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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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ケチャップソースは何と合わせるべきなのか

「昼からは、ビッグバード狩りかしら?」

「いえ、もう巣を飛び立っているから、他の魔物かもよ!」

「何にせよ、これからが本当の魔物討伐ですわ!」


 浮かれている三人と焼肉を貰って席につく。アイーシャ王女は、激辛は苦手だと言っていたけど、ピリ辛ソースだよ。

 基本的に南の大陸はスパイシーな料理だから、一番食べやすいのかもね。

 ルーシーとアイラは、一緒にソースを使うみたいで、サッパリソース。

 私は……これはH&G商会では、まだ売っていないケチャップソース! 味変なら、これでしょう! 来年の夏にトマトをいっぱい領地で収穫したら、ケチャップソースも売り出そう。


「ペイシェンス様! その赤いソースは激辛ですか?」

 ああ、ゲイツ様が煩い。

「いえ、トマトベースのソースですわ」

 パーシバルの箱には入れておいたよ。ゲイツ様は、ソースはH&G商会でいっぱい買ったから入れてなかったけど……失敗したかな?


 各自、ソースを持って来たのに、私のケチャップを掛けそうなんだ。無くなっちゃうよ。

 焼肉にケチャップ、ちょっと甘酸っぱくて、美味しいよね! それに、パーシバルのサッパリソースに合わせても美味しいんだ。


「パーシー様、少し掛けてみますか?」

 パーシバルは、私の料理のセンスは信じているから、素直に掛けて食べる。

「ああ、これは良いですね!」

 そんな事を言ったら、黙っているゲイツ様じゃないけど、今掛けているのって甘味噌ソースだよね。


「ペイシェンス様、そのソースを貸して下さい」

「いえ、甘味噌ソースとは合わないと思います」

 そう言ったら、秒殺してお代わりを貰ってくる。そして、再度のおねだりだ。

「まぁ、アイーシャ様、ルーシー様、アイラ様をしっかりと指導して下さるなら」

 そう言って渡したら、ドバドバ掛ける。

「美味しいです! うん? でも、パーシバルのソースと合わせても美味しいと言われたのですよね」

 パーシバルは大人だから、ソースを差し出す。


「うん、やはりペイシェンス様の料理のセンスは天才です! ケチャップソースだけでも美味しかったですが、サッパリソースと合わせたら、より美味しいです」

 天才ゲイツ様から、料理のセンスは天才だと褒められたけど、微妙! だって、突撃晩御飯とか嬉しくないもの。


「ペイシェンス様……」とルーシー達も期待した目なので手渡すよ。

「それ、ピリ辛ソースとは合いませんか?」

 アイーシャ王女のピリ辛ソースとの相性は良さそう。

「いえ、ピリ辛ソースとも相性が良いと思いますわ」

 アイーシャ王女は慎重派なのか、お肉に直接掛けず、皿にケチャプソースを掛けて、お肉に付けて食べる。

 あっ、バラク王国の食事の仕方も、大きな葉っぱの上にご飯を取って、料理と一緒に食べる感じだったね。


「ああ、これは凄く美味しいです!」

 そんな事を言ったら、ゲイツ様が黙っていない。三皿目をお代わりしてきて、アイーシャ王女にソースを強請っている。

「指導するのだから、ソースを掛けても良いですよね」

 あっ、サリンジャーさんが怒っているけど、アイーシャ王女は大勢で食事をするのに慣れているから、どうぞと差し出した。

「あっ、これが一番好きですね!」

「しっかりと指導して下さい!」

 サリンジャーさんが釘を刺して、昼食は終わった。


 女子テントに戻る前に、パーシバルに謝る。さっき、サリンジャーさんに言い返そうとして止めて貰った件だよ。


「いえ、サリンジャー様らしくない厳しい発言をされていたので、何かお考えがあると思っただけです」

 それ、気づかなかったな。

「ゲイツ様は、魔法を熱心に学ぶ女の子に優しいから、わざとキツイ言い方をされたのですね。私は、それに気づかず言い返そうとしたのだわ」

 ちょっと落ち込みそう。サリンジャーさんには親しくして貰っている。いつも優しく接して下さっていたし、女学生だからと高飛車な態度をされる方じゃないのに、厳しい言葉だけで非難しようとしていたんだ。ずぶずぶ地面にのめり込みそうだよ。


「ペイシェンス、落ち込まなくても良いですよ。サリンジャー様は、ペイシェンスが怒るのを見越して言われたのですから。つまり、ゲイツ様を動かすのにペイシェンスを利用したのです」

 ああっ、そういうこと! 

「魔法省には近づきたくない気分ですわ!」

 トップのゲイツ様、ナンバーツーのサリンジャーさんの関係。闇が透けて見えるんだもの。

「ははは、それは無理では? 昼からはアイーシャ王女達と一緒に狩りですよ!」

 つまりゲイツ様、サリンジャー様も一緒だね。


 パーシバルのケチャップソースもあっという間になくなりそうだね。他の手持ちのソースと合わせて、ちょこっとずつにして貰った方が良さそう。

「パーシー様、あのケチャップソースは、味噌系とは合いません。ピリ辛、サッパリ、醤油は大丈夫です」

 変な味だと思われたく無いから、ちゃんと伝えておく。

「あのスパイシーな振りかけとも相性が良さそうですね」

 カレー風味のクレイジーソルトとも良い感じだろう。

「ええ、あまりケチャップソースは入れていませんから、他のソースのアクセント的に使った方が良いですわ」


 ソースの名前、メーガンにもっとまともなのをつけて欲しいと言われたんだけど、騎士たちに既に浸透していたんだ。

 今更、名前を変更したら、混乱しそうだと判断して、そのままになった。 

 醤油ソースが、私的には微妙だったけど、前世でもソイソースとか言ってたから良しとしよう!


「このケチャップソース、爆売れしそうな予感がします」

「ええ、来年の夏は領地でトマトと棗椰子をいっぱい作る予定です。そうしたら、ウスターソース、中濃ソース、濃厚ソースも出来ますわ!」

 お好みソースには、デーツ、棗椰子の実が使われていたんだ。棗椰子がグレンジャーで栽培できるのかリンネル教授に尋ねたら、ギリギリできるそうだ。

 秋に、実験的に植えて貰っている。グレンジャー館に棗椰子がよく似合っているんだ。

 冬越しに成功したら、増やしたいな!


「ペイシェンス、ゆっくりとやっていきましょう!」

 パーシバルに笑われた。

「ええ、冬の農閑期に麦芽糖も量産して、ビスケットバーの甘味に利用したいのです。それに、来年は領地の果物でジャムを作ってH&G商会で売りたいですわ!」

 えっ、パーシバルが爆笑している。

「もう、止めるのはやめます。領地の件はペイシェンスに任せますが、春にはグレンジャーホテルも開業するのでは?」


 うっ、それもこれからやらなきゃいけない事が山積みなんだよね。

「アダムに任せていますが、開業の時は皆で泊まりに行きたいのです。お父様を連れ出さないと!」

 保護者がいないと、パーシバルと一緒に泊まれないからね。

「グレンジャー子爵を連れ出すのは、難しいかもしれませんが、頑張って下さい。グレンジャーホテルに泊まりたいですから」

 後ろでメアリーも難しいのではって顔だよ。夏休みは、大学も休みだったから連れ出せたけどね。


「いざとなったら、ノースコート伯爵夫妻を招待致しますわ!」

 リリアナ伯母様は、社交界の後見人だから大丈夫でしょう! それに、やはり実家の名前が残っているグレンジャーを気にかけておられるもの。

 荒れ果てたグレンジャー館は駄目だっただろうけど、ラドリー様に改築して貰ったグレンジャー館なら泊まってみたいと思われそう。


「オープンの日には、親戚の方々を招待しても良いかもしれませんね!」

 あっ、そうだわ!

「勿論、モラン伯爵夫妻も招待致します」

 パーシバルの両親が居たら、一緒に泊まれるね!

 討伐前に、いちゃいちゃ話をしていたら、トイレを済ませたルーシー達に叱られた。


「ペイシェンス様、さっさと討伐に向かいますよ!」

 気合いが入っているね! パーシバルと別れて、こちらもトイレに行ったり、リップクリームを付けたりする。

 生活魔法で唇も荒れないけど、やはり婚約者と一緒なんだもの! 綺麗にしとかなきゃね!

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― 新着の感想 ―
 ルーシーたち、ペイシェンスのおかげで同行許可されたのに、なんか偉そうだな。勉強だって見てもらったりしたのに...。
この世界では、ソース何日で使い切る感じだろ? 週1回くらいは、購入するんじゃないかと、思えてきたよ
味の探求者のゲイツ様に大爆笑でした。 いつも更新ありがとうございます。楽しみにしております。 これからも頑張ってください。
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