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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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一つずつ片付けていこう!

 ゲイツ様との魔法訓練は午後からも続くけど、ルーシーもアイラも参加するから、転移魔法はできない。

 アルーシュ王子には、ゲイツ様が口止めしたみたいだけど、何と引き換えなのかな?


「ペイシェンス様、ルーシーとアイラは、かなり生活魔法が使えるようになりましたね!」

 珍しく褒めて貰えたけど、嫌な予感がする。


「アルーシュ王子とザッシュ君にも、生活魔法を教えて下さい」

 ああ、やっぱり! これが口止めの条件なのかも?


 アルーシュ王子やザッシュと手を繋ぐのは、少し恥ずかしいから、ルーシーやアイラも巻き込む。それに、何回、練習したって良いからね。


 ナシウスがいれば良かったのだけど、昼からはサミュエルやヘンリーと騎士合宿の方に行っちゃった。残念!


「アルーシュ様、ルーシー様と私と手を繋いで下さい」

 怪訝な顔をして、私と手を繋ぐ。

「綺麗になれ!」これが生活魔法の基本だよね? 少なくとも、ジェファーソン先生の一時間目はこれだったよ!


「おお、これは便利だと、冬の魔物討伐の時から思っていたのだ!」


 何回か掛けて、自分で試して貰う。うん? 微妙!


「やはり、こちらの魔法の使い方をマスターしてからでないと難しいのかも?」


 ゲイツ様がやってきて、私の指導方法に興味を持つ。それまで、椅子に座って休憩していたんだよ! 昼食、食べ過ぎたんじゃないの? 海の幸のパスタ、二皿もお代わりしていたから。


「ペイシェンス様、私にも試してみてください」

 ゲイツ様は、生活魔法はできるじゃん! と思ったけど、口で勝てる相手ではないので、今度はアイラと手を繋いで掛ける。

 アイラは、ゲイツ様と手を繋げて嬉しそう! 良かったね!


「ふぅむ、この遣り方は有効だと思います。アルーシュ王子は、ルーシーと。ザッシュ君はアイラと練習して下さい」


 また指導を丸投げだよ! 何の為の魔法合宿なのかな?


「ペイシェンス様、人を指導するのは、良い訓練になるのですよ」


 その間、何をしたのか? 錬金術部屋で守護魔法の指輪、ネックレスを作ろうって事になったんだ。


「ゲイツ様? いつもミスリルや魔石を持ち歩いているのですか?」


 提供されたミスリル、流石に拳大だったけど、こんなの普通は持っていないよね。


 ゲイツ様は、指を一本立てて、チッ、チッ、チッ! と笑う。


「そんなわけないでしょう! ペイシェンス様の領地に行くから、何か作るかも? と思って用意していただけです」


 ふぅん、そうなんだね! 一応は、材料提供して貰うのだから、ゲイツ様にも紋章付きの指輪を作ってあげても良いかも?


「ゲイツ家の紋章は、杖と星ですよね?」

 貴族の馬車には紋章が付いているから、何回か見ている。


「あの星、削除したいです! 祖先に文句を言いたいですね。全くセンスが無いのですから」

 ああ、あれはエステナ聖皇国の七芒星だったかも? 


「それは、そうとペイシェンス様の紋章は登録したのですか?」


「えっ、それは……しなくてはいけないのですか? 新しく購入した馬車にはグレンジャー家の紋章を付けて貰ったのです。ナシウスが使う事もあるでしょうから」


 ゲイツ様に叱られた。何故か、パーシバルの指導不足まで文句を言う。


「グレンジャー子爵が浮世離れしているのは、仕方ありません。彼は、象牙の塔の住人ですから。でも、パーシバルは外務省に勤めるのですよ!」


 だって、普通は親がそういった面の世話はするんじゃないの。婚約者だからって、そこまでは面倒見なくても良いと思う。


「ハープシャーの葡萄、グレンジャーのマッドクラブにしようかしら」


 本気でゲイツ様に呆れられた。駄目なのかな?


「もう少し、格好の良い紋章にしないと、子孫に嘆かれますよ。あの七芒星、本当に趣味が悪いと私も心底、嫌なのですから」


 ふぅ、それと他の貴族の紋章と被るのは駄目だとか、色々言われると、混乱しちゃう!


「ペイシェンス様のお印とかは無いのですか? 初代の子爵として、薔薇とか女の人らしいのでも良いのですよ。初代特権です!」


「お印は、いちごの花ですわ。これはいちごも少し葉っぱの裏から見えていますが……」

 ハンカチを取り出して見せる。


「こんな可愛いお印なのですね! 本人は非常識なのに」


 酷い! もう口を利きたくない気分。


「どちらにしても食べ物系から離れていませんね」


 うっ、それはそうかも? 元ペイシェンスなら、薔薇をお印に選んだだろうね。


「本に薔薇は、どうでしょう? グレンジャー家の本にペンのアレンジですが……」


 私は苺の花の可憐さが好きだよ。それに食べられるから! でも、格好を少しは付けなきゃいけないのかも?


「本に杖はどうでしょう? 魔法使いらしくて良いと思うのですが」

 ゲイツ様は、魔法省推しだからね。油断すると、ぐぃぐぃ押してくる。


「でも、パーシー様と結婚したら、そちらの紋章を使うのに、必要無いのでは?」


 そう、それもあったから、馬車にもグレンジャー家の紋章を付けたんだ。お嫁に行く時に、モラン家のに変えたら良いかなと思って。


「それは、普通の令嬢の話でしょう。ペイシェンス様は、国王陛下から子爵に叙されたのですから、そちらが優先ですよ」


 ガァン! 何だかショック! そりゃ、そうかもしれないけど……。


「大体、ペイシェンス様の功績に対して、子爵だなんてケチくさいですよね! まぁ、まだ未成年だから仕方ない面もありますが」


 こちらの成人年齢、十五歳から十六歳。つまり、王立学園を卒業したら成人扱いみたい。庶民は、もっと若いのかも? 少なくとも働き出すのはね!


「杖は使った事もありませんから、ちょっと……」

 これは断っておく。魔法省にまっしぐらの紋章は嫌だからね。


「ううんと、馬の王(メアラス)を……まるで、あの王国みたいですわね」

 これも却下だよ! 他国の国旗を真似するのは良くないからね。


「ふぅむ、本に薔薇でも良いと思います」

 つまり考えるのに飽きたみたい。他人事だからね。


「もう少し考えて決めたいと思います」

 ちょっと考えていたゲイツ様だけど「まぁ、なんとかします」と答えた。


「えっ、それって拙いのでは?」


 これは、近々に決めなきゃ! パーシバルとも相談して決めたい。だって、いつかは私たちの子どもが受け継ぐんだから。きゃあ! 恥ずかしい!


「ペイシェンス様?」

 ゲイツ様が色恋沙汰に疎くて良かったよ。


「では、先ずは、ゲイツ様の紋章が入った指輪を作ってみましょう!」


 それをジッと見られていても、遣り難い。アルーシュ王子、昨日はごめんね! 空気中の魔素を集める遣り方に興味あったから、凝視しちゃって。


「ゲイツ様は、サティスフォード子爵に依頼されている冷凍庫を作って頂きたいですわ」

  

 一つずつ片付けていきたいからね!


「それは、後で一緒に作りましょう。そのくらいペイシェンス様でも作れるでしょう!」

 うっ、気持ちを逸らす作戦失敗。


 気を取り直してプラチナで紋章付きの指輪を作る。かなり大ぶりな指輪になったけど、魔石の極小なら入るようしたから仕方ないね。

 紋章の下を分厚くして、開けて魔石を交換できるようにしている。

 

「ここの土台部分をミスリルにして、魔法陣を刻むのですか?」

 描くより、刻んだ方が良いと思う。

「その前に魔法陣を小さくしないと!」

 今日は、ここまで! お茶の時間だからね! パーシバルと弟達と一緒の時間は、絶対に譲れない。

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― 新着の感想 ―
 剣と羽ペンを交差させて真ん中に苺の花とかどうやろ。
[一言] 王宮魔法使いがやるべき合宿なんだから、ハープジャー子爵として、報酬を請求したいね…。ゲイツの滞在費も、請求したいね… 少なくとも、アルーシュ王子とザッシュの滞在費とお世話代、生活魔法の指導料…
[一言] ペイ嬢の紋章って、本よりどちらかと言えば錬金釜って感じがするけどな。めっちゃ色々作ってるし。 釜に薔薇…。合わんか(笑)
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