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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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少しゆっくりしよう

 グレンジャー館でのお茶会後、少し疲れてしまった。

 領地に来てから、ゲイツ様が来られる前にと、あれこれしたのと、やはり魔法合宿での疲労が溜まったみたい。


「お嬢様、今日はゆっくりお過ごし下さい」

 メアリーにも心配かけたね。


 オルゴール体操と朝食、そしてモンテス氏との打ち合わせはするけど、その後はゆっくりとしよう。


 部屋で読書をしながら、過ごそうと思っていたけど、眠っていた。本当にペイシェンスは体力ないから、自分で気をつけないといけないな。


 オルゴール体操で、魔素を取り込んで、やっと普通の令嬢並みの体力なのに、空を飛んだり、少しハードメニューが続いたからなぁ。


 昼食後も久しぶりにハノンを弾いて過ごした。マーガレット王女にちょっと強要されていた頃は、義務感で弾いていたけど、前世にいた頃から好きだったからね。


 夏の昼下がりらしいクラッシック音楽といえばラヴェルの『水の戯れ』かな? かなり忘れていて、アレンジ多めだけど、良い感じ。

 それに『キラキラ星の変奏曲』は、弾いていて楽しい。


 夏のキャンプに欠かせない『遠き山に日が落ちて』は、ドボルザークの『新世界から』なんだよなぁ。


 それに、夏の人気歌謡曲! 好きだった曲を何曲か弾いていたら、午後からの飛行訓練を終えた皆がやってきた。


「ペイシェンス! 素敵な曲だな!」

 やはり、サミュエルは音楽が大好きみたい。

「ええ、気晴らしに弾いていたの」

 サミュエルが気に入った曲を何曲か弾いたら、本当に天才的な音楽才能があるので、パパパッと楽譜にしてくれた。


「ふふふ、これで夏休みの宿題が終わった気分になったわ。サミュエル、ありがとう」


 サミュエルが、ハッとした顔になって、寂しそうに微笑んだ。


「そうか、ペイシェンスは今年で卒業なのだな。来年は、ロマノ大学かぁ。音楽クラブもアルバート様も卒業されるし、寂しくなるな。一緒にロマノ大学で、音楽サークルを作るのか?」


 ははは、アルバートとは近づきたくないよ。彼だけならともかく、公爵は怖いからね。


「本当は音楽クラブも引退なのだけど、マーガレット王女が部長をされているから、半引退になりそうだわ。でも、収穫祭は観客席に座るつもりよ」


 サミュエルが、そうなると良いなと笑う。

 音楽クラブは、推薦制だけど、人数的に問題はない。だから、大丈夫だと思いたいな。

 錬金術クラブも体験コーナーのお陰か、難しいイメージが払拭されて、新入部員も増えている。廃部の危機がないのは嬉しいよ。


 今日は、私の体調が悪いので、エバがあっさりとしたデザートを作ってくれた。

 ココナッツミルクの中に小さなタピオカが入っているの。

 これ、前世でも好きだったんだよね!


 このココナッツは、サティスフォード子爵のお土産だよ。バナナチョコレートを届けたお返しかな?

 前に、バザールで爆買いした食材を色々とお土産にしてくれたんだ。


 あの時にはなかったマンゴーっぽい果物も含まれていて、凄く嬉しい! またバザールにはいきたいな。


 今回のタピオカは、白でココナッツミルクと同化している。

 私は大好きなので、スプーンで掬って口に入れた途端、美味しい! って感激しちゃった。


「これは、変わったデザートですね」

 ゲイツ様は、無言で完食だったけど、ラドリー様は一口、一口、味わっている。

 ココナッツが少ないから、お代わりは無いよ。

 その分、飛行訓練で疲れているだろうから、ミニサンドイッチとカナッペがテーブルに置かれている。


「これのお代わりはないのですか?」

 約一名が騒いでいるけど、無視! と思ったけど、ラドリー様も欲しそう。

 ラドリー様には、グレンジャー館の改装や騎士の家など、本当にお世話になっているからね。


「このココナッツミルクがありませんの。お気に召したのなら、バザールに買い付けに行かせますわ」

 

 ゲイツ様が「是非!」と叫んでいる。タピオカミルクティーより、タピオカココナッツミルクの方が評判が良いみたい。


 それと、エバが冷やし飴も作ったみたい。

 小さなガラス容器に入れて、ハーパーが皆に配っている。


「これは、麦芽糖で作ったのですね」

 パーシバルはよくわかったね! 前に、教授達に出した時より、もっとすっきりと美味しくなっている。


「ええ、ココナッツとかは輸入品ですが、これなら領地で作れる物ばかりですから。これを市で売れば、麦芽糖の宣伝にもなると思うのです」

 

 貴族は、輸入品の砂糖を使うけど、庶民の甘味がないんだよね。

 麦芽糖で作れるスイーツを考えたけど、一番簡単なのが冷やし飴だったんだ。 

 冬になったら、生姜湯にしても良い。


「市? そんなのがあるのですか?」

 失礼なゲイツ様だよ。でも、グレンジャーもハープシャーの町も寂れているんだよね。

 その他の農村なんか、過疎地っぽい。


 身体は一日休めたから、かなり回復したけど、やはりやる事が山積みなんだよね。


「ペイシェンス、ゆっくりと開発していけば良いのですよ」

 パーシバル、優しいね! 


 それからは、ちょこっと私には楽しい時間を過ごした。

 ユージーヌ卿は、飛行訓練を続けたかったみたいだけど、休んでいる間に、マリーとモリーからドレスの仮縫いをしたいと言われたんだ。


「これなら蕁麻疹は出そうにない!」

 

 薄いブルーから濃いミッドナイトブルーへとグラデーションになっているドレスの仮縫いをしているユージーヌ卿。

 本当にスタイル抜群なんだ。この身長を活かすデザイン! バイアスカットで身体のラインが出ているけど、素敵すぎるよ!


 私ももっと背が高かったら、こんなデザインのドレスを着たいな。


「ユージーヌ卿、とても素敵ですわ」

 これ、お世辞じゃないよ。


「ペイシェンス様、ありがとう! 母から婚約披露パーティには、絶対にドレスを着るようにと厳命されていたのだ」


 ユージーヌ卿のお母様も大変だね。でも、理解あるサリエス卿だから、大丈夫じゃないかな? ああ、アマリア伯母様は大変そうだけどさ。


「図々しいお願いだが、ウェディングドレスも作って欲しい。母が考えているドレスは、蕁麻疹がでそうなんだ」


 それは、勿論! だってユージーヌ卿は、良いお得意様になりそうだし、素晴らしい広告塔だからね。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] ユージーヌ卿、蕁麻疹のでないドレスがなかったという話だが、社交デビューしてない? 下級貴族だから、必要なかったとか?
[気になる点] 正しくは、『新世界より』ですね。 「遠き山に日は落ちて」は「新世界より」の第三楽章(笑) アメリカの鉄道をイメージして作った曲だとか。 英語の教科書にエピソードが書いてありましたけど…
[気になる点] 小さな村に、過去の領主や騎士の館(小領主)のようなものがある所は、あるのだろうか? 村人をまとめ、支配している村長は、各村にいるのかな? …あれだけ放置されてたら、国王や権力者を、見限…
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