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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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グレンジャー館でお茶会

 家族やゲイツ様、ラドリー様、サリエス卿とユージーヌ卿を招待したプレオープンは大成功だったので、ノースコート伯爵夫妻を招いて、お茶会を開くことにした。


 今回は、残念ながら弟達は参加させないつもりだったけど、サティスフォード子爵夫妻と共にアンジェラも来るみたい。

 サミュエルは、久しぶりにノースコート伯爵夫妻と会うのに参加する予定だったから、ナシウスをどうするか悩んじゃう。

 でも、参加するのは、父親とパーシバルと私とサミュエルだけになった。


 何故なら、皆、飛ぶ練習に夢中だから。

「ナシウス、良いなぁ! 私もお茶会より、飛ぶ練習をしたい」なんて、サミュエルは文句を言ったけど、アンジェラが来ると知ってからは、黙った。


 飛行訓練、雇った騎士達も参加している。勿論、パトロールはしているよ!


 今のところ、飛べる? のは、ルーシーぐらいかな? 勉強は、もうちょっと頑張らないと駄目だけど、彼女は兎に角、魔法が大好きだし、風の魔法は得意だからね。


 そして、ナシウス! 後一歩! パーシバルも頑張っているよ。


 ヘンリーは、スケボーで自由自在に飛んでいる気がするけど、スケボー無しでは駄目なのかな? いける気がするんだけど。


 今回は、ゲイツ様もラドリー様も参加しない。何故なら、あれこれ貴族から依頼されたり、縁談を持ち込まれるのが嫌だからだ。


 それと、今回はエバはハープシャー館にいる。これが大きいのかも? 本来なら、領地の料理人だけで、接待できるようにしなくちゃいけないのだけど、グレンジャー館にいるゲイツ家の使用人にほぼ助けて貰っている。


 ハープシャー館の料理人見習いにも、手伝わせるけどね。早く、覚えて貰わないといけないな。


 私達は、グレンジャー館で昼食の予定。ついでに、教授達と打ち合わせをしたい。

 退屈そうなサミュエルは、馬の王(メアラス)で遠乗りをして貰っている。


 海辺を走るのが、馬の王(メアラス)は気に入ったみたい。必要なさそうだけど、足腰強化になりそう。


 ライトマン教授は、ラドリー様と一緒に色々と建物を建てたり、改築して貰っているから、打ち合わせはパス。


 リンネル教授、凄く日焼けしているけど、大丈夫かしら?


「ペイシェンス様! あのさつまいもは、素晴らしいですよ! 種芋ではなく、茎で増やす事ができるのですね。これは、北部でも作れたら、寒害も防げるのですが……」


 どうだろう? さつまいもって、暖かい地方のイメージだ。


「それは、やってみないとわからないですわね。元々、南の大陸で栽培されているみたいですから」


 さつまいもと呼んでいるけど、これは脳内変換されているのだろうか? なんて考えちゃうよ。


「オリーブは、かなり植え付けが進んでいます」


 空き地が多いから、使える土地は多いんだ。それに、海岸近くの土地は、塩害があるから元々空き地なんだよね。


 リンネル教授には、ハーブのポット苗も作って貰っている。これは、グレンジャーとハープシャーの市で売るつもりなんだ。


 市っていうほどのものではないけど、モンテス氏が管理人になってから、週に一度、市を立てている。


 現状、ハープシャーが火曜日、グレンジャーが木曜日。まぁ、農家の人や漁師が物々交換している感じ。

 

 これをもっと強化したい。

「麦芽糖で甘い飲み物を作って、市で売ったらどうでしょう?」

 見本を、教授に渡す。少し生姜を使っているよ。


「これは、美味しいですね」

 夏場は冷やし飴、冬場は生姜湯として売れば良い。


「ただ、私達が売るのはどうかしら? 地元の人に売って欲しいのですが」


 これが問題なんだよね。私が作って売るのは簡単だけど、それでは領地は繁栄しない。


「先ずは、味を知ってもらう必要がありますよ」

 それも一理ある。誰か、商売気のある人がやってくれたら良いのだけど。


「今週の市から売ってみようと思っています」


 リンネル教授は、それまでにハーブのポット苗を用意してくれると請け負ってくれた。


「それと、さつまいもも領地に増やしたら良いと思います。こちらも、配れるように増産しておきますが、味を広めるのも良いですよ」


 そうだね! 簡単にできる蒸し芋とか、焼き芋を市で売るのも良い。


 ベッカム教授は、グレンジャー海老も養殖したいと乗り気だ。きっと、グレンジャー海老のテルミドールが気に入ったのだろう。


「ケイレブ海老の養殖は初めて行いますが、やはり、マッドクラブが餌場にしそうです。網で養殖より、海岸近くに水槽を作った方が良いかもしれません」


 これは、またライトマン教授に依頼しないといけないな。それと、海水を循環させるポンプを作らないと!


「鮭の養殖についても研究しています。これも、水槽である程度、稚魚を大きくしてから放流した方が良いと思います」


 やる事が山積みだよ! 昼食は、ランチミーティングになった。学生達からも、意見を聞きたいからね。


「あのう、夏休みが終わっても、私達はここで研究を続けたいのですが……」

 遠慮がちに言われたけど、こちらがお願いしているほうなんだよ。


「ええ、勿論ですわ! それに、グレンジャー館の横に研修施設を作ろうと考えているのです」


 学生達から、安堵した溜息が漏れた。


「ははは、学生達には、グレンジャー館は贅沢過ぎるみたいなのです。それに、ホテルにすると聞いて、滞在できなくなるのではないかと心配していたのです」


 リンネル教授が笑う。それは、連絡ミスだったね。


「来年からホテルにしたいと考えていますが、それまでに研修施設も建てますわ」


 ベッカム教授も笑う。

「あのプールやテラスが素晴らし過ぎて、学生達はここにいても良いのか不安に思ったようです」


 確かにね! あの浅いプール、空を写して真っ青で綺麗なんだ。


 グレンジャー館のお茶会! 大成功だったよ。


「まぁ! 噂には聞いていましたが、グレンジャー館がこんなに素晴らしくなっているなんて!」


 ラドリー様のお陰だよ。リリアナ伯母様は、ここに住みたいと愚痴る。本当にお客様が多くて、大変みたい。


「夕方も素敵なのですよ」

 夕日にプールがオレンジ色に染まって、魔導灯や松明の火がゆらめいて、なかなかロマンチック! パーシバルとのデートは未だだけど、夏休み中には絶対にね!


 アンジェラはメロンパフェに夢中で、サミュエルが目に入っていなかったけど、お茶の途中で庭を案内させたよ。


 サティスフォード子爵は、冷凍馬車の代金とお礼を言ってくれた。


 アフターヌーンティースタンドは、リリアナ伯母様がちょっと考え込んでいた。


「気のおけない方とのお茶会では使いたいけど、話を変えるタイミングにもなるから、前のままのスタイルの方が良い方もいると思いますよ」

 つまり、嫌な人とのお茶会には向いていないみたい。


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― 新着の感想 ―
領内外の商店で売りに出したり、 スイカもメロンも含め、国内外に、安定出荷できるようになるといいね
水の循環は灯油ポンプの電動で無い物でも良いかも? 多少の高さは気圧と面積によるサイフォンの効果で行けます。 無ければ海水を充満させたパイプ状の物を海水につけて離せば真空と大気圧の効果でいけます。ただ余…
[一言] 市は、外部の人がこないなら物々交換もありかもだが、 お金でやり取りさせる話でも、よさそう
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