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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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ゲイツ様が来る前に

 昨日は、デートして、昼からは弟達やサミュエル、そして女学生達を誘って海水浴を楽しんだ。

 意外な事に、父親も参加していた。少しは引き篭もりをやめる気持ちになったのかな? 健康でいて欲しいから、嬉しい。


「明日には、ゲイツ様が来られるわ」

 残りの自由な日は一日だけになった。

 まぁ、ゲイツ様が来ても、領地の改革は続けるけどね。

 だから、ここで魔法合宿する事になったのだから! ゲイツ様の本音は、エバの海産物を使った料理を食べたいというのが透けて見えているけどさ。


 今日もオルゴール体操、朝食、モンテス氏との打ち合わせは同じルーティンだ。

 違うのは、ここから! 錬金術で色々と作ろうと考えているんだ。


「パーシー様は、どうされますか?」

 錬金術を延々と見ていても退屈だよね? そう思って聞いたのだけど、パーシバルは笑う。


「ペイシェンスの錬金術は見ていて面白いです」

 そうなのかな?

「私は、パーシー様と一緒に居られるだけで、嬉しいですが、退屈されたら他所に行かれても良いのですよ」

 

 今日は、クラリッサを助手にして、色々と作る予定!


 先ずは、兵舎でも使ったら良いと思うステンレス製のカトラリー! これを見本にして、領地の鍛冶屋で作ったら良いと思うんだ。できるか、どうかはわからないけどね。


「ステンレスですか? 聞いたことがない金属ですわ」


 クラリッサに金属を量らせる。鉄、クローム、ニッケルを分量通りにね!

 パーシバルが手伝ってくれる。重いから、助かるよ。


「これを錬金釜で溶かしている間に、こちらをしましょう!」

 サティスフォードのファンシーな店で見たアクセサリー、ハンナ達へのお土産は小箱に入れて包装してもらっているけど、いっぱい買った見本を取り出す。


「わぁ、可愛いです!」

 クラリッサも女の子だよね! キラキラするアクセサリーに目もキラキラだ。


「この半貴石の形を整えて、アクセサリーを作るのよ。後、繋げるパーツと道具も作らなくてはいけないわ」

 

 前世のビーズのアクセサリー作りに必要だった平ヤットコ・丸ヤットコ・ニッパーなどを作る。

 そして、マルカン、T字カン、鎖などを作るのだけど、ここはクラリッサに任せよう。だって、見本があるのだから。


「細かいパーツはこの透明な箱に別々に入れてね」


 前に、ボタンやビーズを整理する為に作った透明な仕切りがついた箱に入れたら、作業がしやすいと思う。これは、前世の経験からだよ。


「そろそろステンレスができたから、スプーン、フォーク、ナイフを作るわ! クラリッサ、よく見ておいてね!」


 私が全て作っても良いけど、これは地元の鍛冶屋で作らせたいんだ。つまり、普通の錬金術で作って、鍛冶屋が作れるようにして欲しい。


「これは、難しいです。私では、同じ形にできないと思います」


「そう、だから同じ形にできるように型を作って欲しいのです」


 型も私が作った方が早いのかも? でも、誰もが作れる事が大切なのだと思う。少しデザインを変えたりできるからね。


「半貴石の形を整えるのも、良いバイトになるのよ」と励ましたけど、横でパーシバルが笑う。


「そんなに一度にはできませんよ」

 そうかも?

「クラリッサ、一つずつ作ってくれたら良いのよ。醤油の瓶も同じ形にできるようになったでしょ」

 ただ、醤油の瓶も型を作った方が良いのかも。ずっと、私が作るわけにはいかないのだから。


「ああ、ペイシェンス様の言わんとする事が、少しわかった気がします。誰でも作れるように、型を作ったりしなくてはいけないのですね」


「そうなのよ! クラリッサは賢いわ。私やクラリッサがずっと作るのは駄目だと思うの。他の人に任せる事は、任せなくては!」


 パーシバル、笑いすぎだよ!

「ペイシェンスも賢くなりましたね!」

「ええ、パーシー様に習いましたから」


 ちょこっといちゃいちゃしちゃった。クラリッサに、カトラリーの型を作るのと、アクセサリーの道具やパーツ作りを任せる。


 でも、ゲイツ様が来られる前に、もう二つしておきたい事がある。これは、秘密厳守な案件と、楽しい物と一つだ。


「クラリッサ、巨大毒蛙の粘液と珪砂とスライム粉を混ぜて、滑らかにしてね!」


 ストローも本当は機械を作らないといけないのかも? でも、この夏にタピオカミルクティーを飲みたいから、今回は時短で作る!


「細いストローになれ! 太いストローになれ!」


 錬金釜に細いストロー、太いストローがいっぱいできた。


「これは分かりますよ! 麦藁でジュースを飲んだ事がありますから」

 クラリッサが笑う。


「でも、この太いのは格好悪いですね?」

 パーシバルが首を捻っている。


「これは、タピオカミルクティーを飲む時に使うのです! 今日のお茶の時間には飲めると思いますわ」

 

 サティスフォードのバザールで買ったキャッサバ、南の大陸では主食にしたり、揚げて食べているそうだ。前世のキャッサバと違い毒は無さそう。


 でも、エバに皮を剥いて一晩水に浸けさせたし、芯の黄色い部分は切り取らせた。

 それを潰し、布で漉したのを、水を取り換えながら、何回か沈殿させ、タピオカ粉ができたのだ。


 タピオカ粉をタピオカビーズにするのは、パスタマシーンの変形バージョンの機械で作る。

 前世のタピオカミルクティー、大好きだったから、自分で作るサイトを検索したけど、細く切ってから丸めるの、凄く大変そうだったんだ。

 今なら「丸くなれ!」でできそうだけどさ。


「これ、無理じゃない?」

 では、お店のタピオカビーズはどうやって作っているのかを調べたら、パスタマシーンのような機械で、丸める機能が付いているのがあるんだ! と驚いたんだよね。


 冬にキャッサバを買って、忘れてしまっていたけど、王都でタピオカビーズの丸める機械は作っていたんだ。


「今日のお茶の時間が楽しみです!」

 

 クラリッサだけでなく、私も楽しみにしているよ!


 ここからは、少し秘密にしなくてはいけないかも? クラリッサには、ストローを台所に持って行って貰う。


「真珠の養殖が可能か、ベッカム教授に実験して貰いたいのです。だから、核になる物を作らなくてはいけませんの」


 パーシバルが驚く。

「真珠の養殖ですか? それができたら画期的ですし、輸出品にもなりますね! これは、秘密保持契約が必要ですね」


 そうかも? ベッカム教授と助手達に手伝って貰わない方が良いのかな?


「先ずは骨を丸くしますわ。それと鋭い刃先のメスと貝を開けておく台を作らなくては!」


 五ミリくらいから一センチぐらいのまで丸い粒を作る。これは、簡単!


 メスもステンレスで何個か作る。問題は、貝を開いて固定する台だ。

 何個か作って、やり易いのに決めたい。


「ペイシェンス、真珠が本当に人工的に作れたら、高価な輸出品になります。慎重に実験しなくてはいけません」


「ベッカム教授に任せるより、私がした方が良いのでしょうか? これは、手先の器用な女の人に向いている仕事になると思うのです」

 

 パーシバルも判断が難しそうだ。

「少し実験してから、可能かどうか考えましょう」


 それをベッカム教授に丸投げしようとしたのだけど、それはちょっと考えた方が良いみたい。それに、海老の養殖や、鮭の養殖も依頼しているからね。あちらも一気に言われても困るかも?


「ペイシェンス、本当に少しずつやっていきましょう。デートする時間が無くなりますよ」

「それは、困りますわ」

 メアリーがいるから、キスできなかったけど、いちゃいちゃモードも今日までかもね! 明日にはゲイツ様が来られるから。


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― 新着の感想 ―
飢えに苦しむ人がいる世界で、自分もその体験があるのに毒のない食べ物をタピオカみたいな加工をするなんてね
[一言] タピオカミルクティーはストローで吸うのはうっかりお上品でない音が出そうw 昔、最初にタピオカが流行った時はココナッツミルクに入った粒々をスプーンで掬っていただくスタイルだったので、多分貴族の…
[一言] 金属加工しているペイシェンスってマギクラフト・マイスターみたいだね。(そのうち、5半ニッケル鋼とか鉄チタン合金とかジュラルミン鋼を作りそうな気がする。) さすがに某どでかいスパナが似合う悪役…
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