あれこれ片付けていこう!
さて、今日は朝から忙しい! メアリーが起こしに来る前から起きていたよ。
パーシバルが馬の王の運動の為に朝から来てくれるんだもの。
でも、今日はゆっくりはしていられない。
「パーシー様、おはようございます」
朝からハンサムを見るとテンションが上がるね。
「ペイシェンス、おはよう!」
メアリーが目を光らせているから、軽く頬にキスするだけだ。新婚なんだから、もっとゆっくりと屋敷に来たら良いのにね!
「朝食を一緒に食べましょう!」
パーシバルも今日私が忙しいのを知っているから、食べながらお互いのスケジュール調整をしようと笑う。
ふぅ、パーシバルが馬の王と運動に出かけた後は、愛しい弟達との時間だよ! でも、ヘンリーはまだ起きていない。残念!
「ナシウスは起きているかしら?」
メアリーは、それよりもすることがあるとせき立てる。
「弟君達とは、朝食の時にお会いできるでしょう! それより、王妃様から頂いたドレスを試着しないといけませんわ」
えっ、それこそ今しなくても良いじゃん! 夏が終わったら、少しは成長しているかもしれないんだよ。特に身長と胸あたりは、かなり期待している!
「メアリー!」と注意しようとしたけど、もうマリーとモリーがドレスを手に持って、スタンバイしている。この二人、メアリーに初めにガツンと言われたから、言いなりなんだよね。
こうなったら抵抗するより、さっさと着た方が早い。
「まぁ、とても素敵なドレスですわ!」
今の流行のレースがいっぱいだけど、王妃様のドレスメーカーはセンスが良い。甘いけど、甘すぎないギリギリを攻めている。
それに、すごく上等な絹で手触りが素敵なんだ。
「まだ少し大きいようですが、秋までにはぴったりになるでしょう!」
メアリーは目を潤ませているけど「だから、今着る必要はないじゃん!」と内心で愚痴る。
ティアラやネックレスやイヤリングはワイヤットが金庫に保管しているから、付けなくて良かった。
さっさと着替えて、応接室の準備を確認する。でも、前と違ってミッチャム夫人がいるから、エリザベスとアビゲイルのドレスと水着はちゃんと箱に入れて置いてあるし、仮縫いのドレスは、ハンナ達の分も一緒に控え室のトルソーに着せて用意してある。こちらは、一度着てから渡すからね。
「教授会は一時からですけど、その時はもう少し椅子を増やした方が良いと思います」
ハンナ達が帰ったら、即、教授会用に模様替えだ。本当に、今まで家政婦がいなくてよくやっていたよ。
玄関や応接室、それに食堂にも花が飾られている。やっとグレンジャー家でも、メイド見習いや下女が一応は十分にいるようになって、ミッチャム夫人やメアリーの監督で、あちこちを飾っている。
「エリザベス様とアビゲイル様には、チョコレート一箱とメロンとスイカをお土産に渡してね」
チョコレートには保冷剤も付けておく。
お茶の手配も任せて安心! 楽だね!
うん、後は……夏休みといえばラジオ体操! こちらではオルゴール体操だけどね。
やはり、ハンコと押す台紙を作っておこう。ナシウスには子供っぽく感じるかもしれないけど、ヘンリーは喜ぶと思うんだ。
工房で、オルゴール体操の台紙を作って、ハンコはひまわりにする。錬金術なので金属製だけど、この時だけだからね。
「首から下げられるように穴を開けて、リボンを通しましょう!」
皆勤賞は、何にしようかな? 前世では、ノートとかキャラメルだったんだよね。
これは、ナシウスと相談して決めても良さそう。そろそろ、下りて来ないかな? 父親は、ロマノ大学の終業式だから、起きていそうなんだけど。
パーシバルも戻ってきて、朝食だ。父親は、サッサと食べて大学に出かけた。
私は、ナシウスに歴史研究クラブのOBのユーリを呼んでも良いと言う。
「でも、お姉様はヴォルフガング教授が苦手なのに良いのですか?」
ナシウスは、本当に気を使いすぎるよ。
「ヴォルフガング教授には、お父様がお断りの手紙を書いて下さるわ。ただ、お父様は、学生や助手の探究心は手伝って欲しいと言われたの。でも、歴史研究クラブの合宿期間だけですからね!」
ナシウスがホッとした顔で「フランシス様に手紙を書きます!」と自分の部屋に向かった。
ヘンリーもカミュ先生が「お勉強しましょう」と子ども部屋に連れて行く。
私は、パーシバルと二人で短い間だけど、スケジュール調整をしよう!
「モラン伯爵夫人に一度お礼を言いに行きたいのですが……」
パーシバルは、私のスケジュール帳を見て笑う。
「本当にぎっしりですね! 領地に行く前に疲れないように」
「優しいのね!」
二人でいちゃいちゃモードになるけど、メアリーの咳払いが大きい。
「今日の夜、少し時間がありますけど……」
お茶の時間以降の訪問は、マナー違反だ。
「母は、そんな事は気にしませんよ。そうだ、夕食を一緒にしませんか?」
パーシバルが屋敷で母親に聞いて、手紙をくれると頬にキスして帰って行った。
エリザベスとアビゲイルが来るからね。
「エリザベス様! そんな大胆な水着を着ても良いのですか?」
アビゲイルが驚いているけど、前世の水着と違って、露出度はすごく低い。
「このスカート部分、本当は要らないと思うけど、無しだとお母様が駄目だと言われると思うの」
ただ、今年は黒だけじゃないよ! 女子用は、濃い赤と濃い紺色を作ったんだ。カラフルなビーチサンダルもね!
本当は、もっと水着もカラフルにしたいけど、身体が透けて見えるのは駄目なんだ。メアリーが渋々認める濃い色だけになった。
エリザベスとアビゲイルも領地に行くから、長居はしない。縫い上がったドレスを確認して、お茶を飲んだら屋敷に戻る。
「まぁ! チョコレートとメロンとスイカ!」
侍女にお土産を渡したら、凄く喜んでくれた。
「ペイシェンス様、夏休みはパーシバル様と一緒なのでしょう! 秋学期にお話をいっぱい聞きたいわ」
エリザベスが馬車に乗る前に、私の耳元で囁いたけど、そんな甘い展開があるのかな?
ハンナ達は、仮縫いして、そのままお持ち帰りしたよ。
「夏休みは裁縫三昧だわ!」
特に、ソフィアは古いドレスのリメイクもあるからね。頑張って! と励ましておく。
パーシバルから「夕食を一緒にと母が言っております」と手紙が届いた。
こちらの世界では、父親の許可がないと女の子は勝手に出かけられない。まぁ、うちの父親は放任主義なんだけどさ。
大学から帰ってきた父親に言うと「ああ、良いだろう」だって。
さて、教授会だ! ホステスは私なので、メアリーが張り切って着替えさせてくれる。これは、任せよう!




