表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第六章 中等科二年春学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

566/761

領地開発より修業なの?  

 バーンズ公爵が、重い口を開く。


「万が一、竜が南の大陸から出るとしたら、ローレンス王国だけではなく、より近いコルドバ王国や聖皇国も被害を受けるだろう」


 あっ、そうだよね。聖皇国は、聖騎士がいるから何とかするんじゃない? あちらの国は、私的には関係ない感じだけど、リュミエラ王女の祖国は心配だ。


「この前、ゲイツ様は、コルドバ王国の依頼を受けて、リヴァイアサンの討伐をされていた。あの国は、南の大陸の竜の繁殖も知っているだろう」


 ゲイツ様に言わせると、リヴァイアサンは身体は大きいけど、準竜というか亜竜だそうだけど? それさえ討伐できないコルドバ王国は、大丈夫なのかな? 


 それは、他の人も考えたみたいで、皆の顔が暗い。他国の被害は、他人事ではないのだ。


「もしかして、またコルドバ王国から討伐依頼が来るかもしれません」


 パーシバルが難しそうな顔で発言する。今、リュミエラ王女との縁談で、二国間は友好モードなんだ。


 それでも竜がゲイツ様の留守中にローレンス王国に来たら、困るよ!


「それはない! ゲイツ様は、ローレンス王国の王宮魔法師なのだから。陛下も断られるだろう」


 えっ、バーンズ公爵の目が私を見つめているんだけど? 私は無理だと思う!


「ゲイツ様は、ペイシェンス様なら竜の討伐もできると考えておられるのだな! 確かに、寒村の開発に時間を潰している場合ではない!」


 いや、それが夏休みのメインですから!


「バーンズ公爵、私の領地は長年放置されていましたから……」


 魔法の修業ばかりしていられないと断ろうとした私の言葉をバーンズ公爵が手で遮る。


「ペイシェンス様、管理人は居るのですね。でも、任せるほどの体制が整っていないのだな! よし、バーンズ公爵領の管理人助手と土地を持っていない優秀な騎士をそちらに譲りましょう! これで、少しは負担が減ると思います。その分、魔法の修業に励んでください」

 

 管理人のモンテス氏だけでは、目が行き届かないのも確かだし、騎士もノースコート伯爵領から紹介してもらう予定だけど、人数が足りないのも事実だ。


「でも、宜しいのでしょうか? それに、私が修業しても竜を討伐できるとは思えないのです。だって、怖くて!」

 

 冬の魔物討伐の時は、横にゲイツ様やサリンジャーさんがいたから、心強かったのだ。


「ペイシェンス、私もこれから修業して、貴方の盾になる!」


 パーシバル! とても嬉しいけど……やはり、パーシバルが傷つくのは見たくない。目を負傷した時の心が凍るみたいな恐怖、あれは嫌だ!


「私には、竜の討伐は無理だと思いますわ」


 バーンズ公爵夫人だけが、私の言葉に頷いてくれた。


「勿論、ペイシェンス様一人に竜の討伐を押し付けるつもりはない。だが、昔のロマーノ王国、レント王国の数少ない文献を調べたが、竜の被害は甚大なのだ。街が壊滅状態になったと書いてある」


 バーンズ公爵は、竜の活動に注目し、過去の竜討伐について調べていたんだ。


「騎士団や魔法使い達も善戦しているが、民を避難させたり、竜をなるべく街から遠ざける方に力を尽くしている。偉大な魔法使いや英雄(ドラゴンスレーヤー)によって討伐されたのだ」


 つまり、普通の騎士や魔法使いでは、竜は倒せないの? ゲイツ様なら大丈夫なのかな?


「南の大陸で竜の繁殖期になったとしても、増えた竜が北の大陸まで来るかはわからない。だが、備えておく必要があるのだ。我が領地でも、騎士や領兵を鍛えておこう! 国の南部に派遣する必要があるかもしれない」


 私の領地の領兵、冒険者の初心者や農家の次男とかで、素人に毛が生えた程度だよ。住民の避難誘導すら、おぼつかないかも。


「ああ、それに館の防衛強化もしなくては!」


 領民の避難場所にするには、ハープシャー館もグレンジャー館も見た目重視だよ。無骨なノースコート伯爵館を目指すべきだったのでは?


「ペイシェンスの領地の館は、王宮建築士のラドリー様が改修されたのだろう? あの方の改修された館なら、防衛面も考えておられるさ」


 カエサル様の言葉で、ホッとしたけど、夏休み中にラドリー様に確認しておこう。


「そうだわ! バリアを張ると良いのよ!」


 竜の攻撃を退けられるかわからないけど、やるだけ、やってみよう!


 カエサル様の目がキラキラしている。


「ペイシェンス! バリアとは何だ!」


 あっ、これも機密だったかも? 横で、パーシバルが苦笑している。流行病の時に、サティスフォード子爵館にバリアを張ったのを知っているからね。


「それは、機密です!」


 カエサル様が、聞きたくて仕方ないって顔をしているけど、バーンズ公爵が笑って止めている。


「ゲイツ様とペイシェンス様がいらっしゃれば、例え竜が来ても大丈夫な気持ちになりました」


「いや、それは無いです。これから、バリアについても研究しなくちゃいけませんから!」


 それに、魔石を凄く消耗しそう。やはり、カザリア帝国の太陽光蓄魔器を再現しないといけないな。えっ、ゲイツ様の手紙通りになってきている! ムカつく!


「ペイシェンス、夏休みは忙しくなりそうですね」


 パーシバル! 少しは一緒に遊びたいよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そのうち、『雪の進軍』状態になったりしないよね?
[良い点] 公爵家から優秀な管理人と騎士が融通された ペイシェンス良かった(?)ね これで討伐に専念出来る (*´ω`*) [一言] 頑張れペイシェンス! \(^o^)/
[一言] もう、堂々とゲイツ氏の一番弟子としたほうがペイシェンスを守るにはいいかもしれないw 本人が呑気すぎる、機密を開発すぎる。ドラゴンスレイヤーペイシェンスになれば手を出そうとするアホは激減するは…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ