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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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やはりバザールは欠かせない

 サティスフォードのバザールの香辛料の香りに誘惑されるけど、子爵の館に先ずは向かう。

「パーシー様、バザールに後で連れて行って下さい」

 メアリーは渋い顔をしているけど、子爵と婚約者が付き添いなら、反対はできない。


「香辛料ですか?」とパーシバルも笑う。

「ええ、なるべく領地で作れるハーブや香辛料を使いたいとは思っていますが、やはり南の大陸でないと作れない物もありますから」


 醤油と味噌は作ったけど、西洋辛子と唐辛子と胡麻は、栽培途中なんだ。リンネル教授は、気候的に栽培するのには問題ないと言うけどね。

 サフランは、これから領民にも作らせたい。花も可愛いし、かなり丈夫だから。

 

 魚料理に欠かせない、ハーブ、ディルやフェンネル。野菜と合わせた料理にはバジルやタイム。青魚にはオレガノ・ローズマリー! それに花も綺麗な生姜とにんにく! ハープシャー館とグレンジャー館で栽培している。


 ハーブは、雑草みたいに丈夫だから、増やしたら領民にも分けて栽培させたい。

 元々、使っているのもあるみたいだけど、栽培なんかせずに、採りに行っている感じなんだ。

 でも、ミントは増えすぎるから、要注意だけどね。


「パーシバル様、ペイシェンス様、ようこそ!」

 サティスフォード子爵夫妻とは、これからも気楽に付き合えそう!


 ラシーヌとは従姉妹だし、サティスフォード子爵は領地管理のお手本にしたいんだ。

 お互いに、にっこりと笑って話し合う。

 

 アンジェラとも話したいけど、ラシーヌが呼ぶまでは応接室に降りて来ない。ラシーヌは、結構、厳しいママだからね。


「部屋の用意ができたようです」と執事が告げたので、部屋に上がって、顔や手を洗う。

 お昼は、着替えなくても良いみたいだけど「綺麗になれ!」と掛けておく。 

 馬車にずっと乗っていたから、埃っぽいからね。


 お昼は、アンジェラも一緒だった。マリーとモリーが縫ったベビーピンクのドレス、似合っているね! それに、スカートが広がっていないから今風だし、白い幅広の襟が引き締めて、甘すぎない雰囲気も良い。


「アンジェラ、よく似合っているわ!」

 褒めたら、褒め返された。女の子の常識だけど、やはり嬉しいね!

「ペイシェンス様のドレスも素敵ですわ。秋のドレスも作って頂きたいわ」


 ラシーヌも、昔風の子供服より良いと思ったのか、笑って許可してくれた。秋のドレス、お買い上げ決定だね!


 昼食は、サティスフォードの料理人も腕が良いから、楽しめたよ。

 それに、お土産のメロンでパフェを作ってくれた。凄く美味しい! これ、エバにも作って貰おう!


「サティスフォード子爵、ペイシェンスはバザールに行きたいと馬車で言っていたのです」

 パーシバルにお出かけの許可を取って貰う。私が言うより、簡単なんだよね。令嬢って少し不自由!


「お母様、私も行きたいですわ!」

 アンジェラと一緒でも楽しそう! でも、ラシーヌは難しい顔をする。


「食事の後は、ペイシェンスが着ていくドレスとアンジェラのドレスの打ち合わせをしようと思っていたのです。色が被らない方が良いと思って」


 ええっ、そんなのバザール見学の後でも良いじゃん! なるべく不満を顔に出さないように注意しながら、ラシーヌに頼む。


「これまで王都しか知りませんでしたから、グレンジャーの海産物を使った料理を研究したいのです。実は、グレンジャー館をホテルにしようかと考えていて、リリアナ伯母様にも頼まれていますの。ですから、香辛料とか目新しい食材を探したいのです」

 

 ラシーヌは、リリアナ伯母様と仲が良い。親戚だし、近くの伯爵家だからね。よく交流もしているから、名前を出せば断れないと思う。


「ああ、リリアナ伯母様は、今年はお客様が大勢いらして、接待に苦労なさっているみたいですものね。グレンジャーで、お茶や昼食ができるなら、退屈されているご婦人や令嬢方も気晴らしになるでしょう」


 ラシーヌもリリアナ伯母様の愚痴を聞いていたみたい。


「ああ、そうだわ! グレンジャー家に家政婦が足りないと相談を受けていたのよね。まだ家政婦には経験不足だけど、一人良い子がいるのよ!」


「わっ、嬉しいです! ラシーヌ様、とても助かりますわ。サティスフォード子爵、ハープシャーで、魔法を使わなくても温室でメロンとスイカが栽培できましたのよ。リンネル教授に、栽培方法を纏めて頂いていますから、差し上げますわ」


 ギブアンドテイクは、親戚でも必要だと思う。これからも、良い人材を回して欲しいからね。


 それに、悲しい事にグレンジャーには港がないから、ライバルになれないんだもん。いずれは、なんとかしたいとは思うけど、先の先の話だよ。

 それに王都に近いサティスフォードとは、交易では争えないからね。


「それは嬉しいです! ペイシェンス様は、領地を拝領したばかりで、人材不足だそうですから、私も引き続き良い人を探しておきましょう」


 そう、そう! こう来なくちゃね! ここら辺が、サティスフォード子爵の気が効いている所だし、助かる点なんだ。

 

 忙しいけど、夏休み中に冷凍庫馬車を作ってあげようって気になるよ。


 バザールには、サティスフォード子爵もアンジェラも一緒にいく事になった。ラシーヌは、やめておくそうだ。

 他国の王族も多い夏の離宮行きで、ナーバスになっているみたい。

 本当は、アンジェラのマナーをチェックしたい様な顔つきだけど、十分だと思うよ!


 ああでも、今回、他所のお家の令嬢を預かって、付き添いの侍女なしで出歩くなんてとんでもない! って気分がわかった。

 私も母親になった時に、娘が夏の離宮に招待されたりしたら、ラシーヌみたいに神経を尖らせるのかもね?


 お茶の時間には帰らなきゃいけないから、目的を達成するには、さっさとバザールを見て歩かなきゃ! なのに、ペイシェンスは足が遅いんだよぉ! 身体強化が使えたら良いのに!

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― 新着の感想 ―
[一言] 家政婦の人と、面会した方が良くないかな?
[一言] ペイシェンスが前世の解剖学的魔力操作しても身体強化できないのかな?(筋肉に魔力を浸透して筋力筋力強化するとか。) 転生者あるあるネタだと思うのですよ。
[良い点] 以前よりは動いてはいても、やはり一般令嬢よりも体力が、、、。地道に努力するしかないですが、それよりもやりたいことがたくさんあるから仕方ない。
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