んで休憩するつもり。だって、早朝からのワイバーン戦で身体は冷え切っているし、疲れたんだもの。


 ゲイツ様やリチャード王子も私の体力の無さは知っているので、コソッと女子テントに向かったのを許してくれた。

 馬の王(メアラス)には「綺麗になれ!」と掛けておいたから、後はパーシバルに任せるよ。


 メアリーに温かいお茶を貰い、ナッツケーキを食べて、少し休憩するつもりが昼まで寝ていたみたい。

 今回も「ワイバーンだぁ!」と言う大声で目が覚めた。

 ゲイツ様が運んだワイバーンを見ていなかった討伐のメンバーが歓声をあげている。


「お嬢様、お昼を運んできましょうか?」

 メアリーが、ワイバーン戦で疲れた私を気遣ってくれている。食事のテントまでも寒いし、女子テントみたいな暖房はないからね。

「いえ、パーシー様と一緒にお昼を食べたいわ。それに、馬の王(メアラス)の様子も気になるから」


 少し眠って体力は回復したし、外で深呼吸して魔素も取り込んだ。

 ただ、本当に寒い! 今年は、例年並だというけど、ローレンス王国って前世の北海道並みの寒さなんじゃないの? いや、そこまで王都や私の領地は雪は降らないけどさぁ。

 北部はもっと寒いから、カエサルやベンジャミンは平気なのかしら?


 そんな事を考えながらも、恋する乙女はパーシバルを探している。

「いらっしゃらないわ」

 多分、銀ちゃんがこちらにスレイプニルを追い込んでいるので、魔物達が慌てて暴走しているのだろう。それを、騎士達と一緒に討伐しているのかしら?


「おおい! ペイシェンス!」

 お昼を一緒に食べようと思ってはいたけど、今は魔物討伐の途中! 会わない時は仕方ない。


「ああ、カエサル様達もお昼ですか?」

 錬金術クラブのメンバーがいるから、一緒に食べよう! やはり一人で食べるのって味気ないからね。

「ああ、ワイバーンを討伐したと聞いた! 凄いなぁ!」

 カエサルに褒めてもらえたよ。なんとなく嬉しい。今は、ベンジャミンが錬金術クラブの部長だけど、私にとってはカエサルが部長って感じなんだよね。


「そうだ! ワイバーンの肉を今夜は食べられるって噂だけど……」

 ベンジャミンは、基地キャンプの噂を聞いて気になっているみたい。

「ええ、ゲイツ様が一頭魔物討伐に参加した皆にとワイバーンを提供されるみたいですわ」

 他のメンバーも「やったぁ!」と喜んでいる。


「ワイバーンの肉って、どんな味なのだろう?」

 ベンジャミンみたいな上級貴族も食べた事がないんだね。

「飛竜の塩漬けをバラク王国の大使から頂きましたが、とても美味しかったですわ。ただ、塩漬けなので、生のワイバーンの肉とは違うかもしれませんが……」

 あああ、皆の目が怖い!


「ペイシェンス! 何故、アルーシュ王子とザッシュは、夏合宿に呼んだんだ? 私も夏合宿で飛べるようになりたかった」

 ああ、カエサルは私が領地の管理で忙しいのを思い遣って、口にしなかったけど、ベンジャミンったら。

「それは、ゲイツ様が呼ばれたからですわ。南の大陸の様子をとても気にされていますから……」

 竜の谷に金属を置いてミスリルにしようと画策しているのは、内緒にしたほうが良さそう。


「ベンジャミン、飛ぶ訓練は自分でもできるのではないか?」

 カエサルが諌めてくれたけど、これって皆も同じ考えなのかもね。

「王宮魔法使いや第一騎士団は、飛行訓練をしていますわ」

 それに参加できるかどうかは分からないけど、パーシバルは参加しているから、なんとかなるのかもね。


 昼食の席についた時、パーシバルやゲイツ様達も食事テントにやってきた。

「ペイシェンス様、ワイバーンのステーキにはどのソースが合うと思いますか?」

 ゲイツ様は、夜のワイバーンステーキに気持ちが飛んでいるみたい。

「私は、柚風味のあっさりソースにしますわ。ワイバーンは、私には少し脂が多い気がしますから」

 ふむ、ふむ、と頷いているゲイツ様だけど、私より肉が大好きみたいだから、脂が乗っているワイバーンの肉でもいっぱい食べそうだね。


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― 新着の感想 ―
通年並って言葉がどういう状態のことを表現したいのか分からない
生活魔法を工夫すると体表面の老廃物を“常時”除去したり、その副次効果として、排泄行為そのものが不要になったりしないのかな? 他のTS転生者はわりとやっている(『美人は排泄しない』法則とかいう)方法です…
更新ありがとうございます。いつも楽しみにしております。 ワイバーンのお肉ってどんな感じなんだろう?異世界はやっぱり強い個体が美味しいのかなぁ? ワイバーン1匹で討伐隊の人達全員食べれるぐらい大きいのか…
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