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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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秋の昼食会の前

 昨夜は遅くまでラフォーレ公爵家のパーティにいたので、今朝はゆっくりと起きた。

「朝のオルゴール運動、弟達は終わったかしら?」

 メアリーに尋ねたけど、弟達の事よりもドレスの始末にあたふたしていたみたい。

「言ってくれれば良かったのに……」


 メアリーがドレスをキャリーに運んで来させた。途中の軽食の果物の汁が少しドレスについてシミになったみたい。


「綺麗になれ!」と掛けたら、新品そのもの! 座りシワも綺麗に取れた。


「これからは、脱いだ時に掛けるわ」と言ったけど、キャリー達のメイド修業には良くないみたい。


「高級なドレスの時はお願いします」

 普段着は、メアリーの監督の元、キャリーが洗濯を指導したり、アイロンを掛けるそうだ。


「エバは忙しいわよね?」と言ったけど、朝食は用意してくれていた。


 一人で食事をするのは、寂しいけど、寝坊したから仕方ない。

 一人で庭に出て、オルゴール体操をする。まぁ、メアリーはいるけどね。魔素を補給して、昨夜の疲れを癒す。


「まぁ、とても忙しそうね!」

 ミッチャム夫人が、メイド見習いや下女、下男を総動員して、花を飾り付けている。


「ゲイツ様は花に興味はなさそうだけど……まぁ、教授夫人は見て下さるでしょう」


 ユージーヌ卿も花より剣だよね。と吹き出しそうになりながら、下にいると邪魔になりそうなので、子ども部屋に向かう。


「カミュ先生も昼食会に参加されませんか?」

 女性が少ないから誘ったのだけど、息子さん達と会うそうだ。


「そういえば……そろそろ卒業されるのですね」

 一番上の息子さんは、大学四年生だった筈。

「ええ、第二騎士団に入団が決まったのです」


 これは、お祝いしなくてはね! 第二騎士団は、王都ロマノの周辺を護る騎士団だ。王都ロマノを護る第一騎士団との連携も多い。


「おめでとうございます」

 後で、パーシバルに何がお祝いに相応しいか聞こう。騎士に何が必要なのか、私より詳しいもの。


 前だったら、エバに細々と指示していたけど、信頼して任せられる。それに、飾り付けはミッチャム夫人が頑張っているし、給仕はワイヤットが指導している。


 つまり、私は暇なんだ! 久しぶりに弟達と話そうと思ったのに、ナシウスが真剣モードで勉強している。


「お姉様は、ロマノ大学に満点合格されたのですね! 私も頑張らないといけないと思ったのです」

 

 おおっと、学問の家グレンジャーのプレッシャーを感じているようだ。少し、気をつけてあげないと、ナシウスは真面目過ぎるよ。


「ナシウス、今回は受験の問題と私の勉強した範囲が丁度合致した結果なのですよ。だから、ラッキーにも満点でしたが、合格してから何を学ぶかが大事なの」


「そうですね」と返事は良いけど、納得していない気がする。

 でも、プレッシャーを感じている件は、何回も話し合う必要がありそう。これは、絶対に忘れないようにしよう!


 ヘンリーは、ナシウスと違って楽観的だし、騎士になりたいと言っているから別の道を歩む事になる。

 それは、それで心配だけど、パーシバルと相談してサポートしていきたい。


「そろそろお召替えを」メアリーに呼ばれて、ドレスに着替える。


 秋の昼食会だから、深い青色のドレスに黒のベルベットリボンを襟元と裾につけてもらった。

 髪の毛は、緩く結い上げて、黒のベルベットリボンを飾る。これには、メアリーが半貴石を縫い付けてあるから、キラキラして綺麗なんだ。

 アクセサリーは、パーシバルに貰ったサファイアのネックレス。


 昼食会だから、十一時半ぐらいからお客様が訪れる。

「お嬢様、メニューを確認して下さい」

 ミッチャム夫人がメニューを書いて持ってきた。とても綺麗な筆跡だ。


「ええ、これで良いと思うわ。それとメニューをテーブルに置いてね」

 約二名、とても食いしん坊がいて、お代わりしたいとか悩んで煩いからね。

 メニューがあれば、自分で判断するでしょう。


 応接室で到着したお客様をもてなすから、下に降りる。お父様も一緒だけど、弟達は食事の時だけなんだ。


「ペイシェンス、満点合格だったそうだな! 素晴らしいよ」

 えっ、お父様は、金曜にナーバスにさせたと謝って下さったけど、点数は知らなかったの? まぁ、学長が点数を付けたり、合格発表の紙に書く訳じゃないけどさ。


「ありがとうございます」とお礼は言うけど、誰が教えたのかな? 少し不思議。

 でも、それはメアリー経由でジョージから伝わったとわかった。

 金曜の夕食前は、ナーバスにしたお叱りをワイヤットから受け、土曜に従僕のジョージからお祝いを言われて知ったそうだ。


「あのう、入学式の新入生総代はどうやって選ばれるのでしょう?」

 お父様は意外な事を聞かれたって顔だ。


「王立学園は、王族が新入生におられたら、総代として挨拶して貰うのが伝統だ。ロマノ大学は、受験の点数で……ペイシェンスになると思うが……」


 私が思わず嫌そうな顔をしたので、お父様は困惑している。


「私は、スピーチが苦手なので……」


「それは、私も苦手だから分かるが……まぁ、決まってから考えたら良い」


 いや、いや、決まってからでは遅いんじゃない? そこは、学長なんだから、別の人を選べば良いじゃん! 

 それにしても、学長なのにスピーチが苦手って駄目なんじゃないの? はっ、初入学式? その前に初卒業式もあるんじゃないの? 大丈夫なのかしら?


 お父様と私がお互いに心配して、沈黙が応接室に満ちた。


「ゲイツ様がいらっしゃいました」

 ワイヤットが沈黙を破ってくれたよ。


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― 新着の感想 ―
他所のメイドは兎も角、ここのメイドは『綺麗になれ!』メイド(見習い)だから……(一部だけ?)
[一言] 工場作ると、ギルド(師弟関係)が崩壊するか ロマノ大学も、師弟関係(教授と学生)強そうだし 大学やその関係者が、領主や王族との政権争いに勝ち(学問の自由で)独立した自治を持っているか、(パ…
[一言] ナシウスより、騎士領とかの領地手にいれるかもしれないヘンリーの方が、豊かな生活おくれる可能性もあるしな 騎士がパーティに参加したりと、浪費生活をして金欠になっていなければだけど 領地内の農…
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