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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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ワイバーンがやってきた!

 大雪は、魔物も人も閉じ込めた。もちろん、パトロールをする人もいるけど、学生組は待機だ。


 ゲイツ様は、ローレンス王国の中では寒がりだ。私以外に「寒い、寒い!」と文句を言っている人を見ないから、他の人は寒いとは思っても平気なのかな?


「ペイシェンス様、テントの温風機を見せてください」

 女子テントの中は、温風機のお陰でぬくぬくだ。魔法使いのテントは、寒いんだろうね。

「ええ、ゲイツ様なら作られると思いますわ」

 錬金釜があれば錬金術クラブメンバーも楽勝だけど、ここにはないからね。


「明日には、ワイバーンが到着しそうですから、ペイシェンス様はゆっくりと休んで下さい」

 お言葉に甘えて、馬の王(メアラス)のご機嫌をとる以外は、ゆっくりとテントで過ごす。

 かなり疲れが溜まっていたので、よい休憩になったけど……やはり、ワイバーンが来るのが皆にプレッシャーを与えているみたい。女子テントのメンバーも騎士組以外は、大人しく休憩している。


 リンダとジェーンとハナは、ユージーヌ卿に一回だけパトロールに連れて行かれたけど、大雪ですぐに戻ってきたよ。

「今日は討伐は無理だな! 明日は、指導の騎士の命令に従うこと!」

 雪だるまになって帰ってきた人達に、私や魔法使いグループは、温かいお茶を出した。


「ペイシェンス様、ありがとう」

 温かなお茶を飲んだ人心地ついたリンダ達にお礼を言われたよ。

 ユージーヌ卿は、騎士達との打ち合わせに行っちゃったけどね。全員で、身体を休めておく。


 夕食もパーシバルと早目に食べようと約束していた。

「今夜は、煮込みだと嬉しいわ」

 寒いから、焼肉より煮込みの方が温まる。

「またゲイツ様にスープを頼まれるのではないでしょうか?」

 キャベツの塩漬けの樽を二つ持ってきているけど、この前、かなり使ったんだよね。

 大鍋、一つで良いんじゃないかな? と思って作り始めたけど、料理番の人達に「絶対に足りないですよ!」と言われて、二鍋にしたからね。

 樽一つは丸々残っているけど、もう一つは三分の一もあるかどうか。

「それは、メニューを見てから決めましょう」

 実は、焼肉に飽きている。野菜が食べたいんだよね。

 ラッキーなことに、今夜は煮込みだった。大雪で皆も寒いから。


 パーシバルと早目に約束していて、良かったよ。後になると、煮込みは品切れになるからね。

「明日は、ワイバーン戦ですね。ペイシェンスは、私が護ります」

 馬の王(メアラス)のブラシを掛けながら、パーシバルと話す。

「お願いしておきます」

 うん、良いムードなんだけど、馬の王(メアラス)がちょっと神経質になっている。


「ブヒヒン、ブヒヒン! ブヒブヒ!」

『スレイプニルが来る! 馬鹿狼も!』

 やれやれ、ワイバーン戦の後は、銀ちゃんがスレイプニルを追いかけて連れてくるから、他の魔物も爆走していそう。

「大丈夫よ! 銀ちゃんには厳しく言い聞かせるから」

 二度と魔物で遊ばないように言わないといけない。ただ、言うことを聞いてくれるかしら?


「お嬢様……早くお休みにならないと」

 まぁ、明日のワイバーン戦、私は体力が持つかが心配なんだ。飛行すると、身体強化で真っ直ぐに体幹を維持しなきゃいけないんだけど、体力がガンガン削られる感じなんだよね。

「ペイシェンス、身体を休めて下さい」

 パーシバルに女子テントまで送ってもらう。

「ああ、雪が止みましたね!」

 基地キャンプの中は、風の魔法持ちや騎士達の人海戦術で雪かきはしてある。

「ええ、星が綺麗ですわ」

 二人で良いムードになるけど、明日の為に早く眠らなくては! とは言え、お休みのキスぐらい良いよね!


 次の日の朝は、快晴だった。ビッグバードの巣は、王宮魔法使い達が回ってくれるそうだ。

 朝食が終わったら、お偉いさんのテントに集合。


「おはようございます! ペイシェンス様、ワイバーンの位置がわかりますか?」

 最初っからゲイツ様に質問されて、ちょっと驚く。

「ええ、朝起きた時に探索してみましたわ。まだかなり距離があるみたいですが……」

 話している間から、チッチッチって指を立てて振っている。


「基地キャンプの遠くでワイバーンを討伐しないと、地上の魔物討伐とかち合いますからね。地上の討伐は任せて、さっさと討伐に向かいましょう!」

 まぁ、それはそうだけど……やはりワイバーン戦は緊張しちゃう。

 パーシバルにソッと抱きしめて貰うと、少し安心する。


 なるべく北でワイバーンを討伐したいので、メンバーが集まり次第に馬で北を目指す。

「本当なら、ワイバーン戦の後に馬車で帰りたいのですが、魔物も暴走して来そうですからね」

 それってスタンピードって言うんじゃないの? まぁ、魔物の暴走で馬車が無事に済むとは思わないから、帰りの乗馬も仕方ない。


「ここら辺で良いでしょう。ベリンダと従者達で、馬を魔物から護って下さい」

 馬の王(メアラス)は、置いていかれるのが少し不満そうだけど、空は飛べないからね。

「良い子にして待っていたら、ご褒美をあげるわよ」

 ベリンダに馬の王(メアラス)が我儘を言った時に、コソッとキャロットケーキを渡しておく。

「どうかご無事に! 来年までには飛べるようにしておきたいです」

 やる気満々のベリンダだけど、来年はワイバーンが来ないと良いな。


 ワイバーンの位置をソナーを飛ばして確認する。王宮魔法使いもゲイツ様とサリンジャーさんに命じられて頑張っている。

「ええっと……えっ! ワイバーンが多い気がしますわ」

 ゲイツ様は二十一羽と言われていたけど、二十四羽いそう。

「ああ、増えているのか? それとも私も重なっているワイバーンを読み間違えたのか?」

 

 第一騎士団長が厳しい顔になるけど、ゲイツ様は気にしていない。

「飛行隊のメンバーに一羽ずつ、それに討伐隊に一羽。陛下に一羽献上して……後は、討伐した者が……ペイシェンス様、私の取り分は差し上げますから、ワイバーン料理をお願いします」

 もう、ワイバーンを食べる事しか考えていないみたい。余裕のあるゲイツ様には安心するけど、料理するのはエバなんだよね。

 パーシバルと顔を見合わせて笑ってしまう。

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― 新着の感想 ―
錬金クラブの活躍の機会があ!?…錬金クラブのイメージ上昇機会なのに…惜しい〜 飛距離が特に低い人達、下級魔法使いの3分の1くらいは、途中で脱落、他は粘りきる、上級魔法使いは余裕 ペイシェンスも、疲れ…
錬金釜… やっぱり無いと作れなかったのですね(笑) 熟練者なら作れるのかな?とか思ってネタにしたけど、それだとペイシェンスの魔法って、魔力パターンが“生活魔法”に似ていても明らかに別系統の魔法ですよね…
更新ありがとうございます。楽しみにしております。 ゲイツ様、ぶれませんね。でも、ワイバーン料理ってどんなのだろう?楽しみです。 銀ちゃんも近づいてきてるし、ペイシェンスも苦労が絶えませんね。
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