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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第八章 王立学園を卒業しよう

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わぁ、エスニック料理だぁ!

 アルーシュ王子にアイーシャ王女とハナを紹介してもらう。

「アイーシャは、魔法に興味があるのだ。私が王立学園で魔法使いコースを選択した時から、国に帰ると煩くて困っていた」

 

 隣で大人しくしているアイーシャ王女、凄くゴージャスなドレッドの髪型。あれ、編むの大変じゃないのかな? なんて見ていたら、にこりと笑う。うっ、女の私でも胸がキュンとなる可愛さだよ。


 つい、横のパーシバルを確認しちゃう。でも、パーシバルはアルーシュ王子の横に座っているゲイツ様を訝しむのに忙しいみたい。ホッとしちゃった。


「ハナは、女の子なのに戦闘に加わりたいとザッシュの父親を悩ましている。駄目だと言っても、勝手に竜の谷に行きそうだから、こちらで騎士コースを卒業したら討伐隊に参加しても良いと言う事になったのだ」


 美少女アイーシャ王女の後ろに立つハナ。凄い美少年に見えるけど、女の子なんだよね? 少女歌劇団の男役にスカウトしたいよ。


「まぁ、紹介はそのくらいで良いのでは? 早く食事にしましょう」

 ああ、食いしん坊のゲイツ様! 他国の大使館でも我儘放題だね。まぁ、凄くエスニックな香りがしているから、気持ちは少しだけわかる。


 アルーシュ王子がザザビー大使に頷くと、パンパンと手を叩く。


「まぁ!」

 目が点になったのは、運んでくる女の人がバラク王国風なのか、胸当てと腰巻きだけだったから。

 色鮮やかな布を上手く巻いているけど、弟達やサミュエルも目が真ん丸だ。


「バラク王国では、こちらの服装と違うのだ。これでも、かなり考慮しているのだが……」

 もしかして、あちらでは胸当ては無いの?

 

 男の人も、前にアルーシュ王子が着ていた鮮やかな布を片肩を出して巻いている。


 女の人が私たちが座ったローソファーの前のローテーブルに大きな葉っぱを配っていく。


「王宮ではお皿を使ったりもするのだけど、バラク王国風が面白いだろうと思ったのだ」


 アルーシュ王子、わかっているね! それに、ローテーブルとローソファーは、私達の為に用意したのだろう。

 パーシバルの父親のメモによると、絨毯の上に座ると書いてあったんだ。

 床に座って食事をするのは、前世は日本人だから拒否感は無いけど、テーブルがないと食べ難いよね。それにドレスが汚れそう。


「アイーシャ、ハナ、お客様のお世話を頼む」

 うん? 王女も接待係なの? 男尊女卑なのかな?


「ええ、ペイシェンス様でしたよね? 私はアイーシャと申します」

 ああ、女の人の世話は、女の人が。王子やザッシュや大使は、男の人の世話をしている。


「この葉の上に先ずは、米か雑穀を取るのです。祖国では手で食べますが、こちらの風習を真似してスプーンを用意しました」


 アイーシャ王女と共に、先ずはご飯を葉っぱの上に少し取る。


「そして、真ん中に置いてある大皿から、好きな料理を取って、混ぜて食べるのです」


 ゲイツ様は、さっさと食べ始めているけど……辛そう! 顔を顰めている。


「これは、少しずつ食べないと駄目みたいですね。ペイシェンス様、この味をローレンス風にしてもらいたいです」


 ちょっとぉ! 他国の大使館の料理に駄目だししないでよ。


 とはいえ、心配なので「辛いのですか?」とアイーシャ王女に尋ねる。だって、弟達は辛いの苦手だから。


「ゲイツ様が食べられたのは、激辛ですが、他のは少し辛いだけです」


 そうだよね! バラク王国にも子どもはいるんだもの。


「お勧めはどれでしょう?」

 アイーシャ王女に聞いて、肉の煮込みをご飯の上に取る。


「まぁ、少し辛いけど美味しいわ!」


 弟達もザッシュに聞いて、あまり辛くない料理を食べている。


「ペイシェンス様、この激辛料理、辛いけど凄く美味しいのです。食べてみて下さい」


 ううん、ペイシェンスは激辛は苦手なんだよね。前世の私は、かなり激辛でも大丈夫だったけど。


「ゲイツ様も苦手なのでは?」

 そう尋ねたら、首を傾げる。

「いや、美味しいと思うのですが、辛すぎて……もう少しマイルドなら、好きな味だと思うのですが……」


 ふうん? 興味が湧いてきた。


 横でアルーシュ王子が笑っている。お国の料理を貶されても、気を悪くしないのは良いね。


「バラク王国でも激辛料理が苦手な人もいます。実は、私も苦手なのです。だから、ペイシェンスにこの料理をアレンジして貰えると嬉しいです」


 ちょこっとだけ、葉っぱの上に取ってみる。真っ赤なお肉、これって唐辛子かな?


「あっ、辛いです!」

 パーシバルが「大丈夫ですか?」と心配してくれているけど、先ずはお水!


「辛い時は、お水よりもこちらです」

 アイーシャ王女が白い飲み物を金属のコップに注いで渡してくれた。


「ああ、これは甘くて美味しいわ」

 ラッシーっぽい物で、口の中の辛さも中和された気がする。


「確かに美味しいですが、私には辛すぎます。唐辛子を少しにしたら良いのかしら? でも、それではこの料理の特徴がなくなるし……」


 エバに食べさせたいな。上手くアレンジしてくれそうなんだけど……あっ、ヨーグルトだ! タンドリーチキンっぽくアレンジしたら、辛くても弟達にも食べやすくなりそう。


「やはり、ペイシェンスには私の妻になって欲しかった。国の料理は辛すぎるのだ」

 

 ああ、アルーシュ王子! パーシバルがいるのに、そんな事を言わないでよ。


 弟達もあれこれザッシュに聞いて、食べているけど、基本的に肉を煮た料理が多い。


「メインは、庭で焼かせている。そろそろ運んで来るだろう」


 またザザビー大使が手を叩くと、うん、これは魔物の丸焼きだね!


「もしかして、飛竜ですか! この前は、食べられなかったのです」


 この前? 子供の頃かな? 横でパーシバルが怪訝そうな顔をしている。


「ペイシェンス? ゲイツ様とアルーシュ王子やアイーシャ王女が親しそうなのですが?」


 あっ、それは広間に入った時も感じたよ。アルーシュ王子と一緒に上座に座って、出迎えるような感じだったんだ。

 傲慢なゲイツ様だからかな? ってスルーしていたけど、何だか怪しい。


「ゲイツ様、いつ食べ損なわれたのですか?」


 飛竜の丸焼きのどこの部位を切り取って貰うのか夢中のゲイツ様は「この前……」と失言した。

 一瞬、しまった! って顔をしたけど、ゲイツ様の立ち直り力は高い。


「一番美味しい部位を切り取って下さい」と騒いでいる。


 ああ、やっぱり! ゲイツ様は、南の大陸に行ったんだね。そして、その時にアイーシャ王女とハナの留学を引き受けるような事をしたんだ。


 パーシバルも事情を察したのか難しい顔をしている。


「さぁさ、ペイシェンス様も飛竜を食べてみなさい。うん、塩漬けだが美味い。アルーシュ王子、私に言って下されば冷凍して運んだのに」


 もう、隠す気もないみたいだけど、国王陛下はご存じなのかしら? パーシバルと二人で同時に溜息をついた。


「こうなったら、珍しい飛竜を食べましょう!」

 パーシバルもこの場は割り切って楽しむ事にしたみたい。


「ナシウス、ヘンリー、一生に一度食べられるかどうかわからないから、よく味わってね!」


 ゲイツ様が何を考えているのかはわからないけど、私は竜退治に南の大陸に行く気は無いからね。


 でも、黄色いスープに入っているレモングラスっぽいハーブや、色々な香辛料には興味があるんだよね。今度は、お土産にこういった物を頼もうかな?



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― 新着の感想 ―
昔かと思えば、この前か……。
[一言] カナディア街ならぬ、ハープジャー街や、ハープジャー街現地食のバージョンの街を建てても、いいよね〜
[一言] 待ってました。更新、ありがとうございます。2話も更新されてたのに、気が付かなかったことに悪態ついてから読みました(笑)。私にとっては朝(時差)の楽しみですから!日本もますます暑くなるでしょう…
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