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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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アルーシュ王子の誘い

 ゲイツ様が来られて、二週間が経った。


「ペイシェンス、とても有意義な魔法合宿だった」

 アルーシュ王子は、バラク王国に帰国するみたい。


「本当なら、もっと飛べるようになるまで、ここで練習したいのだが……そう我儘も言えない」


 帰国するアルーシュ王子の為に、持ち歩ける冷蔵庫を作り、チョコレートをお土産に渡した。


「ああ、これは母達と姉妹達が喜ぶだろう!」

 母達、まぁ、習慣が違うから仕方ないね。それに、仲も良さそう。何処かの国の王妃と愛妾より平和なのかも?


「ペイシェンス! 今回は、本当にお世話になったから、何か欲しいものがあるなら言ってくれ」


 竜の素材が欲しいけど、それは駄目なのはわかっている。


「この前頂いた蘭の花や、変わった植物の種などが欲しいですわ!」


 アルーシュ王子は、笑って頷く。


「ペイシェンスは、ロマノ大学で薬学も学ぶと言っていたな。それなら、南の大陸の薬草をお土産にしよう」


 それ、本当に嬉しい! カルディナ帝国の高麗人参っぽいのも欲しいけど、南の大陸の薬草にも興味があるんだ。


「一度、ペイシェンスもバラク王国に来れたら良いのだが……」


 それは難しいな。でも、南国の果物、植物、薬草には心惹かれる。


「ペイシェンス、行く時は、私も一緒ですよ」


 パーシバル、そんなに心配しなくても行かないよ。


 ザッシュも、ハープシャーに滞在させてもらって嬉しかったと礼を言った。


「ローレンス王国の領主の大変さが少し理解できた気がします」


 そうか、ザッシュは文官コースを選択しているんだもんね。


「バラク王国とは、違いますか?」


 パーシバルは、やはり他国の制度とかに興味があるみたい。


「ええ、まだまだこれから整備しなくてはいけません」


 隣国の国というか、部族を併合して大きくなったバラク王国だから、法の整備もまだなのかも。ザッシュは、そちらを中心に学びたいみたい。


「ペイシェンス様とパーシバル様には、一度来て頂きたいです」


 アルーシュ王子は、私を招待したけど、ザッシュは二人を招待する。


「行けたら、行きたいです」


 パーシバルだけなら行けるのかもね。私は、国王陛下から禁止されているし、それが許可されないと駄目かも。


 二人は、サティスフォード港から船に乗る予定だ。

 アルーシュ王子を見送って、パーシバルと少しだけ馬の王(メアラス)に乗る。


「小さな村を視察したいですわ」


 ハープシャー、グレンジャーの町は何度も見ているけど、村は途中にあるのしか見ていない。


 本当に数軒が固まっているだけだ。


「田舎の村は、こんな感じなのかしら?」


 王都から領地まで、町もあるけど村もある。

 もう少し大きくて店などもありそうな感じだけど?


「モラン領の村も同じような感じです。もう少し軒数は多いですが、町に行かないと店はありませんね」


 村と村の間もかなり距離がある。馬を持っていない人は、歩くしかないんだね。


「少なくともハープシャーとグレンジャーの間には、何か交通手段が必要ですわ」


 ちょこっと馬の王(メアラス)で回っただけでも、問題点が目につく。


「ペイシェンス、ゆっくりと進めれば良いのですよ。市も人が集まるようになったではないですか」

 パーシバルに慰めてもらう。


 ハープシャーとグレンジャーの市で、冷やし飴の屋台を出したんだ。

 これは、改修中の宿屋の主人に丸投げしたよ。

 宿の女中に屋台をさせていたけど、客あしらいが上手くて、かなり繁盛していた。


 ポット苗は、館の下男と下女に売らせた。

 そして、焼き芋とさつまいもの苗、これがかなり売れたんだよね!

 順調に行くようなら、万屋にポット苗やさつまいもの苗を置いても良い。


 少しずつ、農家の生活が豊かになっていけば良いな。

 本当は、王都から古着を買って、売りたい気分だけど、これからだね!


 グレンジャー館には、一日に一組限定で、お茶に来てもらっている。

 まだ使用人の教育ができていないからね。

 

 一組といっても、数人単位だから、練習になると思う。ミッチャム夫人が、王都の屋敷から連れてきたメイド見習いと、現地で採用した使用人を時々交代させながら、経験を積ませている。


「皆様、とても喜んでおられますわ! 気晴らしにもなるし、美味しいスイーツや素敵な景色が好評ですの」

 リリアナ伯母様から、感謝の手紙を貰ったよ。


 秋に社交界デビューしたら、保護者としてパーティに参加してもらうから、少し恩を売っておこう。


 午前中は、パーシバルとずっと一緒で嬉しかった。


 このところ、パーシバルは飛行訓練に夢中だから。それは、他の人もだけどね。


 ルーシー、ナシウス、パーシバルは、なんとか飛べる。

 ヘンリーは、まだ空飛ぶスケボーに乗っているよ。

 一人でも飛べるというか、浮かべるようにはなったけど、空飛ぶスケボーに嵌ったみたい。


 他の人も羨ましそうに見ているけど、ゲイツ様がヘンリー専用だからと厳しく言うので、我慢している感じ。


 これ、カエサル様にバレたら、大騒ぎしそうな発明品なんだよね。


 ゲイツ様は、夏休みなのに仕事を増やしたくないから、輸送革命などに手をつけたくないみたい。

 サリンジャーさんにバレたら、大目玉かな? 私も一緒に叱られるかも?


 オルゴール体操のご褒美も、皆は喜んでくれている。約一名だけは除いてね。


 ファイルなんかいらないとか、ヘンリーの前で言ったら承知しないからね!


 夏休みも残り少なくなった。これからは、パーシバルの誕生日パーティの支度をしなくては! 

 いや、領主の仕事もするけど、私的には、これが重要。


 誕生日プレゼントの盾は、少し外しちゃったけど、パーティはちゃんとした物にしたい。

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― 新着の感想 ―
[一言] うーん。兄弟多い下級貴族は、おさがりのドレスだったり、ドレスをろくにかえない状況、 それの普段着バージョンだよ 兄弟姉妹多かった私は、おさがりをきてたよ ランドセルも、親戚から貰い、違う親…
[一言] 冷蔵庫、またレアなものを外国に流出させて。特許って、国外にも有効なの?? 万屋だけでなく。ハープジャーの商店の事も、忘れずに… エクセルシウス・ハァブリカの商品を領内の領主直轄地で作らせる…
[一言] まだ通信革命起きてないからしばらくはイケるだろうけど、そのうちバレるやろなあ
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