色々と領地の雑用
日曜にグレンジャーに来て、月曜と火曜はパーシバルはモラン領で収穫祭を過ごす。
だから、いつもハープシャーの市が立つ木曜の収穫祭まで、領主として仕事をするんだ。寂しいけどね。
モンテス氏もこちらに通ってくれているし、今年の収穫も順調だと報告を受けている。
治水整備のお陰だけど、かなり私の資金投入が大きい。それは、内務省に還付金を申請してくれるみたい。
「冬の間は、農民は暇な時期ですから、道の舗装やハープシャーやグレンジャーの防護壁の補修の仕事をさせます」
私的には安いと思うけど、ちゃんと賃金も出すそうだ。モンテス氏によると、臨時収入になるそうだけど……こちらの人件費は、本当に安いよ! 靴下のかけつぎの内職なんか、本当に酷かったなぁ。
「それはモンテス氏に任せます」
今日は、アダムとメーガンも一緒に朝の打ち合わせだ。
グレンジャー館のホテル計画を話し合うからね。
「シーツの洗濯機、とても素晴らしいですわ」
そう、洗濯機は問題ないんだけど、乾燥機はねぇ……シワがかなり深くついてしまうのが問題なんだ。
「乾燥機は、天気の悪い時だけにした方が良いのでは?」
メーガンに言われて、少し悩む。こんな時は、専門家に尋ねよう!
「メアリーとリラを呼んで」
二人に、シーツの乾燥機とプレスの問題を考えてもらう事にした。
パーシバルがいないから、メアリーも少しの時間なら私から離れても大丈夫。ベリンダが代わりに側にいるからね。
それと、子ども達の教育問題も、ミリアム先生と話し合わなきゃね!
ミリアム先生もメーガンと一緒にハープシャー館から馬車で来てもらっている。
「ハープシャーやグレンジャーの子ども達や、少年や少女も学校に通ってくれるようになりましたが……」
そう、田舎の村の子ども達は、親が市に来る時に保育所兼昼食の場所として学校に来る程度なんだよね。
毎週、親も市に来ないから、町の子どもとの教育格差が開いている。
「何人かは、卒業できるのですが……もう少し教育したいのです」
初めの目標は、簡単な読み書きと計算。そして、女の子には裁縫。男の子には、武器の扱い。
「それは、ミリアムには負担になるけど、昼からの授業でもう少し教育を受けたい子どもに対応して貰えますか?」
「ええ、そうしたいと思っていたのです。それと、裁縫の教材についてなのですが……」
裁縫は、ミリアムだけでも指導は大丈夫だけど、昼食の用意を兼ねてメイドを派遣して助手を勤めて貰っている。
初めは、簡単な縫い方の練習だったけど、今はエプロンを縫っている。その材料費をミリアムは気にしているけど、それはこちら持ちで構わない。
「もう少し上達したら、王都の古着を渡して、それを補修する練習をさせましょう。その古着の補修代金を手間代としてあげても良いし、卒業のお祝いに古着をあげても良いと思うのだけど、どうかしら?」
ミリアムの方が田舎の生活に詳しいから、非常識では無いか尋ねる。
「それは、とても励みになるでしょうが、本当に宜しいのでしょうか? ハープシャーの使用人達が貰った古着は、とても素敵で……田舎では手に入らない服ですが?」
やはり、王都と田舎の服装は、かなり違うみたい。
「これは、後でモンテス氏と相談してみないといけませんわ」
ミリアムの報告で、男の子の武器の扱いと体操は、婚約者のエルビス卿が率先して教えてくれているけど、時間が噛み合わない時は、領兵や冒険者に依頼しているとわかった。
これは、かなり人気で、勉強には興味がない男の子達も熱心に参加している。それどころか、青年もちょこちょこ参加して、領兵になりたいと志願してくる。
領兵達、毎日シャワーを浴びているし、食事が良いおかげで体格も優れているから、女の人にモテモテなんだよね。
制服が格好良いのも、人気の理由なのかな?
これから、馬の王の繁殖もハープシャーでしたいと考えているので、護衛強化はまだまだ必要なんだ。子馬を盗まれたら、嫌だもん。盗む奴が、子馬を大事にしてくれるとは思えないからね!
そう、騎士達には、いずれは馬の王の子馬を支給したい。領地は、まだまだ支給したら迷惑なレベルだからさ。
ミリアムとの話し合いは終わったので、メアリーとリラに任せていた乾燥機だ。
生乾きにしてプレスする遣り方を、メアリーとリラで試したけど、生乾き臭がしないかな?
私は、ゲイツ様に教わった記憶術を駆使して、前世の乾燥機について思い出していた。
「コインランドリーの乾燥機を大きく業務用にしたのよね。でも、本職のクリーニング店ではどうだったのかな? 回転式の乾燥機以外も……確か、高級クリーニング店は!」
ぶつぶつ独り言を言っている姿は、パーシバルには見せられない。
「ハンガーに掛けて、そのハンガーを乾燥室の中で回転させる?」
そんな事をテレビで、高級クリーニング店の店長さんが言っていたような?
つまり、乾燥室を作って、そこにシーツを干して、それを熱風に当たりやすいように回転させたら、タンクで回転させるよりは、シワがマシになるんじゃないかな?
これは、錬金術クラブの部室では作れそうにないから、半地下に行って作ろう!
ベリンダは、力も強いから、錬金鍋に金属を入れたり、協力してもらう。
中の回転する物干し竿は、英国のドラマで見たのをイメージする。今回は、シーツ特化なので、真ん中の支柱から、横に何本もの棒が伸びている感じ。
これが回転できるスペースを囲って、そこに熱風を吹き付ける。
こんな時、カエサルやベンジャミンがいたら、凄く楽なんだけどね。
私なりに頑張って、乾燥機の改良版を作った。シワは普通に干した時と同じぐらい。
プレス機に掛けたら、一回でピシッとなった。前のシワが深いシーツは、プレス機で何回も掛けないと駄目だったんだ。
プレス機も、女の人には一人では扱い難いのが欠点。二人でしないと駄目なんだよね。これは、錬金術クラブに持ち帰って、要改良だね。




