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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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スイーツ! スイーツ!

 飛竜の丸焼き、塩漬けにされているから、少ししょっぱかった。でも、噛めば噛むほど旨みがある。

 うん、お酒のアテに良い感じ。早く、お酒が飲める年になりたいなと思ってしまう。


「これ、本当に冷凍で持ってきたかったです。その上で、ペイシェンス様に料理をして貰いたかった……。これは、これで美味しいだけに残念です」


 相変わらず、ゲイツ様は他国の大使館で言いたい放題だ。でも、アルーシュ王子もザザビー大使も何も言わないって事は……。


「ペイシェンス、後でゲイツ様と話し合いたいのですが、私では無視して帰りそうです」

 パーシバルは、何を取り引きしたのか気になるみたい。

 私は、関わりたくないな。でも、パーシバルの頼みだから、何とかしよう! 二人で目配せする。


「バラク王国では、食事の後のデザートはないのだ。だが、おやつはあるから、それを出そう」


 弟達や女学生達も辛い料理よりは、おやつに目が輝く。飛竜は美味しかったけど、確かに塩味だけだからね。


「ペイシェンス様が何かスイーツを持って来た気がします」


 うっ、メアリーにケーキを手土産に持たせたけど、まさかドレスに匂いが移ったの?

 ジャスミンの香水を少し付けているんだけど? これを使い切ったら、バラの香水に変えようかなと思っている。お印をバラにしたし、領地でバラ水を作ったからね。


「ペイシェンス様、お出ししても良いですか?」

 手土産のスイーツを客人に出しても良いか、ザザビー大使が聞くので、許可を出す。


「バラク王国では砂糖も栽培できるのでは?」

 果物を砂糖漬けにしたのをつまみながら、アイーシャ王女に質問する。


「ええ、少しは栽培している地域もあります」

 少し? 首を傾げていると、アルーシュ王子が苦笑して説明してくれた。


「南の大陸では、農業も魔物と戦いながらなので、なかなか思うようにできないのだ」


 うっ、それは大変そうだ!サトウキビはローレンス王国では栽培は無理そうだから、やはり甜菜を見つけたい。


「でも、輸入品に砂糖が多いのですが?」

 パーシバルが首を傾げている。


「それらは、塀で囲って栽培しているのですよ。本当なら、国民が食べる食物を植えるべきなのかもしれませんが、魔石と砂糖を輸出して、穀物を輸入しているのです」


 ザッシュが真剣な顔で説明してくれた。本当に南の大陸の魔物の多さと強さは厄介だね。 


 青いバナナの揚げたのは、上に砂糖がたっぷり掛かっていて、私は手が伸びなかった。

 甘いものが好きなサミュエルやヘンリーも一個で十分って顔をしている。


 お茶というか、コーヒー? は黒くて濃い感じ。


「砂糖か塩を入れて飲むのですよ」

 あっ、前世でも中東とかでコーヒーに塩を入れる地域があったね。


「塩に挑戦します!」

 横でパーシバルが笑っている。

「砂糖の方が慣れた味だと思うのに、わざわざ塩にするのですね」


 小さな金属の容器に、濃いコーヒーを少し注いでもらう。そこに、塩の粒を入れて混ぜて飲んでみる。


「ああ、こういう感じになるのですね! 苦味と酸味がマイルドになった気がします」


 隣のパーシバルも真似をしたけど、そもそもコーヒーを飲み慣れていないから、苦そうな顔をした。


「えっ、塩ですか?」

 ゲイツ様は、砂糖を山盛り入れて飲んでいたのだけど、耳ざとく聞きつけて真似する。


「ああ、ミルクを入れずに飲むなら、塩も良いかもしれません。それに、これならケーキと合いそうです」


 持参したエバの力作ケーキ、メロンがたっぷり使ってある。


「これ、これですよ!」


 召使に分厚く切らせているけど、少しは人数を考えてよ!

 まぁ、ケーキだけでなく新作のスイーツも手土産にしているけどね。


「アイーシャ王女もお召し上がり下さい」

 手土産なのに、ゲイツ様が大きく切り取らせたので、私やパーシバルは遠慮するよ。


 アイーシャ王女も女の子なので、新しいスイーツには目が離せないみたい。あら、美少年風のハナも目が輝いている。


 アイーシャ王女は、気を使って、小さ目に切って貰っている。この人数では、全員に当たらないと心配したみたい。誰かが大きく切らせるから!


「足りなかったら、箱に入っているマカロンという焼き菓子を出して下さい。エバの新作なのですよ」


「新作!」約一名が騒いでいる。ザザビー大使が、慌ててマカロンを皿に盛って出させる。


「こんな新しいスイーツを私に内緒にしていただなんて! ペイシェンス様、酷いです!」


 ああ、これをあげると言ったら、絶対に屋敷について来そう。パーシバルは、ゲイツ様がバラク王国で何をしたのか知りたいみたいだから、協力するけどさぁ。できたら、あまり関わりたくないな。


 色とりどりのマカロン! 可愛いよね! それに、前に料理クラブと試した味が違う食物色粉を使っているよ。


 前世でもマカロンは大好きだったけど、レシピを思い出せなくて、エバに苦労させちゃった。アーモンドパウダーを使うのは知っていたよ。

 それと、卵白と砂糖! 卵白を冷たく冷やすのがコツだったそうだ。


 中に挟んだジャム! 領地で取れるベリー類、果物を麦芽糖で煮たんだ。

 ゲイツ様は、全色取ってもらって、一口ずつ食べては唸っている。


「ああ、やはりペイシェンス様と結婚したいです。パーシバルなら、他にもいっぱいお相手がいるでしょう。モテモテですから」


 ちょっと! 変な事を言わないでよ。


「私は、ペイシェンス以外は考えられません」


 わぁ、頬が赤くなっちゃう! それに、凄く嬉しい!


「私もです!」

 二人でラブラブモードになっちゃった。


「この飛竜の肉、少し貰えませんか? ペイシェンス様に料理してもらいたいのです」


 私達のラブラブモードを蹴っ飛ばすみたいに、ゲイツ様が我儘を言っている。

 でも、パーシバルには好都合だよね。


 それに、ちょっと美味しそうな料理も思いついたんだ。エスニックといえば、スイートチリソース! 塩っぱい飛竜の肉を細かく裂いて、きゅうりやパプリカの千切りと一緒に生春巻きにすれば……美味しそう! 生春巻きの皮がなければ、クレープでも代用できるよね。


「ああ、やはりペイシェンス様は……あの時、失敗したのが悔しいです」

 やはり、あの時、陛下に外国に行かせられないと言われて、落ち込んだ時! ゲイツ様が珍しく親切に弟達と過ごしたら良いと言ったのは、パーシバルを諦めさせるつもりだったんだね。

 忠告してくれたメアリーに感謝しなきゃ!

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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず、モラン家と、ペイシェンスの親族は集めて、国王と、サリンジャーと魔法省とにクレームをだしておこう! ゲイツの実家にも! 今回絞めてダメなら、ペイシェンスは、ゲイツと縁切りするべき…
[一言] ゲイツさんはパーシバルとペイシェンスの結婚式の日、本気で泣きながらバームクーヘンを貪り食うハメになればいい
[良い点] ゲイツの餌付け。王家ですら持て余し気味なのだから、ペイシェンスは頑張ってますよね。ただ、新作を考え続ける努力が必要ですが。でも今はヒントさえあればエバが創意工夫してくれるからまだましかな。…
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