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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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少し楽しもう!

 ラシーヌから返事が来た。夏の離宮に行く前の日から来て、泊まったら良いと提案されたのだ。


「パーシー様、どうしましょう」

 サティスフォードのバザールには行きたい! でも、領地の開発もしたい。

 

「ペイシェンス、行きたいと顔に書いてありますよ。それに、領地は逃げません。少しぐらい自分の楽しみを優先しても良いと思います」


 パーシバルは、私には甘い。モンテス氏に相談しよう。執務室に呼んで、来てもらう。


「子爵様が夏の離宮に行かれるのですか! それは名誉な事です。前日に、近くのサティスフォード子爵の館に招待されているなら、その方が万全の体制で離宮に行けます」


 ああ、そう言えば、夏の離宮に招待されるのは、大変な名誉だったんだね。つい、忘れていたよ。


「でも、その間、領地の開発が遅れますわ。嵐の影響もありますし、今回は幸い被害は少なかったけど、食料の備蓄とかも考えなくてはいけないのに……」


 モンテス氏に笑われた。

「子爵様が一日多く不在で困るようでは、私は管理人として無能と呼ばれますよ」


 まぁ、そうだよね。それに、私は王都にいる事が多いのだ。


「ああ、でも弟達やお客様が多いのに……」

 パーシバルが私の弟愛を笑う。


「グレンジャー子爵がいらっしゃいます。それに、魔法クラブの二人、騎士クラブの二人は、カミュ先生にお任せしなさい。クラリッサは、メーガンの手伝いをさせたら良いのでは?」


 やはり、パーシバルは人を動かすのが上手い。生まれた時から、貴族だから? 違うね! 駄目な貴族もいるもの。


「あっ、メーガンで思い出しました。彼女を調味料関係の責任者にします。ケリーにはソース作りの主任になってもらいます」


 その方が良い。ワインの発酵と味噌や醤油の発酵を混ぜない方が安全だ。それに、ソース作りなら醤油も火を通しているから大丈夫だと思うんだ。


「領地の使用人、とくに料理人を育てないといけませんわ」

 それは、モンテス氏も感じている。


「今は、兵舎の食事もハープシャー館で作ってもらっていますからね。凄く美味しくて、ありがたいですが、いつまでもエバさんはいないのですから」


 エバは、ケリーを指導しながら、王都から連れてきた料理助手と共に、館と兵舎の食事を用意しているのだ。


「エバが負担になると困りますが、領地で雇った使用人の中から調理人を育てたいわ。グレンジャー館にも秋までは学生が滞在しそうなのです」


 ケリーも新婚だから、いつかは妊娠するだろう。それまでに、調理人を育てないと、兵舎の食事も困る。


「グレンジャー館で思い出しました。アダムは、あそこをホテルにしてはどうかと提案していましたよ。ホテルの支配人に立候補しても良いそうです」


 わっ、嬉しい! パーシバルと思わず手を取って喜ぶ。


「私も、パーシー様とそう話していたのです。でも、ホテルにするには従業員が必要ですわ」


 モンテス氏がニヤリと笑う。

「子爵様が使用人達に毎日シャワーを浴びさせ、綺麗なお仕着せを着せるから、使用人になりたいという領民が多いのです。領兵ももう少し増やしたいです」


 私的には、使用人の服装は普通なのだけど、田舎では目立つのかもね。

 領兵達も、藍染の制服を着せている。マリーとモリーにデザインさせたのだけど、なかなか格好良い。ただ、肝心の腕前がイマイチなんだけどさ。


「使用人の採用はモンテス氏に任せますわ。領兵は?」

 どうしたら良いのかな? これまでは、モンテス氏がやっていたんだけど。


「領兵は、騎士達に任せた方が良いでしょう」

 パーシバルがアドバイスしてくれた。そうだよね、部下になるんだもん。

 

「使用人のうち、グレンジャー館に行く者は、アダムに選ばせても良いかもしれません。館とホテルでは、必要な技能も違うでしょう」

 

「ただ、そんな人材がいるのかしら? ホテルって、気が効かないと駄目な気がするわ」

 貴族の屋敷でも気は効かないと駄目だけど、下女とか直接は口を利かない場合もあるからね。


「それは、アダムが教育しますよ。彼は、バーンズ商会で慣れていそうです。あっ、それとミリアム様に、先ずは使用人に文字と計算を教えて貰っては駄目でしょうか? 領地の使用人は、それすらも危うくて」


 うん、それは良いと思うけど、ミリアムの親の意見が強いんだよね。


「今なら、ペイシェンスがハープシャーに滞在しているから、ミリアム様も来やすいのではないでしょうか?」

 パーシバルも賛成みたい。両親に手紙を書いてみよう!


「ペイシェンス、サティスフォードのバザール見学はしないのですか?」

 意地悪なパーシバル、するに決まっているじゃん。


「前に行った時に買ったキャッサバ、夏に使おうと思っていたのに腐らせてしまいましたの。買いたいですわ」

 あれで、タピオカができるんだよね。タピオカビーズを作って、それを茹でて、アイスミルクティーに入れて飲みたい!


「それが何か、何を作るのかもわかりませんが、ペイシェンスだからきっと美味しい物なのでしょう」

 パーシバルが笑っている。ふふふ、タピオカミルクティー、気にいるかな?

 太いストローを作らなきゃね! 


「あっ! ストロー! 太いのじゃないのも作れば良いのよ!」

 夏の離宮で海水浴をする時、ジュースに麦の茎が挿してあった。

 王宮では使わないのだろう。でも、海辺では良い感じなのかもね。


「ペイシェンス、また何か思いついたのですね。相談して欲しいです」

 ううん、やっちゃった! 二人でサティスフォードのバザールデートをする話だったのに! 


「錬金術から離れなくてはいけないのかも? パーシー様とデートの予定を立てたいのに、すぐに変な事を思いついてしまうの」


 いちゃいちゃモードになったので、モンテス氏は「それでは、メーガンとケリー、アダムに伝えます」とそそくさと席を立った。


 でも、ベリンダとメアリーは執務室に残っているんだよね。

 パーシバルに簡単に絵を描いて、ストローについて説明したよ。


 

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― 新着の感想 ―
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