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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第一章 王立学園初等科

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夏の離宮 海水浴

 夏の離宮に来て3日目、やっと夏休みらしくなりそうだ。朝食の後、サロンにジェーン王女とマーカス王子が子守に連れて来られた。挨拶とキス、それも昨日と同じだったが、そこからが違った。

「今日の午前中はリチャードもマーガレットもキースも、ジェーンやマーカスと海で遊んであげなさい」

 リチャード王子は、塩作りの続きをしたそうだが、喜んでいる幼い妹と弟に負けた。

「ペイシェンス、泳ぎ方を教えてやるぞ」

 キース王子が張り切っている。そんな熱血指導は遠慮したいな。泳げるのではと信じたいけど、バタ足からかも? それに服を着たまま泳ぐの難しいよね。水泳の時間に一回だけ災難訓練で水着の上から体操服を着て、プールに落ちた事がある。マジ、溺れるかと思ったよ。その時は、バッグとかを浮き輪にし、どうにか浮かんでバタ足でプールぎわまで泳いだ。

『あっ、でも海水は浮きやすいかもね』

 メアリーに古い服を着せて貰う。ドロワーズもいつもの下着ではなく、服と同じくらいの厚みがある生地だ。

「さぁ、海水浴よ! 楽しみだわ」

 浮き浮きと浜辺へ向かう。そこには大きなパラソルが何本も刺してあり、日影にはデッキチェアーが置いてある。それにテントにはメイド達が控えていた。飲み物とかサービスしてくれるんだ。なんか至れり尽くせりの海水浴だね。

「おっ、ペイシェンス来たな。海に入る前に体操をするぞ」

 張り切っているのはキース王子とジェーン王女とマーカス王子だけだ。子守達は大変そうだね。

「私は日影で休んでいるわ。暑くなったら、海に入るかもしれないわ。ペイシェンスは泳ぎなさい」

 マーガレット王女は本を持参だ。やる気無いな。

 キース王子じゃないけど、泳ぐ前の体操は大事だよ。足が攣ったら溺れちゃうもんね。手足ブラブラさせて、アキレス腱を伸ばしたりする。

「お前、何をふざけているのだ」

 あれっ、異世界ではアキレス腱伸ばさないの?

「まぁ、良い。お前はマーカスと浅い所で水に慣れておけ」

 ジェーン王女はなかなか活発そうだ。ミニマーガレット王女かと思ったが、違うタイプだ。中身はキース王子?

 私は可愛いマーカス王子と水遊びするよ。家のヘンリーと同級生になるんだね。仲良くして欲しいけど、あれっ、大人しいね。

「マーカス王子、少しずつ水に慣れましょうね」

 子守に水をかけられて、マーカス王子はキャキャと笑う。可愛い。

 私も参加しよう。水をかけたり、かけられたり。楽しいよ。

 子守は砂遊びの道具も持っていた。

「マーカス王子、砂でお城を作りましょう」

 小さな木製のスコップなら手を傷つける事もないよね。それと小さなバケツ。

 私が手で砂を掘っていたら、子守がジェーン王女のスコップを貸してくれた。

「ジェーン王女様は砂遊びはあまりお好きではありませんから」

 そうだろうね。キース王子と一緒に泳いでる。私はマーカス王子と砂遊びが楽しいよ。ショタコンの本領発揮だ。

 バケツに海水を汲んで、砂を濡らして砂山を固める。あっ、ちょっと無意識に生活魔法を使っちゃった。

「凄い、お城だぁ!」

 やり過ぎたね。私1人で作っちゃった。

「マーカス王子、城にお堀を作りましょう」

 城の周りを一緒に掘って、生活魔法で少し固める。バケツに海水を汲んで来て、マーカス王子と堀に注ぐ。

「リチャード兄上、見て! お堀だよ」

 遅れて海岸に来たリチャード王子に自慢する。無邪気で可愛いな。

「これは見事だな」

 褒められて嬉しそうだね。うん、見ているだけでハッピーだよ。

 でも、幸せな時間は終わったよ。キース王子がリチャード王子を見つけて駆けて来た。ワンコみたいだね。あれっ、ジェーン王女は? 放って来たんだ。駄目じゃん。

「キース、ジェーンをおいてくるんじゃない」

 ほら、叱られた。でも、ジェーン王女は自分で砂浜に上がって、もっと泳ぎたいと女官を困らせている。

「リチャードお兄様、一緒に泳いで!」

 女官に1人で泳いでは駄目だと言われ、リチャード王子に強請っている。うん? 大人しいナシウスと同級生なんだね。まぁ、男女だし、大丈夫でしょ。でもナシウスには学年飛び級を勧めておこう。

「ほら、ペイシェンス、泳ぎ方を教えるぞ」

 顔を水につける所から始まった。うん、浮かんでいるね。

「意外と上手だな」

 失礼なキース王子だが、教えるのは上手い。

「浮かべたなら、バタ足だ。ほら、この板を持って脚をバタバタさせるんだ」

 ビート板は無いけど、コルクっぽい浮く板を持ってバタ脚の練習をする。あっ、なんか泳げそう。

「お前、板を放したら駄目だろう。えっ、泳げるようになったのか? 嘘だろ?」

 体力が無いから長くは泳げなかった。でも、ちゃんと泳げるよ。

「少し休憩しますわ」

 本当にペイシェンスの体力は無さすぎるよ。マーガレット王女の横のデッキチェアーに座る。

「ペイシェンスにジュースを」

 メイドにジュースを出して貰って飲む。

「少しだけ泳ごうかしら、ペイシェンスも泳ぎましょう」

 少し暑くなったようだね。私ももう少し泳ごう。体力強化だよ。

 その後は、昼食に着替えないといけないからと、愚図るジェーン王女を引きずる様にマーガレット王女は離宮に帰った。勿論、私もね。やはり、海水浴は疲れるね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 身体強化のある世界なこと。 主人公さんなら出来そうなこと。 [気になる点] ……主人公さんはやらなそうなこと。 [一言] もっとチートに低年齢覚醒なら死なずに死にかけ位で済んだのにな………
[一言] 海水浴した後に昼寝出来るのかなー? 子供もそうですが、ペイシェントくらいの体力だったら昼寝しないと体力も筋力もつかないのでは…。海水浴で昼寝するの大事ですからね。 泳ぐのは地上より体が楽だけ…
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