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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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夏の離宮へ行くよ!

 ラシーヌと夏の離宮に着ていくドレス、それに髪型まで打ち合わせしたから、朝はゆったりと過ごす。筈だったけど、持っていく荷物を厳選したりしながら、アンジェラとわちゃわちゃ楽しんだ。


「これ、素敵ですわ! 少女歌劇のファンでなくても欲しいです」

 少女歌劇の推しファンの為のグッズ、ペンライトだけじゃ弱い気がして、領地にも持ち込んでいたカルディナ帝国の鮮やかな絹で、小さなハンドバッグを何色かお針子組に作らせたんだ。


 私は、カルメン・シータしか会っていないけど、情熱の赤! ミニハンドバッグも赤にして、キラキラビーズで薔薇を刺繍してある。


「赤やピンクも素敵ですけど、このブルーやグリーンも可愛いわ!」


 ピンクも同じ薔薇だけど、赤の薔薇は高芯咲き。ピンクの薔薇は、カップ咲きだよ。

 青は、アイリス! グリーンは白い百合! 花は、これからパトロンの貴婦人達で選んでも良いと思う。


 それぞれ、応援する歌手のイメージに合った物が良いからね。それに、これはあくまで見本だから、作るのは他に依頼を出して欲しいな。


「お嬢様、そろそろ着替えませんと」

 夏の離宮は、昼から招待されているから、早昼を食べてから着替える。

 

 昨日、打ち合わせした通りの綺麗な青のドレス。バイヤスカットさせているから、ドレスが流れるみたいなんだ。

 惜しいのは、もっと背が高ければ、見事だったことだね。

 昼だけど、このドレスは長めに作ってある。ほぼ足首まであるんだ。社交界デビューの後は、足首も隠すのがマナー。

 だから、王立学園でも中等科三年になると、スカート丈をぐんと伸ばす女学生もいるけど、私は脹脛ぐらいで良いと思う。だって、年齢が十三歳だからね。


 ロマノ大学に通う時は、裾をもう少し伸ばすけどさ。お子様だと思われるのは癪だから。


「お嬢様、夏休み中に背が伸びられましたね! もう少し長くしておけば宜しかったのに」

 

 足首が全部出ているのをメアリーが嘆く。でも、私の年齢的には良いんじゃないかな?


 髪型も決めていたから、ゆるふわに纏めてもらう。共布のリボンを緩い三つ編みに編み込んでいるから、なかなか可愛い。


 仕上げに、眉を少し描き、ホワイトチョコレートのリップでピンク色の艶々唇にして、出来上がり。

 

「まぁ、ペイシェンス! とても素敵だわ! そうね、社交界デビューするのですから」


 ラシーヌに凄く褒められた。嬉しいね!


 私より先に支度が出来ていたパーシバルが、立ち上がって椅子に座るのをエスコートしてくれる。


「ペイシェンス、本当にそのドレス似合っているよ」

 婚約者として、褒めてくれるの、とても嬉しいね。婚約指輪のオパールがキラキラしている。


「アンジェラは、まだかしら?」

 まだまだ夏の離宮へ行く時間まであるのに、ラシーヌはそわそわしだす。


「皆様、遅れて申し訳ありません」


 ああ、これはミアでも手間取ったのだろうとわかる複雑な髪型だった。編み上げた髪を二つに纏めて、そこからくるくるにカールさせて落としている。ツインテールの変形版だ。


「アンジェラ、そのドレス、とても似合っているわ!」


 私のはスカイブルー、アンジェラのは淡いパステルグリーン。二人が並ぶと姉妹みたいに見えるんじゃないかな?


 結局、夏の離宮には馬車一台で行くことになった。私、パーシバル、アンジェラ、メアリーとミア。

 少し窮屈だけど、サティスフォードから夏の離宮までは、三十分程度だからね。


 ラシーヌ的には、付き添いはミアだけで良いと思っていたみたい。だって海水浴とかしないからね。コンサートを聴いて、お茶を頂くだけだから。


 でも、メアリーの頑固に拒否する目に負けたみたい。で、メアリーだけにしようかと思ったけど、ミアの泣きそうな目に負けたんだよ。


 席は、私とパーシバル、反対側は窮屈だけど、アンジェラ、メアリー、ミア! 


「私は別の馬車か馬で行っても良いのですが?」

 パーシバルが提案したけど、ラシーヌ的には婚約者同士が別の馬車は考えられないみたい。

 でも、アンジェラを一人では行かせられないから、こんな事になったんだよ。


 まぁ、アンジェラは華奢な女の子だし、メアリーもミアも痩せているから、大丈夫だよね。


「緊張いたしますわ」

 ああ、アンジェラは、ジェーン王女、カレン王女とは同級生だから、少し気楽だけど、他の王族は上級生だからね。


「マーガレット王女とリュミエラ王女は、とても優しい方ですわ。それにパリス王子はカレン王女の兄上よ。キース王子は、細かい事にうるさくない方だわ」

 

 うん、ちゃんと説明したねと、満足した私だけど、パーシバルがプッと噴き出す。


「ペイシェンス、苦手なオーディン王子をわざと忘れたのですか? ああ、アンジェラ様、大丈夫ですよ。彼はスレイプニル愛が激しい所以外は、とても良い人です」


 アンジェラは、私が乗馬が苦手なのを知っているから、笑って頷く。


「アルーシュ王子を飛ばしたのは、ハープシャーに来て欲しくないという思いからでしょうか?」

 アルーシュ王子、初対面の時のヤンキー傲慢王子ではなかったけど、王族を迎えるのって、少し気が重いんだよね。


「あっ、ザッシュ様も一緒でしょうか?」

 パーシバルも首を捻る。

「さぁ、どうでしょう? 初めて見た時は、アルーシュ王子の側仕えっぽいのかと思っていましたが、割とフリーですよね。興味があれば来るのでしょう」


 そんな話をしている間に夏の離宮に着いた。

 護衛していたローラン卿、ベリンダ、サティスフォードの兵士達は、ここで別れる。

 夏の離宮は、王族が招待した人しか入れないのだ。侍女は別だよ。


「あちらの控えの部屋でお待ちしております」

 兵士達に、少し嵩張った推しグッズが入った箱を下ろして貰い、夏の離宮の召使に渡して貰う。


 さて、少女歌劇団はどんな風に仕上がったのだろう。楽しみだね!

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― 新着の感想 ―
[一言] 識字率の低いからなあ、歌なら間違っても、ある程度ごまかせるし… 照明も、蝋燭が主体かな 男装も、ほぼ男子の服を着せてそう
[良い点] タカラジェンヌを知るペイシェンスのお眼鏡にかなう出来栄えだといいですが。 今までこちらの世界にはなかったスタイルだから、多少のことは期にせず受けそうと思いつつ、こちらの貴族の音楽教養のレベ…
[一言] やはり大人のドレスは、デザイン上ある程度の身長とスタイルが欲しいのよね。
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