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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第七章 中等科二年の夏休み

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嵐の予感

 今朝は、テンションあげあげだ。だって、ナシウスが帰ってくるからね。


「お嬢様、今朝はご機嫌が宜しいですね」

 

 メアリーが曇り空なのにと、不思議そう。


「ナシウスが帰って来ますからね。それに、今日から騎士達が領兵達とパトロールしてくれるのです。管理人助手もモンテス氏と一緒に領地を視察するそうだし、どういう改革案が出るか楽しみなの!」


 メアリーは、私の弟愛(ナシウス)の件はいつも通りだから、スルーした。


「そう言えば、騎士の奥様がお嬢様の護衛になると聞きましたが、どうすれば良いのでしょう」


「私もわからないわ」


 うん、私も個人的な護衛なんて初めてだから、よくわかっていない。グレンジャー家に初めてきた護衛はグレアムだけど、馬丁として影から護るタイプだった。


 その後、雇った護衛達は、はっきり言って馬の王(メアラス)の警備だったからね。

 門にも立つけど、基本的に馬の王(メアラス)に危害が加えられないようにって感じ。


「ベリンダ様は、ご婦人ですからお嬢様のお近くにおられても安心ですわ」


 メアリーは、私が男の人と一緒にいると、悪い噂が立たないように神経を使うみたい。その点、ベリンダは女の人だから、少しは目を離しても大丈夫だと肩の力を抜く。


「ベリンダ様は、バーンズ公爵夫人の護衛も短い間だけどしたみたいだから、心得ていると思うわ」


 メアリーは、バーンズ公爵夫人の護衛だったのなら、安心だと笑う。


 ただ、私はベリンダに防衛術や馬術訓練を受けそうで、少し困っている。


「今日は、醤油麹ができたとカミュ先生とクラリッサが言っていたから、それを確認して、塩水を加えるつもりなの。モンテス氏に力仕事をしてくれる男の人を雇って貰っているのよ」


 つまり、防衛術や馬術などしている暇は無いのだ。それに、パーシバルは盾のテストをしたがっている。


 そんな呑気な話をしていたが、朝食前にモンテス氏は「嵐が来そうです」なんて重大な事を言い出した。


「嵐ですか? そう言えば曇り空ですけど……ナシウスは大丈夫かしら?」


 つい領地より弟の心配をしてしまった。


「今日の夕方から雨になり、夜中から嵐が来そうですね」


 モンテス氏は、領兵から聞いたそうだ。領兵達は、生まれた時からハープシャーで過ごしているから、嵐にも慣れている。


「どの程度の嵐なのかしら? 水路はまだ完備はしていないわ」

 災害とか不安になるけど、モンテス氏はライトマン教授ともよく話している。


「冬の間にライナ川の浚渫工事を終えていて、良かったですね。それに貯水池も作ってありますから、畑が流れるような被害は出ないでしょう」


 今日は、ライトマン教授と助手達、それにモンテス氏とアダムは、騎士や領兵達と領地の水路、貯水池を見回る事になった。


「私も一緒にパトロールしましょう。モラン伯爵領では、管理人任せにしていましたから、勉強し直さなくてはいけません」


 朝食は、モンテス氏も一緒で、今日の予定を確認していたが、パーシバルが話を聞いて、パトロールに参加することになった。


「盾のテストは、ゲイツ様が来られるまで我慢することにしました」


 それに、その頃には騎士達も仮採用期間ではなくなりそうだからね。盾のテストがバレる可能性を考えたのだろう。


「私もパトロールに参加しようかしら?」


 モンテス氏とパーシバルに「館にいて下さい」と同時に言われた。


「ナシウスが帰ってくるのでしょう」

 パーシバルは、私の弟愛を熟知しているからね。


「夕方から雨だと、領兵達は言っていますが、早まるかもしれません。それに、子爵様は醤油の仕込みをすると言われていたのでは?」


 そうなんだよね。今日は醤油の仕込みだ。男手も頼んでいる。


「お二人ともお気をつけて」

 足手纏いの私が一緒より、良いのかも?


「私達もパトロールをお手伝いします」

 ジェニーとリンダが申し出てくれたけど、却下。


「嵐が早く来たら危険です。今日は一日中お勉強ですね」

 ゲッって顔をするけど、横で聞いているルーシーやアイラもだからね。


「昼までにはナシウスも帰ってきます。ヘンリーとサミュエルも一緒に勉強してね。昼からは、ダンスや美術でも良いわ」


 ナシウスとクラリッサは、そっち方面が弱い。昼からは、一緒に勉強させても良い。


 午前中は、勉強なので、クラリッサは一緒に醤油蔵だよ。こちらは、もう中等科の範囲だから、余裕がある。


 醤油蔵に移動しようと館を出たら、グレンジャー館から騎士達とアダムとメーガンが着いた。

 アダム達が乗ってきた馬車は、王都に向かったそうだ。

 つまり、グレンジャー家の馬車だけど、ナシウスも一緒だった。


「ナシウス! お帰りなさい!」

 抱きしめて、キスをする。ふふふ、サミュエルがいないから、キスしちゃう。


「お姉様、帰りました。サミュエルやヘンリーは勉強ですか?」

 恥ずかしがるから、すぐに離すけど、ナシウスは話を逸らしたいみたい。


「ええ、ナシウスには悪いのだけど、ルーシー様の数学を見てあげて欲しいの。卒業の危機なのです」

 カミュ先生だけでは、生徒が多すぎるからね。


「ルーシー様は中等科三年生ですよね。そうか、秋学期で数学が不合格だと困りますね。わかりました!」


 今日は、ルーシーはビシバシされそうだね。でも、もう少ししたらゲイツ様が来られるから、頑張らないといけない。


 ナシウスと話している間に、騎士達とパーシバルとモンテス氏は、兵舎でパトロールの話をしている。


 嵐の被害がないと良い。自然災害は嫌でも仕方ないけど、その被害を少なくする事はできる。

 今回の嵐の結果を受け止めて、対策を練らないといけないな。



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― 新着の感想 ―
嵐って天候の方か。タイトル見てこれ嵐=ゲイツだな。と即考えたけど今回は違った。
[一言] ナウシス、何年生だっけ?
[良い点] 弟成分補充はペイシェンスの活力の源かな! (⌒▽⌒) [一言] 「足手纏いの私が一緒より、良いのかも?」 一歩引いた感じがロマンスっぽさな感じ(?) がしました (*^^*)
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