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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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グレンジャーの収穫祭

 グレンジャーの収穫祭、ほぼ先月にしたハープシャーの収穫祭と同じだけど、少し違う所もある。


 ハープシャーの収穫祭には、モラン領からも領民が来たんだ。勿論、グレンジャーの領民も来て楽しんだよ。

  

 グレンジャーの収穫祭には、ハープシャーの領民が来るのはわかっていたけど、東隣のノースコート伯爵領の領民も少し来るみたい。

  

 これは、ハープシャーの収穫祭に近在のモラン伯爵領から来るのと同じ対応で良いと思う。


 ただ、西隣のマイセン子爵領とガードナー男爵領とも接しているんだよね。

 モンテス氏にも言われたので、夏休みに、手紙で挨拶状を送っておいたけど……お二方とも王都におられたので、会えなかったんだ。

 夏休みの間に、お招きして、軽いお食事会でもと思っていたのだけど……それが、今回はあちらも収穫祭なので領地に来ているそうなんだ。


「モンテス氏、お二方を招待してご挨拶するべきなのかしら? それとも、こちらから訪問した方が良いのかしら?」


 モンテス氏は、少し考えてから口を開いた。


「本来は、新任のハープシャー子爵から訪問して挨拶しても宜しいのですが、未婚の令嬢ですから、知らない方の館に訪問するよりは、来て頂いた方が良いと思います」


 未婚の令嬢は行動の縛りがあるんだよね。


「では、ハープシャー館に招待した方が良いのかしら?」


 一応、ハープシャー子爵と呼ばれているから。


「いえ、ガードナー男爵家とマイセン子爵家も、グレンジャー領と接していますから、グレンジャー館で宜しいと思います」


 ハープシャーは北隣と西隣はモラン伯爵家、南はグレンジャー領、東隣はノースコート伯爵家だからね。


「それと、マイセン子爵家もガードナー男爵家もモラン伯爵家の寄子なので、嫡男のパーシバル様が同席されるのはとても宜しいかと思います」


 つまり、水曜以降になる。


「収穫祭にお招きすれば、初めての相手でも話題に困らないと思いますよ」


 ううう、木曜の収穫祭を少し見学したら、すぐに王都に戻る予定だったんだ。どうせ、領主は長居したら迷惑みたいだからさ。金曜は週一の授業がある日なんだもの。


 でも、金曜に王都に戻る事にして、二家とパーシバルに手紙を届けてもらう。カルディナ帝国語Ⅲは、明明とのお喋りのお陰で修了証書を楽にクリアしているんだ。


 何も授業を取らないのも何かなぁって感じで受けている。カエサル部長の薬草学みたいになっているね。ただ、カエサル元部長、今学期も、クラブハウスに籠っているから、無理じゃないかな?


 お客様を招くとなれば、リラとエバに食事会の用意をしてもらう事になる。前は、いちいち、メニューをチェックしていたけど、もう任せて大丈夫。


 お二方とパーシバルからは、食事会の返事が来たから、これで決定だね。

 パーシバルからは、簡単にマイセン子爵とガードナー男爵の説明があった。これ、本当に助かる! 

 マイセン子爵は、年配の方みたい。息子さんは、王都で新婚生活をエンジョイしながら、王宮で働いているそうだ。

 ガードナー男爵は、先代から引き継いだばかりの若い方。

 

 モラン伯爵夫妻は、今年は領地に戻る暇がなかったけど、普段は夏に領地で寄子の貴族や騎士達との交流を持っているみたい。だから、パーシバルは二方とも顔見知り!


 ややこしい隣接の領地がなくて、ホッとしている。だって、ハープシャーもいずれはモラン伯爵家と一緒になるからね。つまり、寄親になるから、文句とか言いそうにないんだ。

 キャー! そんなことを考えると頬が赤くなっちゃう。


 火曜にモラン伯爵領の収穫祭を終えて、水曜日の午前中にパーシバルがグレンジャー館に来てくれた。


「ブヒヒヒヒヒン」

 馬の王(メアラス)に、『私は乗らないのか?』 って文句を言われたので、二人でグレンジャー海岸へ遠乗りする。

 護衛のベリンダと騎士達も連れて行き、マッドクラブを三匹討伐した。

 収穫祭用と食事会用と冷凍して王都に持って帰る用!


「肉は、ちょうど脂がのったビッグボアを討伐しました」


 魔物も騎士達に無事に討伐されて、収穫祭に提供される。


 収穫祭の準備は、使用人達に任せて、私は二日離れていたパーシバルと話をする。


「モラン伯爵領の収穫祭は、どんな感じだったのですか?」


 これ、気になっているんだよね。


「ハープシャーよりは、人数は多いですね。領民は、収穫祭を楽しみにしていますから。村々でもしますが、本当に持ち寄ったご馳走をたべるだけみたいですから」


 ああ、そうなんだよね! まだ、ハープシャーもグレンジャーも町で収穫祭があるだけなんだ。


「村にも騎士達に魔物の肉を提供した方が良いのかも?」


 パーシバルは、くすくす笑う。


「そこまで気にしなくても、自分たちで小物を討伐して食べますよ。農家は、お互いに協力して収穫して、一緒にご馳走を食べる習慣がありますから」


 そうか! でも、麦の収穫の機械、もっと効率良く改良できないかな? 今のは、西部開拓時代のドラマで見たようなんだ。馬で回転するナタのついたドラムを引っ張って、麦を刈っていく。


 前世のコンバインみたいなのがあれば良いんだけどね。

 勿論、鎌で人力で刈るよりは楽だけど……。この麦刈機は、領主からの貸し出しなんだよね。馬がいない村には、馬ごと貸し出す。


 領主って、水車小屋の運営とか、細々と仕事も多い。私の場合、モンテス氏に丸投げしている状態。

 ただ、改良については、錬金術クラブに持ち帰って考えようと思っている。


 グレンジャーの収穫祭は、天候にも恵まれて、近隣のハープシャーやノースコートやマイセン子爵領やガードナー男爵領からも人々が集まった。


「雲を食べるようなお菓子」が評判になったみたい。

 収穫祭を少しパーシバルと見学して、館でマイセン子爵夫妻とガードナー男爵夫妻を招いた昼食会だ。

 パーシバルは顔見知りなので、心強い。






 

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― 新着の感想 ―
[一言] 地球だと綿菓子は1897年アメリカが発祥ですね。 こちらではペイシェンスが発祥(笑) 知識チート(歴史カンニング)ですね、文字通りの。 「幸福は義務です」とか「貧乏は敵です」なんて言わない…
[気になる点] 依子 寄子です 寄親、寄子
[良い点] 更新ありがとうございます。 正式に領地へお招き!いいですねえ。今までも王侯貴族を招待してもてなしてきたけれど、彼らはどちらといえば「押しかけてきた」感が強かったですものね。
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