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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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ロマノ大学、合格発表!

 水曜は、ロマノ大学の受験だったけど、その後のラフォーレ公爵家の舞踏会準備の方が疲れたね。

 でも、メアリーのいない間にパーシバルとちょっとだけ、いちゃいちゃできたので、少し元気回復!


 木曜の朝に寮に行く事にして、ヘンリーと少し遊ぶ。

 夕食まで、子供部屋でブロックで遊んだり、お話をしたりして過ごしたんだ。カミュ先生がいるけど、平日はヘンリーだけだからね。


「来年からは、お姉様は屋敷からロマノ大学に通われるのですよね!」

 やはり寂しいのかな? 抱きしめてキスしておく。ナシウスは、九歳頃からキスとか恥ずかしがったけど、ヘンリーはまだ大丈夫! 


「ええ、ヘンリーには寂しい思いをさせましたけど、来年は一緒に過ごす時間が増えますね」


 ただ、再来年はどうなるのかしら? ナシウスは、本当は寮に入る必要は無かったのかも。私が入学した頃は、馬もいなくてレンタルしなきゃいけない状態だったから、寮しか考えられなかったけど。


「ヘンリーは屋敷から王立学園に通っても良いのですよ」

 でも、ヘンリーは「寮に入りたいです!」とキッパリと言う。


「お兄様から寮の話を聞いて、とても楽しそうだと思いました。それに……マーカス王子が寮に入られるそうなのです。一緒に寮生活をしたいと言われたので」


 ああっ、そうか! 私が領地に行っていた間に、ヘンリーは王宮でマーカス王子と会ったのだ。

 ナシウスは、ジェーン王女の学友選びに無関係だったから、忘れていたよ。

 私もキース王子の学友選びとは無縁だった。それはラッキーだよね! 本当にラルフとヒューゴは大変そう。


 ヘンリーとマーカス王子は、夏の離宮で何回か遊んでいる。学友には、公爵家、侯爵家、伯爵家の子息が選ばれるとばかり考えていた。


「ヘンリーがそう望むなら、寮に入っても良いですが、マーカス王子がそうするからだけなら、入らなくても良いのですよ」


 おっとりとしたマーカス王子と活発なヘンリー。あまり合わないのではと思っていたけど、離宮では仲良く遊んでいた。

 ただ、ラルフとヒューゴの苦労を見てきただけに、学友に選ばれない方が、ヘンリーの為には良いのではと思っちゃうんだ。


 この辺は、私も変人のお父様に似ているのかしら? いや、私がマーガレット王女の側仕えに選ばれた時、名誉な話だと快諾していたよね?

 本人が、マーカス王子の友だちになりたいと思うなら、仕方ない。学友が子爵家の子息で良いのかは、王妃様が考えられる事だしね。


 第一、キース王子とマーカス王子は性格も違う。それに、お父様は、王子様のお気に入りになる為に、ご機嫌を取れなんて言われないだろう。


 相変わらず十歳未満のヘンリーは、夕食は別なので、私は着替えてお父様と二人で食べる。

 この習慣、本当に嫌だけど、ヘンリーは気楽に食べて、早くベッドに入る方が良いのも分かっている。それに、今は従者見習いのルッツがお世話してくれているしね。


「今日の試験はどうだった?」

 おおっと、珍しくお父様と会話だ。

「少し、前の試験問題とは傾向の違う物もありました。でも、なんとか解答欄は埋めましたわ」

 ただ、もう少し簡潔に纏めるべきだったかも? まぁ、落ちる心配はしていない。大丈夫だよね?

「そうか、ペイシェンスなら大丈夫だろう」

 うっ、そう言われると、不安になっちゃう。


「あのう、ザッカーマン教授との面談が決まっているのですが、あまり点数が悪いと、指導教授は断られる事もあるのでしょうか?」


 お父様は、ナイフとフォークを置いて、少し考えて口を開く。


「指導教授になって欲しいと、学生に人気のある教授は、試験の点数が悪いと選ばない事もあるそうだ。だから、合格点を取っても、二回目、三回目の試験を受ける学生もいる」


 ちょっとお! 不安を煽るような事を言わないでよ。


 夕食後、部屋で試験の点数を計算してみる。

「何度も見返したけど、ミスを見落としたかもしれない。過去問では、大問は四十点配点だった。今年は違うかも? でも、古典と歴史・地理は、纏まりがないと減点されるかも……。まさか零点はないでしょう!」


 二科目、大問が零点だったら、他のが満点でも、三百二十点! これまでの入試の合格ラインは、八割の三百二十点! ギリギリじゃん! 零点はないと信じよう!


「十一月の試験を受け直した方が良いような低得点だったら、ワイン蔵開きに行くどころでは無いわ」


 不安になって、ぶつぶつ言っていたけど、メアリーにベッドに入らされた。


「お嬢様は、絶対に合格されますよ!」

 そうだと良いのだけど……と思いながら眠った。



 木曜は、音楽クラブの日だけど、収穫祭は観客席にパーシバルと一緒に座るつもりだから、パスしようかな? なんて思いながら、馬車に揺られていた。


 昨夜は、合格ギリギリではと不安になったりしたけど、朝になったら、きっと大丈夫な気がしてきたよ。

 少々、書き込み過ぎていても、零点は無いと思う!


「ペイシェンス! 丁度、良いところで会った!」

 馬車から降りた途端、カエサルに錬金術クラブに引っ張られて行く事になった。登校時間をずらせば良かったよ!

 

 その日の午前中は、電飾を錬金術で作って過ごす事になったけど、午後からのラフォーレ公爵家への搬入は断った。昨日は、パーシバルもメアリーも一緒だったけど、今日は居ないからね。

 それに、うかうか近づいたら、アルバートに何を無茶振りされるかわからない。


 上級食堂(サロン)で、マーガレット王女やリュミエラ王女、エリザベス、アビゲイル、リリーナとラフォーレ公爵家のパーティに着ていくドレスについて話しながら食べる。


「ソフィアで流行っているドレスは、ペイシェンスが作ってくれたドレスと同じ傾向なのよ。どうやって知ったの?」

 マーガレット王女に質問されて、困っていたら、エリザベスが「ソフィアの流行のドレス!」と食いついたので、そちらに話が移った。

 ハリウッドの女優を思い出してなんて、答えられないから、良かったよ。



 金曜のカルディナ帝国語Ⅲの授業、ほとんどが中等科の三年生なので、ソワソワしていた。李先生も、仕方ないと苦笑して、早めに終わらせてくれた。


「食事を早く済ませて、一緒に合格発表を見に行きましょう!」

 パーシバルも不安になったりするのかしら? なんて思っちゃった。


 上級食堂(サロン)で食事を済ませて、メアリーが馬車で迎えに来てくれたので、パーシバルと一緒に乗る。


「もう一時になってしまいますわ!」と気が急くけど、パーシバルに笑われる。

「発表に遅れても、何も変わりませんよ」


「それは、その通りなのですけど……父に低い点数で指導教授に選ばれない時は、二度、三度、受け直す学生もいると聞いてから、少し不安なのです」

 パーシバルは、手を握って「ペイシェンスが落ちるとは考えられません! それに、低得点だとも思えませんよ」と励ましてくれた。


 メアリーがボソっと「子爵様!」と怒ってくれた。本当にお父様と話してから、不安になっちゃったんだよね!


「ありがとう! 何だか大丈夫な気がしてきました」


 馬車がロマノ大学に着いた。パーシバルがエスコートしてくれる。でも、皆が走っているから、慌ててしまう。

「ペイシェンス、走らなくても大丈夫だよ!」

 そうだよね! と思っていても、ついつい早足になる。とはいえ、早足でも遅いんだ。


 掲示板の前には、学生達がいっぱいだ。もう、合格者発表は張り出されている。ドキドキと心臓が煩いのは、早足のせいだよね?


「ペイシェンス! 凄いぞ、満点じゃないか!」

 カエサルに祝福された。

 パーシバルが他の学生を押しのけて、私を前に連れて行ってくれる。

「ペイシェンス、四百点満点だ! 凄いよ! おめでとう!」

 パーシバルに抱きしめられた。

「パーシー様も高得点ですわ! おめでとうございます」


 カエサル、アーサー、そしてアルバートも高得点だった。マークスもなかなか良い点数だ。

 相変わらず、個人情報はダダ漏れだね。受験番号だけじゃなく、名前と点数が張り出されている。


「きっと、ペイシェンスが新入生総代だ!」

 カエサル、それは嫌だ! ああいうスピーチとかは、他の人に譲りたい。

「二回目、三回目で高得点の方がいらっしゃると思いますわ」

 アーサーに「満点は出ないさ!」なんて言われて、困惑する。


「そうだわ! 王族なら総代でしょう? アルーシュ王子とか相応しいのでは?」

 ただ、留学生の入試は別の日なんだよね。王立学園を卒業、若しくは卒業見込みの学生とは、試験内容も少し違うみたい。高得点を取ってくれる事を期待しよう!


「ペイシェンス、入試では負けたけど、卒業生総代は、譲りませんよ!」

「卒業生総代のスピーチはお譲りしますわ!」

 二人でふざけ合い、パーシバルと素早くキスして周りから冷やかされちゃった。

 メアリー、合格したんだから、このくらい大目に見てよ!


 この夜、メアリーがワイヤットに言いつけたのか、お父様は「受験生をナーバスにさせた」と私に謝ってくれた。

 満点で合格できて、上機嫌だったから許したよ!

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― 新着の感想 ―
マーカスは、三男だから、男爵じゃないのかな? あまり力を与えすぎると、結束して王(兄)に反旗を翻す可能性もあるからな〜 新入生代表は、2人。新キャラ登場で♪
[一言] 受験生が試験落ちまくって、一悶着あってもよかったのに 卒業生総代も、ペイシェンスだよ。恐るべき記憶魔法だ 第一王子はともかく、第二王子は、第一王子の息子ができて、王弟(スペア)の役割不要と…
[一言] 更新お疲れ様です。 ただの満点ならそれでも凄いけど、実際は満点以上の結果で、此処でこれ以上の配点を与えられない問題もあったりのなろう定番の四百点満点の中の四百五十点とかありそうな結果ですね…
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