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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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秋の昼食会は彩り豊か! 2

 前菜の後のスープは、ポタージュじゃないよ。これから、何皿も出てくるからね。


 でも、フカヒレを少し入れてある。ちょっと豪華にしたいから。それに、このスープ、とても美味しい。エバは、どんどん腕を上げているよねぇ。


 極貧時代に、エバには凄く苦労を掛けたから、少しでも報いてあげたいんだ。

 でも、今回の昼食会も凄く大変だったと思うのに、嬉しそうに張り切っていると卵を部屋に持って来たミミから聞いて、エバらしいと笑っちゃった。

 心から料理が好きなんだ! 今回は豪華な食材をたっぷり使えるから、腕の振るい甲斐があるよね。


 次は、魚の料理! これも何品かを組み合わせて、綺麗にお皿の上を飾ってある。

 一皿目はグレンジャー海老のテルミドールなのだけど、殿方とユージーヌ卿のは形のまま。

 ミッチャム夫人は、ロマノの貴婦人方の中には海老の脚が苦手だと思う人もいそうだと言うんだ。ご婦人のは、オーブン焼にしたのを切り取って出してある。


 それに、テルミドールを丸ごと食べたら、コースの最後まで食べられないからね。

 他の人も添え物は一緒だけど、夫人の方のお皿の方がより目に楽しい。


 小さなサラダの山、テルミドール、そしてマッドクラブの身と蕪を和えた物。


 テルミドールがコッテリだけど、ミニサラダと蟹の和え物で、すっきりする。

 サラダのドレッシングにもバルサミコ酢を少し加えてある。エバ、バルサミコ酢が気に入ったみたい。

 和え物の方には、柚子! 魔法で屋敷の庭に植えた柚子を成長させたんだ。


「このさっぱりとした香りは? 酸味ですが、レモンではありませんね」

 ゲイツ様は食べるのに夢中だけど、ラドリー様は、一口食べては目を瞑って味を確かめている。グルメっぽいね。


「ええ、よくお気づきになられましたね。これは柚子です。もう少ししたら、カルディナ街で売り出されますわ。これは、屋敷で栽培した物です。少しお分けいたします」


 ラドリー様の圧に負けた。でも、特産品店も短期間で素敵な店舗に改装して下さったからね。材料費は勿論お支払いしたけど、手伝いの大工とか以外の手間賃は、ほぼただだったんだもん。


 魚料理の二品目は、お父様の好物のビッグホエールがメイン。鯨と言えば竜田揚げだよ! 醤油と片栗粉であげてある。それに、これはレモンソースでさっぱり。

 お皿の上には、鯨の竜田揚げを真ん中に、それを取り囲むように色鮮やかな野菜のマリネ!


 お父様も好物に喜んでおられると良いな。教授達のテーブルは、奥様方が賑やかに盛り上がっている。これは、夏休みに不在にさせたお詫びもかねているから、良いかもね!


 口直しのシャーベットは梨味。ナシウスは梨が好きだから喜んでいる。


 肉の一皿目は、ビッグバードの蒸し物。キュウリって、前世のイギリスで高級野菜だったんだって。ここでも、真夏以外は温室栽培しないと駄目だから、高級野菜なんだ。

 千切りにしたキュウリ、人参、そして少しだけ香りつけのセロリ。その上に蒸したビッグバードを細切りにして、上からは棒棒鶏ソース。


 私のは少しだけ。エバは食べる量を把握しているからね。


「さっぱりして美味しいですが……」

 ちょっと不満そうなゲイツ様! わかるよ!


「二皿目は、スパイシーですわよ」

 同じビッグバードだから、一皿に数えたけど、二品作ってある。


「ああ、これですよ!」とゲイツ様は目を輝かす。

 これは、これで美味しいけど、私は沢山の料理が出てくるから、さっぱりとした蒸し物の方がバランスは良いと思うんだ。


 私は、これからの料理を考えて味見程度にスパイシーチキンを食べる。チキンじゃないけど、頭の中ではそうなっちゃうね。


「蒸し物はさっぱりしていましたが、これはスパイシーで美味しいです」

 パーシバルも弟達程では無いけど、食欲旺盛だからね。

 これは、凄く人気でユージーヌ卿やサリエス卿、弟達もお代わりしている。


「メインのビッグボアのゲームパイです」

 ワイヤットがワゴンを押して食堂にゲームパイを持ってくる。


 焼き型は、ロマノ大学! 皆が感嘆して拍手する。教授会では定番だから、ちょっと飽きられているかなと思うけど、やはり見栄えがするよね。


「ペイシェンス様、合格おめでとうございます!」

 教授達から祝福された。

「パーシバル様も合格おめでとう!」

 良かった! 今日、招待した教授達は、夏休みを一緒に過ごしたから、私とパーシバルがラブラブなのを知っている。気遣いできる人々で嬉しい。


 ワイヤットがゲームパイをザックリと半分に切って、切り口を皆に見せる。


「まぁ! 綺麗な層になっているのね!」

 教授夫人達から感嘆の声が上がる。


 ビッグボアの層、赤の人参の層、ビッグボアの層、きのこの層、黄色のパプリカの層、ビッグボアの層、緑のロマノ菜の層、ビッグボアの層!


 それにビッグボアの層にはトリュフの薄切りが置いてあるんだ。エバの力作だよ。


 ワイヤットが綺麗に切り分けて、各人にサービスしていく。

 私は薄め、ゲイツ様は「沢山お願いします!」と騒いでいる。

 ソースは、あっさりソースを選んだけど、ラドリー様はバルサミコ酢のソースを選んでいる。ハマったみたい。


 ゲイツ様は、コッテリとしたデミグラスソース! スイーツ食べられなくなっても知らないよ。


 パーシバルもバルサミコ酢のソース。

「ペイシェンス、これは葡萄から作った酢なのですね! とても美味しいです」


 気に入ったみたい。本当はバルサミコ酢は、葡萄の果汁とワインビネガーを煮詰めて、胡桃や桃の樽に入れて長年熟成したのが上等なんだけど、ちょこっと魔法で時短しちゃったんだ。

 これは、その時短したバルサミコ酢をエバに渡した結果だね。


「バルサミコ酢を少しお分けしますね」

 パーシバルがにこりと笑う。ああ、ハンサムって心臓に悪いんじゃない? ドキドキが止まらない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ペイシェンスの生活魔法は既に創世魔法レベルです。 理論や法則、魔法文法を無視して発動できる時点で(本来の意味で)チートですよね。 この能力を使えば、世界征服も夢ではないと思います。 逆をい…
[一言] 生活魔法=創造魔法
[良い点] 更新お疲れ様です。 バルサミコ酢、わりと作るの時間かかったような?と思ってましたが…なるほど生活魔法で時短したんですね。 品質を落とさず短縮できてるみたいだし、やはりこの魔法は強いですな…
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