コルドバ王国大使館のパーティ
今週末のコルドバ王国の大使館のパーティまで、王立学園での最後の学期を満喫することにした。
つまり、クラブ活動と女子勉強会、それと友だちとの会話!
明明とは、カフェで話をすることが多くなった。明明も、かなり必須科目は修了証書を貰って、自由時間が増えたからね。言葉も違う外国に留学して、凄いと思う。
「来年、ロマノ大学を受験するのなら、過去問をした方が良いです」
もう、何回も解いた過去問の本を明明に渡す。
ナシウスが受験する頃は、また新しい過去問の本が出ていそうだし、買ってあげるから。
「まぁ、ありがとうございます」
それと、ロマノ大学の指導教授制度についても説明する。これは、カルディナ帝国には無い制度みたいだけど、師弟関係はあるから理解は早い。
「私は、薬学の指導教授につくのでしょうか? それとも薬草学でしょうか?」
王立学園では、二つともあのマキアス先生なんだよね。
「私も詳しくありません。マキアス先生に相談した方が良いでしょう」
二人で顔を見合わせて、笑う。意地悪な魔女先生は、怠け者は嫌いで辛辣な口調だけど、ちゃんと教えてくれる気がする。
「ただ、マキアス先生は……薬学クラブに入れと勧誘が激しいので……」
ははは、私も勧誘されたよ。
「王立学園のクラブは五名未満になると廃部ですから……でも、嫌ならキチンと断ったら良いのです」
まぁ、そんな事を言っている私は、音楽クラブも引退できていないんだけどさ。
領地に行かない週は、火曜、木曜は音楽クラブ、水曜は料理クラブ! 他の日は錬金術クラブ!
金曜のカルディナ帝国語以外は、授業がない。つまり、前のカエサル元部長状態なんだ。
でも、錬金術クラブに入り浸りにはならないよ。サロンが開いている時間は、パーシバルとの貴重なデートタイムになっている。
二人で、パーティの打ち合わせや、領地行きの準備、そして十月のロマノ大学の受験とか……ちょこっとは、甘い言葉も言い合うけど、やはり周りの視線もあるからさ。
週末は、パーティなので金曜は授業が終わったら、屋敷に帰る。
「大使館のパーティだから、白の礼装でも良いのですが……できれば、違うドレスにしたいです」
ドレスは、デビュタント用の白や薄いブルーやピンクのドレスを何枚か作ってある。
「大使館なら、やっぱり色は白が良いのかしら?」
白い生地だけど、襟ぐりや裾には銀の細かい刺繍を施してあるドレスに決めた。
ティアラは大袈裟になるから使わない。ネックレスとピアス、それに白のバラを髪に飾る。
「お嬢様、とても綺麗ですわ」
メアリーの贔屓目もあるけど、なかなか良いんじゃないかな?
後見人のリリアナ伯母様、そしてノースコート伯爵。パートナーはパーシバル。
今夜のコルドバ王国大使館のパーティには、モラン伯爵夫妻も参加だ。
お父様も参加しても良いのだけど、そんなタイプじゃないからね。
コルドバ王国の大使館は、前に訪れたことがあるけど、今夜はパーティの華燭で煌めいていた。
「ペイシェンス!」
大使館の玄関先でパーシバルがエスコートしに来てくれた。
「一緒に来られたら良いのに……」と心の中で愚痴るけど、結婚前なので仕方ない。
エスコートして貰ったけど、リリアナ伯母様と一緒に控室に行って、コートをメアリーに預ける。
リリアナ伯母様も今年は雪狼のフルコートだ。モラン伯爵夫人もね。
私は、若い令嬢には相応しくないからと言われるので、雪狼のポンチョ!
「今夜は、他の方と一緒の控え室なので、私と同じタイミングで休憩をとりましょう」
リリアナ伯母様に注意を受けて、パーティ会場の大広間へ向かう。
今夜は、リュミエラ王女とリチャード王子の婚約披露パーティだ。そして、主賓はビクトリア王妃様とマーガレット王女とパリス王子。
つまり、王族がいっぱいの格式あるパーティで、少し緊張しちゃう。
こんな時、パーシバルが婚約者でエスコートしてくれるのって、凄く心強い。
リリアナ伯母様も、段取りを指示してくれる。
大広間の入り口で、招待客を出迎えている大使夫妻に挨拶をして、会場に入る。
今回は、リュミエラ王女とリチャード王子の婚約パーティもあるから、デビュタントだけではなく上級貴族がいっぱいだ。
ほぼ招待客が揃った時間にマーガレット王女を伴って王妃様が到着された。先に来ていたパリス王子がスマートにエスコートしに行く。
そして、大使夫妻がリュミエラ王女とリチャード王子の婚約を祝して、舞踏会の始まりだ。
最初は、主役の二人が踊っていたけど、パリス王子がマーガレット王女と踊り出すと同時に、私もパーシバルにエスコートされて踊り出した。
煌めくシャンデリア、幸せそうなリュミエラ王女とマーガレット王女! 私もパーシバルと婚約できて、とても幸せ!
美人でスタイルの良いエリザベスは、モテモテだ。それに可愛いアビゲイルも!
今夜はハンナ達は招かれていないみたい。少し残念!
何曲か踊ったら、パーシバルにリリアナ伯母様がいる席に連れて行って貰う。横にはモラン伯爵夫人もいるし、近くには大使夫妻に王妃さまも。
お上品にしなくては! とはいえ、ペイシェンスのマナーは大丈夫なんだけどね。
パーシバルがオレンジジュースを持ってきてくれたので、少し休憩する。
「男の方は座れないのですね」
勿論、年配の紳士は座っても大丈夫だけど、リチャード王子やパリス王子も駄目なのかな? 疲れそう!
「ええ、でもペイシェンスと踊れるから楽しいですよ」
そんな話をしていたけど、やはり結婚相手が決まっていないと大変みたい。特に、カエサルとかは狙われている。
王妃様の近くには、バーンズ公爵夫人やベネッセ侯爵夫人もいて、それぞれの息子のダンス相手を吟味しているみたい。
私達は、夜中になる前に王妃様がマーガレット王女を連れて帰られたので、そこでお暇した。やはり、体力をかなり使ったからね。
ダンスしている時より、休憩して貴婦人達の間に座っている時の方が疲れる! まぁ、若いから黙って微笑んでいるだけなんだけどさ。
明日は、領地に行く予定だけど……朝、起きれるかな?
更新が遅れて申し訳ありません。
持病のメニエールが再発して、眩暈で書けなかったのです。
長時間、スマホやパソコンの画面が見られないので、更新は遅くなります。




