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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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お父様らしくないけど、珍しく反対

 今日のお昼は、社交界デビューした記念と、パーシバルが一緒に食べる予定だったから、エバが頑張っていたんだよ! ゲイツ様に食べさせるの、腹が立つけど……帰りそうにない。


 本当にベネッセ侯爵夫人に、マナー違反について言いつけたくなる。ゲイツ様に言わせると、父上のベネッセ侯爵は、口煩くて説教ばかりだそうだけど、それは本人のせいじゃないの?


 そんな事を考えながら、エバの料理を食べるべきではないよね! それに、パーシバルとナシウスとヘンリーとお父様も一緒なんだから。

 エバの料理をちゃんと味わって食べなきゃ!


 九月の最後、朝晩は涼しくなったけど、メニューには夏の名残りも含まれている。

 こちらにも茄子があるんだよね。前世の長茄子ではなく、丸い加茂茄子っぽいの。それも、ちょっと大きくて水々しい。


 それを皮ごと焼いて、皮を剥き、ヨーグルトと少しのニンニクとレモン汁を混ぜたソースで和える。隠し味にほんの少しの醤油! 前世のトルコ料理のアレンジレシピ!


 私的には、焼き茄子に生姜と鰹節とお醤油も捨てがたいけど、まだ弟達の口には合わないかと思って、こちらにしてもらった。


 ヌーベルキュジュイーヌ風に、前菜を少しずつ二皿!

 ただ、茄子のヨーグルトソース和え、見た目があまり綺麗ではない。

 それをエバがどうやって皿に盛るのか、興味があったんだよね!


 茄子のディップ風な和え物の周りに、それを付けて食べたら美味しそうな薄切りパンを添えてある。その上、野菜も綺麗に皿に飾ってある。ラディッシュのバラとかをね!


「これは……」

 父親は、初めての料理なので少し戸惑っている。見た目がちょっとね! 薄緑の焼き茄子を白のヨーグルトソースで和えてあるから……。


「お父様、これは茄子を焼いてヨーグルトソースで和えた物ですわ。添えてある薄切りパンに乗せて食べても美味しいと思います」


 パーシバルと弟達も、私の説明を聞いてから、食べたけど……ゲイツ様は、さっさと食べている。料理に関しては、凄く信頼されているみたい。


「これは、とても美味しいです! 茄子をこんな風に料理するだなんて! やはり、ペイシェンス様に一緒にバラク王国に行って貰いたいですね」


 他の人も一口食べて、思ってもいなかった組み合わせが凄く美味しいのに驚いていたが、お父様はゲイツ様の言葉にフォークを置いた。


「ゲイツ様? それは、どういう意味でしょう?」


 ゲイツ様は、うちのお父様が放任主義なのを知っているから、自分の竜退治について詳しく説明した。


 弟達は、バラク王国まで遠征するなんて初耳だから、目がまん丸だ。


「ゲイツ様がバラク王国に行かれて、竜を討伐されるのは素晴らしい行為だと思いますが、ペイシェンスは行かせられません」

 

 珍しい! お父様がキッパリと断ってくれた。


 その後、もう一皿の前菜は、秋らしいキノコのソテーをミニサラダの上に乗せてあり、私が大好きな一品だよ。盛り付けも、とても綺麗! 黄色いパプリカは銀杏の葉、赤いものは紅葉の型抜きをされている。


 ゲイツ様は、食べるスピードは落とさないのに、私がドラゴンスレーヤーになれば、パーシバルと共に外国に行けると、お父様を説得している。


「パーシバル様と結婚した後で、ペイシェンスが外国について行きたいと陛下に頼む。もしくは、ドラゴンスレーヤーになって実力行使しようが、二人の考え次第ですが、私の保護下にいる間は、危険な真似はさせられません」


 スープは、コンソメにトマトやズッキーニの賽の目切りが浮かんだシンプルなもので、こちらも美味しかった。


 魚料理は……これは新作なんだよね! 無茶振りしてくるゲイツ様に食べさせたくない気分だけど、仕方ない。


 カエサルの母上であるバーンズ公爵夫人の故郷の料理。カエサルは魚臭くて嫌いだと低評価だけど、私はちょこっとアレンジさせた魚のパイ包み! 

 

 見た目も大皿にパイでできた大きな魚が載っていて、ゴージャスなんだ。次の教授会にどうかな? と作って貰ったんだ。

 魚のパイの周りには、海に見立てた温野菜が飾ってある。エバ、どんどん腕をあげているね!


「ああ、素晴らしいです!」


 お父様に反対されても、ゲイツ様の食欲は減退しないね。


「ペイシェンス、これは初めてですね」


 パーシバルも、鱗まで再現された魚のパイを褒めている。でも、味も美味しいんだよ!


 じゃがいものグラタンのアレンジなんだ。魚とじゃがいものホワイトソース和えをパイで包み込んでいる。


 カエサル様の言う魚のパイは、青魚が皮ごと入っているから、魚臭いんじゃないかな? ちょっと気になっている。


 私は、青魚も好きだからね。アンチョビとか加工したら良いんじゃないかな?

 でも、今回のは鱈っぽい白身! その乾物を戻して、使っている。


 ワイヤットは、魚のパイをスマートに切り分けている。


「私には大きめに切って下さい!」


 ふぅ、招待した訳でもないのに図々しい。でも、これにはお父様も文句を付けない。貴族のマナーだから? でも、ゲイツ様はマナーを守っていないんだけどね。


「ペイシェンス、これは本当に美味しいですね!」


 パーシバルの好きそうな味だと思って、エバに作らせたんだよ。ホワイトソース系が好きだからね。


 梨のシャーベットの後は、肉料理! 今回は、二種類!


 社交界デビューしたお祝いもかねて、エバが張り切ったからなんだよね。


 一皿目は、私もお父様も好物のビッグバードの蒸し物。バンバンジーソースと夏野菜のきゅうりの千切り!


 塩麹に漬けてあるから、柔らかくてジューシー!


「竜の肉をペイシェンス様に料理して頂きたいです」


 肉料理になってもしつこくゲイツ様が言っているけど、全員が無視して料理を味わう。


 肉料理の二皿目は、ビッグボアのステーキ。それに、夏野菜のトマト煮込みを添えて貰っている。私のはミニステーキ! お父様とパーシバルは、普通の大きさ。弟達とゲイツ様のは大き目。


 この夏野菜の煮込み、前世からずっと好きなんだよね。お肉よりも好きかもしれない。


「今年は、諦めますが……ロマノ大学生になったら……」


 約一名が、ぶつぶつ言っているけど、無視して完食!


 デザートは、残りわずかになったメロンのケーキ。


 ヘンリーも好物だから、十月の誕生日にも取ってあるんだ。


 ゲイツ様が自棄食いしているけど、お父様が気持ちを変えないので諦めたみたい。


 なんて、考えていたのは、私が甘いからかな?


「ロマノ大学の指導教授をザッカーマンにしたと聞きました」


 お父様が「学生の自主性……」について話そうとしたけど、ゲイツ様は「わかっています」と頷いた。


「ロマノ大学で魔法について学ぶより、私から習った方が良いですからね」


 ライオネル教授より、王宮魔法師の方が教えるのが上手いとか、あれこれ失礼な事を言っている。

 お父様? ロマノ大学の学長として、ガツンと言って欲しいけど……やはり王宮魔法師って、教授より魔法に詳しいのか、この件はいつもの放任主義に戻ったのか、反論はしなかった。


「ゲイツ様に魔法を習うかどうかも、ペイシェンスの選択に任せます。大学生なのだから」


 ふぅ、ここでいつもの放任主義が顔を出しちゃった。


「そうです! ローレンス王国に竜が飛来しないとは限りませんから!」


 これを言われると、お父様もパーシバルも弱いんだよね。ザ・貴族って大変だ!



 


 




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― 新着の感想 ―
[一言] このあとどうやっても強引に竜退治を組み込まれそうだけど、ゲイツ嫌いすぎて大体読み飛ばしてるんですよね。 功績はもう十分だし。
[一言] ペイシェンス「言ってやろう、言ってやろう、ベネッセ侯爵夫人に言ってやろう。」 ゲイツ「やめてください! 告げ口なんてされたら(折檻されて)死んでしまいます。」 『ペイシェンスは外国に出さない…
[良い点] お父さん頑張った [一言] わたしこのパイ嫌いなのよね
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