騎士達と合同練習!
お昼からは、騎士達と合同練習だ。
サリエス卿とユージーヌ卿もすごく張り切っている。
「ゲイツ様から指導を受けるだなんて、他の騎士達に知られたら、凄く羨ましがられるぞ!」
「そうだな!」
二人の頑張りに期待しよう。
私的には、身体強化は無理じゃないかなと半分諦めている。
パーシバルやナシウスは、風の魔法を使えるから、飛べる様になったら良いな。
「お姉様、私も参加しても良いですか?」
ヘンリーは、騎士合宿に参加というか、加えて貰っている。正式なメンバーじゃなく、おまけって感じ。
子供たちが遊ぶ時に、幼い子を仲間に加えてあげるけど、鬼にしないとか、本当のメンバーじゃない感じ。
ヘンリーは賢い子だから、それをわかっている。だから、今回の魔法合宿との合同特訓に、参加しても良いのかと聞いてきた。
「勿論ですよ! それに、ヘンリーに身体強化を教えて頂きたいのです」
ゲイツ様には断ったけど、うちのヘンリー、マジ天使で可愛いんだもん。モチベーションMAXだよ。
「えっ、私がお姉様に教えるのですか? 頑張ります」
うん、なんて可愛いの! 抱きしめてキスしよう。
「私も参加させて欲しい」
サミュエルもナシウスも、半分おまけだ。
「ええ、勿論です。サミュエルもナシウスも飛べるようになったら良いですね!」
全くの他人事みたいに言っていたら、ゲイツ様からチェックが入った。
「ペイシェンス様が一番必要かもしれませんよ」
ええっ、やはり竜討伐要員なのかな? 領地に来たら、仕方ないけど、他は知らないって感じなんだけど。やはり、貴族としての心構えがなっていないのかも?
今日は屋内訓練所ではしない。だって、空を飛ぶ練習なんだからね。頭を天井でぶつけるのは嫌だろうから。
「ペイシェンス様は、ヘンリー君に身体強化を習って下さい。ルーシーとアイラも一緒に!」
先ずは、魔法合宿組は身体強化を習うのだけど、アルーシュ王子とザッシュは身体強化は出来るから、騎士合宿組と一緒に空を飛ぶ練習だ。
パーシバルも浮き浮きしているのがわかる。空を飛ぶ訓練だなんて、普通は受ける機会がなさそうだからね。
「お姉様、身体強化の練習ですが、どうやって教えたら良いのかわかりません」
困った顔のヘンリー! そうだよねぇ。私も困った。
「私だけなら、身体強化ができなくても良いのですが、ルーシー様やアイラ様は、空を飛びたいと思っていらっしゃるでしょう」
ヘンリーを抱きしめて考えているうちに、名案? 迷案? が思いついた。それに、ヘンリーはまだ少しだけだけど私より背が低いから、抱きしめ易いんだ。
「ヘンリー、このまま身体強化を使ってみて!」
ヘンリーは、私の顔を見て、不思議そうだけど「はい!」と自分に身体強化を使った。
「ううん? 何か掴めそうですけど、もう少しお願いしますね」
横で見ているルーシーとアイラが「あれってヘンリー様を抱きしめたいだけでは?」とか失礼な事を話しているけど、無視しよう。
「身体強化!」
うん、ちょこっと使えた気がする。
「ヘンリー! 素晴らしいわ! ヘンリーのお陰で、身体強化が使えるようになりましたわ」
「お姉様! 嬉しいです!」
飛び跳ねて、喜んでいるヘンリー。可愛い!
「えええ、嘘でしょう!」
「まさか!」
ルーシーとアイラは、驚き、疑っている。
「ペイシェンス様? もう身体強化ができたのですか?」
二人が騒ぐから、ゲイツ様がこちらにやってきた。
「ええ、ヘンリーは天才ですから!」
もじもじと嬉しそうなヘンリーを抱きしめて、キスしておこう。
「ペイシェンス様、少し、弟君への愛情表現は後にして、身体強化をしてみて下さい」
渋々、ヘンリーを離して、身体強化を自分に掛ける。うん、バリアを自分の周りに掛ける感じだよね?
「ペイシェンス様! それは身体強化ではありません」
「えっ、違うのですか? 私の周りにバリアを張って強化してみたのですが? ヘンリーの身体強化を真似したつもりですよ」
ヘンリーがしおしおなので、必死で言い訳する。
「ヘンリー君のは、身体強化です。でも、ペイシェンス様のはバリア! ああ、何でこう難しくするのでしょう! 身体強化は、身体の組織に魔力を流して、強化するのです」
ゲイツ様の身体強化を見ると、ああ、これなんだ! と自分の身体強化擬きとの違いを実感した。
「身体強化!」こっちだったんだ。全身に魔力を流して、組織を強化する。
「ああ、それが身体強化ですよ」
「ヘンリーのお陰で、バリアと身体強化を覚える事ができましたわ」
弟愛に関しては、全員がスルーしたが、ルーシーとアイラは「あれはペイシェンス様だから覚えられたのでは」とか文句を言っている。
「ルーシー、アイラ! 貴女達は、身体強化ができるまでは、空を飛ぶ訓練には参加できません。ヘンリー君によく教えて貰いなさい」
無理だぁ! と二人が絶望した顔をする。
「ヘンリー君の教え方を工夫するのです。自分で考えて!」
つまり、ヘンリーがちゃんと教えられるように、二人は苦労しなきゃいけないみたい。頑張ってね!
パーシバルやナシウス達と一緒に、空を飛ぶ訓練だけど、ゲイツ様、スパルタなんじゃない?
「ヒェェェ!」
サリエス卿、悲鳴と共に、空に打ち上げられている。
「はい、次はユージーヌ卿ですよ!」
私なら辞退するけど、ユージーヌ卿は、張り切って前に出る。
「ゲイツ様!」止めようとしたけど、空の上にユージーヌ卿は打ち上がった。
「ふんむ!」とサリエス卿は、無事に着地したし、ユージーヌ卿もちゃんと着地した。
「これは、なかなか難しそうです」
サリエス卿、悲鳴をあげていたのは記憶から消去したのかな?
私は、ちょっと腰が引けているよ!




