ゲイツ様が到着
今日から、本格的な魔法合宿、騎士合宿が始まる。
でも、午前中はこれまで通りだね。オルゴール体操、朝食、そしてモンテス氏とのミーティング。
「昼食までにはゲイツ様達が到着するでしょう。これから、どの程度、領地改革に関われるかわからないです」
モンテス氏に丸投げになっちゃうかもね。
「朝の報告の時間は、できるだけ取って頂きたいです。ラドリー様に依頼する建物が多いので」
そのくらいの時間は取るよ!
後は、昨日に引き続き、錬金術だ。今日もクラリッサに助手を頼む。パーシバルは、馬の王と遠乗りに行くそうだ。
真珠の養殖の件以外は、問題ないと考えたからかもね。
それか、パーシバルも騎士合宿になると自由に馬の王と遠乗りできなくなると考えたのかも?
「ペイシェンス様、この粘土型にステンレスを流し入れたら、誰でも簡単にカトラリーができるのでは?」
昨日、一日掛かりで型を作ってくれた。
「クラリッサ、素晴らしいわ!」
褒める所は、褒めて伸ばさなきゃね!
「後は、モンテス氏と一緒に鍛冶屋でカトラリーが作れるか、調査してね」
それと、アクセサリーのパーツ作り、これは私も手伝った。色々なパーツが必要だからね。
「半貴石を同じ形にするのは、とても難しいですわ」
私が形を整えたのは、全部同じになっているけど、クラリッサのは色々な形になっている。
「これは、これで使い道があります。同じ形の方がネックレスにする時は良いけど、鎖を間に挟んだり、金属のパーツを挟めば、面白いアクセサリーができると思うわ」
道具とパーツができたので、モリーとマリーを呼んでもらう。
「このアクセサリーの見本を見ながら、色々と作って欲しいのです。一つ作ってみますね」
これは、前世の趣味の賜物だね! 半貴石とパーツを組み合わせて、ネックレスを作る。
「これで、出来上がりよ!」
簡単なパターンだけど、半貴石と半貴石の間にチェーンを挟んだから、軽やかな雰囲気になっている。ここにパールが入ると、グッと華やかになるんだけどね。
「まぁ、とても素敵ですわ!」
マリーとモリーの目がキラキラだ。メアリーとクラリッサの目もキラキラになっている。アクセサリー作りは、任せても良さそうだ。
うっ、アクセサリーに比べると、昨日のお茶の時間に披露したタピオカミルクティーは、好みが二手に分かれちゃった。好き! と言うグループと、気持ち悪いって言うグループ。
「粒々はいらないんじゃないか?」
サミュエルは、わかっていないね。でも、ナシウスも微妙な顔!
「私は面白い食感だと思いますよ」
パーシバル、やはり好き! 騎士クラブの二人も賛成してくれたけど、魔法クラブの二人は微妙な顔だ。
「これ、ゲイツ様はどちらでしょう? 私は、もちもちして好きなんですけど?」
ヘンリーの発言で、わいわい騒いだんだ。
さて、本人はどう反応するのか、少し楽しみだよ! 先触れが来たから、そろそろ到着だ。
「もうすぐ着かれると思うわ」
アルーシュ王子、王族扱いでなくても良いと言われているけど、ゲイツ様をルーシーとアイラは出迎えたいと言う。
それに、騎士クラブの二人は、サリエス卿とユージーヌ卿を出迎えたいと張り切っている。
なんやかんやで、全員でお出迎えだ。あっ、父親は読書している。バザールでパーシバルが買ったカザリア帝国の寓話集、読んだ事がなかったそうで、寓話の意味解きに夢中になっている。
「ペイシェンス様! やっと退屈な仕事を終えて来られました!」
ゲイツ様、エバの料理が食べたいと欲望が丸出しだよ。
「アルーシュ王子、ザッシュ様、ようこそハープシャーへ」
ちょっと、初めて会った時の派手な布を纏っただけの姿だったら困るなと思っていたけど、普通の服でホッとした。
「ペイシェンス、凄く綺麗な館だな!」と褒めてくれた。
「ラドリー様に改築して頂いたのです。ラドリー様、サリエス卿、ユージーヌ卿、ようこそいらっしゃいました」
全員の挨拶合戦になったけど、リンダとジェニーが直立不動だよ。やはり、騎士関係は上下の規律が厳しいのかも?
「サリエス卿、まだ仮採用ですがバーンズ公爵家からローラン卿とジェラルディン卿がいらしています。ノースコート伯爵家からもエルビス卿が」
これから騎士合宿になるから、今日は騎士達も一緒に昼食だ。顔合わせの意味もあるからね。
「ジェラルディン卿! ここで会えるとは思ってもみなかった。こちらが婚約者のユージーヌ卿だ」




