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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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パーシバルとサティスフォードへ

 夏の離宮に行く前日、サティスフォードで一泊する事になった。

「お嬢様、夏の離宮へ行くドレスは、これでよろしいでしょうか? 本当に、もっとアクセサリーを買って頂きたいです」

 

 アクセサリーについては、少し考えているんだ。でも、数年後になるから、少しは買わないと社交界デビューしたら、困るかもしれない。


 メアリーに準備を任せられるから、楽だね! 旅行前のパッキング、前世で苦手だった。


 パーシバルも準備は、従僕にさせているみたい。朝食の場で、二人で予定を話し合う。

「リリアナ伯母様にもメロンをお届けしたいと思うのです。彼方は、お客さまが多いから」

 それに、トイレ休憩もしたい。サティスフォードまで一気に行くのは、夏でも難しいよ。


「これからハープシャーを発ったら、十時ぐらいにノースコート伯爵館に着くでしょう。前触れを出しましょう」

 親戚でもいきなりの訪問はマナー違反だからね。


 今回は、馬の王(メアラス)はお留守番だ。サティスフォードに一泊するからね。

「ナシウス、ヘンリー、サミュエル、馬の王(メアラス)の面倒を見てね!」

 馬車には、パーシバルと私とメアリー! パーシバルの従者は、パーシバルの愛馬に乗っている。


 サティスフォードから夏の離宮まで、どうやって行くか、ラシーヌと相談してからになるからね。

 それと、護衛のベリンダとローラン卿と数人の領兵。

 領兵より、グレンジャー家の護衛の方が腕はまだ良いけど、経験を積ませなきゃ! それに、馬の王(メアラス)の警備は大切だからね。


「ペイシェンス! いらっしゃい! サミュエルがお世話になっているわね」

 おや、玄関で出迎えたリリアナ伯母様の熱烈歓迎だ。ここは、メロンを渡し、少し休憩したら、サティスフォードに行く予定なんだけど。


「伯母様、メロンとスイカをお持ちしました」

 メアリーが指示して、大きな木箱を馬車から下ろして、執事に渡している。


 応接室で、お茶を飲みながら、リリアナ伯母様の愚痴を聞く。

「大きな声では言えないけど、本当に、良いお客様ばかりでは無いのよ。去年も大勢だったけど、気持ちの良い御子息ばかりで、楽しかったわ」


 それはわかるけど……何故、私に話すのかな? それと、遺跡調査隊の不協和音は、リリアナ伯母様の記憶から消去されているみたいだね。

 少し警戒レベルを上げながら話を聞く。


「グレンジャー館、とても素敵に改装されたと噂になっていますわ。今は、ロマノ大学の教授や学生さん達が滞在なさっておられるそうだけど、歴史研究クラブの合宿は終わったのでしょう?」


 どんどん嫌な予感がするよ! それに、リリアナ伯母様の情報通なのにも驚く。サミュエル経由で聞いたのかも?


「ペイシェンス、遺跡に興味がない奥様方や令嬢が退屈されているのだ」

 ノースコート伯爵も困っているみたい。


「そうなのよ! 殿方は、何回も遺跡見学に行かれるけど、あそこは暑いから奥様方は一度で十分だと言われるの。だから、私はずっとお相手をしなくてはいけないのよ!」


 ああ、それは大変そう! なんて他人事では無くなった。


「グレンジャー館を夏のリゾート施設にしないか? 海水浴をしても良いし、あそこまで馬車で行って、お茶をして帰っても、気晴らしになりそうだ」


 つまり、ずっとノースコート館に居られると、リリアナ伯母様が大変だと言うことだね。


「少し考えさせて頂きます。実は、グレンジャー館をホテルにしようと計画中なのです。ロマノ大学の教授や学生達も泊まって貰いますが、他の方にも泊まって頂こうと」


 リリアナ伯母様が手を叩いて喜ぶ。

「今年、急に宿泊客を受け入れるのは大変でしょう。お茶や、休憩ができるようにしてくれたら、こちらも助かるわ。気分転換に良い距離ですもの」


 前世でもあった旅行先でのオプショナルツアーみたいな物かな? それなら、良いかもね!


 サティスフォードに行くのは、ノースコート伯爵夫妻も知っているから、少し休憩したら馬車で出発だ。


「ノースコート伯爵夫妻だから、気位の高い貴族主義者はグレンジャー館を紹介しないとは思いますが、気をつけなくてはいけませんね」


 パーシバルは、今はゲイツ家の執事見習いエイムズがしっかりしているから、大丈夫だろうけどと、心配している。


「ええ、アダムがこれから使用人達を鍛えるでしょうが、やはり人材不足を感じますわ」

 やっと、王都のグレンジャー家の使用人の数が揃ったところなのだ。まだまだ修業中だけどね。


 なんて固い話ばかりじゃないよ。メアリーはいるけど、二人でいる時間は貴重だからね。


「社交界デビューって、何も知りませんの。王宮で国王夫妻にご挨拶しなくてはいけないのは知っていますけど」

 

 パーシバルは、姉のナタリアの時の大騒ぎを思い出して、くすくす笑う。


「これは、王都に戻ってから、母上と相談した方が良いですね。あっ、ペイシェンスの後見役のご婦人は、モンテラシード伯爵夫人ですか? それともノースコート伯爵夫人なのですか?」


 そうか、モラン伯爵夫人の実家はモンテラシード伯爵家だったよね。だから、縁談もあったんだ。


「あのう、アマリア伯母様は、もう年だからと後見人をリリアナ伯母様がしたら良いと言われたのです。パーティにずっと出席するのも疲れるからと」


 パーシバルがホッとしたみたい。

「良かったです! 母は、実は義姉のモンテラシード伯爵夫人とは、意見が合わない事が多いと困惑していたのです。ペイシェンスの後見人のご婦人とは、同じパーティで同席する事が多そうなので」

 

 くすくすと顔を見合わせて笑う。アマリア伯母様の考え方は古いから、進歩的なモラン伯爵夫人とは話が弾まないだろうね!


「リリアナ伯母様とモラン伯爵夫人は、仲が良いみたいですね!」

 モラン伯爵とリリアナ伯母様は、従兄妹だし気楽に付き合えそう。まぁ、アマリア伯母様も従姉弟だけどさ。


「両親に、なるべく参加するパーティを絞りこんでもらいます」


 グレンジャー家の方は、ほぼ無しか、あっても食事会程度だよ。なんて気楽に考えていたら、パーシバルに指摘された。


「サリエス卿とユージーヌ卿の婚約披露パーティは、パスできないでしょう」

 

「あああ! ユージーヌ卿が着ても蕁麻疹が出ないドレスを作ってあげると約束していたのですわ!」

 忘れていたよ! ユージーヌ卿には悪いけど、パーシバルと二人で爆笑してしまった。


「ルシウス様とサマンサ様の結婚式に近衛騎士団の礼服で参列されていましたね!」


「ユージーヌ卿のドレスは、マリーとモリーに任せるわ!」

 前世の格好良いドレスのラフ画は渡すけど、それがこの世界で良いのかはわからないからね。


 二人で、仲良く話していたら、あっという間にサティスフォードに着いたよ。楽しい時間は短く感じるね。



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― 新着の感想 ―
[一言] ふと思ったけど、カミュ先生の息子達にも、臨時アルバイトして貰ったら、良かったんじゃないかな? 文系+騎士の1年2人、将来的に雇いたいなあ、なんちゃって
[一言] スーツっぽいワンピースか、ズボンとスカートをくみ合わせた男装風か、 剣を携帯しても、違和感ないワンピースか?
[一言] お茶するにしても、領地建て直しに、留年の危機の人をしばきながら、錬金術に醤油ミソソース作りに、錬金術して、対竜のゲイツ合宿が迫っていて、どこかの王子まできそうな中、流石にこれ以上は、無理だね…
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